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25年経っても色褪せないロータリーサウンド…1991年ル・マン24時間レース総合優勝マシン「マツダ787B」

世界三大レースの一つとして、毎年6月にフランスで開催される「ル・マン24時間耐久レース」。80年以上もの歴史があるレースですが、日本車が総合優勝を果たしたのは過去にたった1台だけ。それがマツダ787Bです。あの快挙から約25年、その優勝したマシンが、鈴鹿サーキットで行われた「鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2016」に登場し現役当時と変わらない迫力ある走りを見せてくれました。今回は、787Bの写真とともに1991年のル・マンでの激闘も振り返っていきたいと思います。

Photo by Tomohiro Yoshita

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ロータリーエンジン最後の挑戦

Photo by Tomohiro Yoshita

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ル・マンをはじめ各国の耐久選手権の主流カテゴリーとなっていたグループC。

それまではターボやロータリーなども認められ比較的自由だったのですが、1991年から3.5リッター自然吸気エンジンに統一される規定が設けられました。

これまでレシプロエンジンが主流だった中で、ロータリーエンジンにこだわり続けてきたマツダでしたが、同エンジンでのル・マン24時間レース挑戦は、これが最後となってしまったのです。

Photo by Tomohiro Yoshita

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マツダ787B スペック

シャシー:カーボンコンポジット・モノコック

エンジン:マツダR26B

気筒:4ローター

過給器:なし

出力700馬力(9000rpm)

ギアボックス:マツダ/ポルシェ 5速

ホイールベース:2662m

トレッド:前1534mm/1504mm

車重:845kg

 

メルセデスとの激しいトップ争いの末、勝利

Photo by Tomohiro Yoshita

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1991年大会は新規定への対応に伴い日産、トヨタが欠場し日本車はマツダのみ。

メルセデス、ジャガー、プジョー、ポルシェなど各国の強豪メーカーのマシンが参戦。レースが始まった時点ではマツダの注目度は決して高くありませんでした。

ロータリーエンジンとしては最後の挑戦。マツダは3台のマシンを用意。このうち55号車レナウン・チャージカラーの787Bにはフォルカー・ヴァイドラー/ジョニー・ハーバート/ベルトラン・ガショーの3人が乗り込みました。

旧規定で構成された「C2クラス」は24時間で使える燃料の量が制限されている他、車体重量も約100kg近く違うなど、不利な状況。

それでも55号車は着実に周回を重ねていき、19番手スタートから少しずつ順位を上げ、トップ10圏内に進んでナイトセッションに突入すると優勝候補の一角だったジャガー勢をパスし表彰台圏内へ。

この時点でレースをリードしていたのはメルセデス勢でしたが、夜中に1台がトラブルでピットイン。この間に55号車は2番手に浮上します。

Photo by Tomohiro Yoshita

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夜が明けて後半戦になると、ジャン・ルイ・シュレッサー/ヨッヘン・マス/アラン・フェルテの1号車メルセデスC11と55号車マツダ787Bによる一騎打ちに。2台がお互いのペースを見ながら自分たちのペース配分をしていく攻防戦が続きましたが、チェッカーまで残り3時間のところでレースのハイライトを迎えます。

トップを快走していた1号車がオーバーヒートを起こしピットイン。対処のために長時間ピットでの作業を強いられます。その間に周回遅れ分を一気に取り戻した55号車が、ついにトップに浮上。後方からはジャガー勢が接近していましたが、最後までミスなく走り抜いてトップチェッカー。

1974年から始まったマツダの挑戦。その集大成とも言えるロータリーエンジン最後の挑戦で、総合優勝という最高の結果をつかみました。

 

あれから25年経っても色褪せない、伝統のロータリーサウンド

Photo by Tomohiro Yoshita

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1991年の優勝後、このマシンは永久保存されることが決まり、基本的には広島にあるマツダミュージアムに展示されていますが、現在でも動ける状態にあって、今回のようなイベントでは特別にデモ走行を披露してくれます。

とは言っても、現役時代から20年以上経っているので、マシンになかなか負荷がかけられない状態で、10走行する機会も年に1~2回あるかないかぐらい。鈴鹿サーキットでの走行は2012年に行われた開場50周年アニバーサリーイベント以来、2回目でした。

Photo by Tomohiro Yoshita

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ドライバーを務めた寺田陽次朗氏も「世界に1台しかないものなので、大事に走ります。でもストレートでは全開で走りますので、音をお楽しみください」と集まったファンの皆さんにコメント。その約束通りストレートでは、メルセデスやジャガーと戦った時に奏でていたロータリーサウンドをしっかりと披露してくれました。

Photo by Tomohiro Yoshita

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また1コーナーやシケインなど、減速時にはエキゾーストから火をふくなど、迫力は当時そのまま。2日間行われたイベントのうち、1日目は雨で走行できませんでしたが、その分2日目は積極的に周回を重ね、夕暮れに行われたデモレースではル・マンでも使用された明るいヘッドライトを点灯して走行していたのが印象的でした。

 

JSPC仕様は逆転カラー「787B(JSPC仕様)」

Photo by Tomohiro Yoshita

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今回の鈴鹿サウンド・オブ・エンジンではJSPC仕様のマシンも展示エリアに登場していました。ル・マンのように夜間走行がないため、ヘッドライトがないというのが一番の特徴なのですが、実は緑とオレンジが印象的なル・マン仕様とカラーリングデザインが逆なのです。

マツダ787B(JSPC仕様) スペック

シャシー:カーボンコンポジット・モノコック

エンジン:マツダR26B

気筒:4ローター

過給器:なし

出力700馬力(9000rpm)

ギアボックス:マツダ/ポルシェ 5速

ホイールベース:2662m

トレッド:前1534mm/1504mm

車重:830kg

 

レシプロエンジンでも参戦継続「MX-R01」

Photo by Tomohiro Yoshita

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完全に新規定のみとなった1992年も、マツダはル・マンへ挑戦します。その時のマシンが、このMX-R01です。

カラーリングこそ同じレナウン・チャージカラーです、外観デザインは昨年とは別物。それまでジャガーのマシン開発を担っていたTWRがマツダと共同開発して生み出されたマシンで、ジャガーXJR-14をベースにしたものになっています。

前年の優勝トリオであるヴァイドラー/ハーバート/ガショーの体制で望みますが、プジョーやトヨタの先行を許してしまい4位でフィニッシュしました。目標であったル・マン24時間総合優勝を達成していることもあり、ワークス体制であるマツダスピードでの参戦は終了。マツダにとって最後のグループCマシンとなりました。

マツダMX-R01  スペック

シャシー:カーボンコンポジット・モノコック

エンジン:マツダMV10

気筒:V型10気筒(72度)

過給器:なし

出力:非公表

ギアボックス:TWR 6速

ホイールベース:2800m

トレッド:非公表

車重:750kg

 

まとめ

Photo by Tomohiro Yoshita

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レースに参戦していた時から数えて25年も経過しており、もちろん部品関係も限られているので、車体保存のためにも全開走行というのは難しいのですが、細かいメンテナンスをしてくれている方々のおかげで、今でも10走行しているシーンを我々は観ることができる…本当に幸せなことですね。

次のページでは、鈴鹿サウンド・オブ・エンジンで元気な姿をみせてくれたマツダ787Bの写真をフォトギャラリーにしました!

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Writer Introduction
Tomohiro Yoshita

フリーのモータースポーツジャーナリスト。サーキット取材は2011年からスタートし、最近ではSUPER GTスーパーフォーミュラを全戦取材。この他にもF1をはじめとする海外レースや、2輪レースもカバー。レースに関する記事だけでなく、サーキットに来場するファンに役立つ情報発信も展開しています。http://www.kansenzyuku.com

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