鈴鹿サーキットで行われた往年のマシンが集うイベント「鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2016」に、あのシルクカットジャガーのグループCカーがやってきました!主に1987年と1988年のWSPCに参戦。XJR-9の方は1988年のル・マン24時間優勝マシンとしても有名です。また紫と白のデザインは、当時は雑誌などに取り上げられるのはもちろん、子ども向けの本や文房具にも登場したほど大人気でした。また最近ではプレイステーション3用ゲームソフト「グランツーリスモ5」で登場して、それで知った人も多いでしょう。そんな貴重な2台のマシンをたくさんの写真とともに見ていきたいと思います!
ジャガーXJR8/XJR-9(シャシーNo.187)
ル・マン仕様のヘッドライトをつけ、カーナンバー3番とつけていたマシン。最初はXJR-8としてデビューしますが、そのままXJR-9仕様に改変されて翌シーズンも使用していました。
そのため、現地で販売されていたプログラムやガレージの看板などは「XJR-8」と表記されていましたが、マシンには「XJR-9」と描かれていました。
それまではターボエンジンのポルシェ962Cが WSPCでもル・マンでも大活躍していましたが、V12のN/Aエンジンを搭載するジャガー勢が、この2年間で大きく躍進。1987年にはWSPCでドライバーズ/チームチャンピオンを獲得し、1988年のル・マン24時間で総合優勝を獲得。ジャガーにとっては1957年以来、31年ぶりの快挙となりました。
スペック
シャシー:カーボンコンポジット・モノコック
エンジン:ジャガー(ミッドシップ)
気筒:V12
排気量:6995cc
過給器なし
出力720馬力(7000rpm)
ギアボックス:マーチTWR 5速
ホイールベース:前1500mm/1500mm
車重:890kg
ジャガーXJR-8-LM(シャシーNo.387)
今回は「Silk Cut」と描かれている6号車のマシン。これは1987年のル・マン24時間レースにデビューしたXJR-8では3台目として製作されたマシンです。
同レースでは陣営最上位となる5位を獲得。その後WSPCにも参戦し第9戦スパで優勝したマシンだそうです。
なお、これはシャシー187のようにXJR-9への改変はされず、レース参戦もこの年のみ。ルーフ部分にはスパで優勝したメンバーであるマーティン・ブランドル、ジョニー・ダンフリーズ、ラウル・ボウセルの名前が入っています。
スペック
シャシー:カーボンコンポジット・モノコック
エンジン:ジャガー(ミッドシップ)
気筒:V12
排気量:6995cc
過給器なし
出力720馬力(7000rpm)
ギアボックス:マーチTWR 5速
ホイールベース:前1500mm/1500mm
車重:890kg
ちょっと余談ですが…
ご存知の方も多いと思いますが、改めてここで小ネタを3つほど…
このシルクカットジャガーは、2台ともリアタイヤがボディカウルに隠れてしまっています。
これは空気抵抗を少しでも減らすための工夫。当時はジャガー以外でも行っているチームは非常に多かったです。
なお、タイヤ交換時は、ここだけが簡単に外れるような構造になっているので、カウル全部を取り外す必要はありません。
また、スポンサーロゴも3号車の方はバーコードみたいなデザインでシルクカットのロゴが入っていません。
これは、かつてF1でもマールボロなどのタバコスポンサーであったように、イギリス、フランス、ドイツなどタバコの広告が禁止されている国がありました。これはその時の対策として施されたものでもあったのです。
ちなみにグッドウッドでの開催時も、こちらのスポンサーロゴが付いていないバージョンが走ることがほとんどになっているようですね。
またリアウイングも、ル・マン(低ドラック)仕様の場合は、もっと低い位置にウイングがついていて、正面から見ると、何もついていないように見えてしまうほどでした。
今回は2台ともハイダウンフォース仕様の物になっていますが、今回のイベントで走ったマツダ787Bのものが低ドラッグ仕様のものです。
30年経っても、アクセル全開で走行可能!
今回、鈴鹿サウンド・オブ・エンジンに参加するため日本にやってきた2台のマシン。現役当時から30年も経っているため、やはりきっちり動くのかが心配なところ。
それでも、金曜日の練習走行から状態も良く、かなり良いペースで走行していました。もちろん、7リットルのV12エンジンが繰り出す大迫力のエンジンサウンドも当時そのまま。土曜日はあいにくの雨で、ウエットタイヤがない3号車はピットで待機するシーンが多かったですが、ドライになったら2台とも積極的に周回を重ねていました。
ちなみに、この2台のジャガーはスイスの実業家の方が所有されているものだとか。現在はグッドウッドをはじめ、世界各国で開催されるクラシックレーシングカーのレースもされているとのことで、そこでの条件に応じてヘッドライトやリアウイングの仕様をスプリント用/ル・マン用と変えているみたいです。
週末もヨーロッパからメンテナンスを担当しているメンバーも駆けつけ、最高の状態で走らせるべく常にマシンのメンテナンスを行っていました。
まとめ
とにかく、この2台が鈴鹿サーキットに来てくれたことで、ファンの皆さんも30年前にタイムスリップをしたかのような夢の時間を過ごしていました。
来年も来るかどうかは未定ですが、是非来て欲しいですね!
次のページでは、現地に行った人も行けなかった人も必見!2台の走行シーンを中心にまとめたフォトギャラリーです!