2014年から始まった新たな世界選手権「フォーミュラE」。今年9月から始まった第3シーズンも、北京、ブエノスアイレス、パリ、ベルリン、ニューヨーク、などなど世界中の主要都市で開催されています。しかし、まだ日本での開催の目処は立っておらず、まだまだ馴染みの薄いレースになってしまっていますが、そこから一歩踏み出すイベントが東京・丸の内で行われました!

Photo by Tomohiro Yoshita

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丸の内仲通りをフォーミュラEマシンが疾走!

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今回、東京駅のすぐ隣、丸ビルのすぐ下にある仲通りアーバンテラスで「エコロジー&モビリティ フェアin丸の内」というイベントが開催されました。

将来的に必ず考えていかなければ行けない環境問題。そこに“モビリティ”がどう行った形で入り込んでいけるのか。エコロジーと都市の未来を語り合い、次世代のパーソナルモビリティにも触れてもらうイベントでした。

この中のメインイベントとして行われたフォーミュラEのデモ走行。東京の公道で行われるのは、これが2回目です(1回目は昨年8月の六本木でのデモ走行)

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電気自動車のレーシングカーで争われるため、騒音もほとんどなく、排気ガスの排出もなし!クリーンなレースでもあるのです。

今回はABTシェフラー・アウディスポーツチームのルーカス・ディ・グラッシが登場し、今季仕様のマシンで仲通りを疾走してくれました。

ディ・グラッシは2010年からF1に参戦し、2012年にはアウディからWECに参戦。もちろん、ル・マン24時間も経験しています。フォーミュラEには開催初年度から参戦し、その記念すべき第1戦では見事優勝。その後も、表彰台でのフィニッシュを量産するなど、同レースでは常に上位を争っているドライバーです。

デモラン前には、日本語で簡単な自己紹介をして、集まった観衆も拍手を送っていました。

 

これまでのレーシングカーでは味わえない“別の迫力”

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早速マシンに乗り込んで、デモランがスタート。

もちろん、エンジン始動などないため、静かに動き出します。

何よりすごかったのは、その加速力!100%電気自動車で争われる世界選手権というのは、もちろんフォーミュラEだけ。やはりパワー面で行けば通常のエンジンの方があるのではないかという印象を持っている方も多いと思います。

しかし、少しでもアクセルを踏み込むとすぐにホイールスピンを起こし、路面上にはブラックマークが残るほど。

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さらに、今までのレースでは、なかなか感じることができなかった“匂い”もフォーミュラEでは体感できました。

それが「タイヤが焼ける匂い」です。

やはり今までのレースでは燃料やオイルの匂いの方が強かった印象ですが、フォーミュラEのマシンは排気ガスはないため、そういった匂いはありません。

逆にホイールスピンなどでのタイヤが焼ける匂いや、またタイヤが擦れる音なども楽しむことができる。

マニアな方々にとっては、新しい領域でのレースの楽しみ方や、醍醐味になっていくかもしれませんね!

 

ディ・グラッシも興奮!「小さなステップだけど、確実に前進した」

デモラン後、ファンに向かって深々と感謝の一礼をするディ・グラッシ(Photo by Tomohiro Yoshita)

デモラン後、ファンに向かって深々と感謝の一礼をするディ・グラッシ(Photo by Tomohiro Yoshita)

デモ走行を担当したディ・グラッシ。本人も、この走行をとにかく楽しんでいた様子。このようなコメントを残してくれました。

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「このデモンストレーションは、小さなステップだけど、正しい方向に前進したものだった。今回のデモ走行でも、フォーミュラEのマシン、レースというもがモータースポーツとして十分楽しめるエキサイティングなものであるということを証明できたと思う」

「さらに電動のドライブトレインというクリーンなエネルギーを活用していることをアピールできたとうのは、この東京という先端技術が集まった都市でのフォーミュラE開催はぴったりだと思う。近い将来、デモンストレーションではなく、レースのために東京に戻って来られることを楽しみにしている」

現在参戦しているドライバーの多くはF1も経験、もちろん日本GPで鈴鹿もドライブしています。日本の熱狂的なファンの前で、今度は「フォーミュラEで走りたい」という思いは、彼らも強いみたいですね。

 

まだまだハードルがある日本開催だが…、そろそろ実現しそう?

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海外では当たり前のように街中で開催しているフォーミュラE。

アクセス面でも便利で、気軽に観戦できるように、開催地は必ず大都市の中心部と決められていて、さらに1日でフリー走行、予選、決勝が完結するようなスケジュールの工夫もされています。

もちろん、このフォーマットで行けば、日本はぴったりマッチする都市がたくさんありますし、モータースポーツのレベルも、決して低くないです。

しかし、なぜ3シーズン目に入っても開催にこぎつけられていないのか?

やはり一番大きな壁は法律的な問題でしょう。

現在の法律では、公道でのレース開催ができない状態。これを変えるために、自民党内にモータースポーツ振興議員連盟が発足。法律改正に向けて活動しています。

しかし、動き始めて15年以上が経過していますが、法改正に至っていないのが現実。それだけ日本での公道レース開催の扉をこじ開けるのは難しい状況なのでしょう。

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今回のデモ走行も前回の六本木でも、公道で走ったものの、レーシングスピードには程遠い徐行に近い形。現地での安全面を重要視したものでもありますが、そこは法律面の“壁”もあって…というところが関係しているようです。

現在、候補地として東京や横浜など様々な大都市が挙がっていますが、レースを開催するには街の封鎖する必要があります。

特に東京の道を封鎖すると、交通面、経済面、産業面でも影響が出てしまいます。もちろん、開催費用も莫大なものになるので、それをどこから捻出してくるのか?など…

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モータースポーツが文化として根付いている欧米諸国とは違って、日本の場合はクリアしなければいけない問題がまだまだあるようなのです。

しかし、フォーミュラEのアレハンド・アガク代表は日本開催の実現に強い意欲を示しており、現在も日本に来て交渉を進めて動いているとのこと。

一部の報道では2018年シーズンのカレンダーに組み込まれるのではないかとも言われており、着実に開催実現に向けて微速ながらも“前進”しているみたいですね。

 

まとめ

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現在はテレビ朝日などでも積極的に取り上げられているフォーミュラE。電気で走るので、エコでクリーンで、音も静かで…というメリットもありますが、それ以上に面白いのがF1を経験したハイレベルなドライバーたちが揃っていて、毎回手に汗握るスリリングなバトルが観られるということ。

しかも、普段は買い物したり、友達と遊ぶ街中でです!

日本開催は、もう少し先になりそうですが、今日の丸の内デモランがきっかけとなって、1日も早く「日本ラウンド開催決定!」という吉報を聞きたいですね!