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次に狙うのは表彰台!F3を戦う女性ドライバー三浦愛選手、初入賞までの軌跡。

今年も若手ドライバーたちがトップカテゴリーを目指し激戦を繰り広げている全日本F3選手権。そこに唯一の女性ドライバーとして奮闘しているのが、三浦愛だ。昨年Cクラスにステップアップしたが、なかなか上位に上がれず苦戦。結果が求められる2年目は、プレッシャーもかかる中、鈴鹿ラウンドでは自己ベストともいえる活躍を見せた。今回はF3で奮闘する彼女のレースウィークを追いかけた。

©︎Tomohiro Yoshita

得意の鈴鹿、限られた予選アタックのチャンスで抜群の集中力を発揮!

©︎Tomohiro Yoshita

今年もB-MAX Racing Teamからエントリーし、おなじみのEXEDYカラーのマシンで参戦。エンジンは昨年とは異なりフォルクスワーゲンを使用している。

開幕ラウンドとなった岡山国際サーキット(4月1・2日)は、ポジションとしては第1戦の9番手が最高だったが、ペース的にはそこまで悪くなく、一つの手応えを感じて、今回の鈴鹿に臨んだ。

今回の予選では30分続けての計時予選。各車のベストタイムが第4戦のグリッドになり、セカンドベストタイムが第5戦のグリッドになるというものだ。

グリーンシグナルと同時にコースインした三浦。舞台は地元大阪からも近く、彼女自身も得意とする鈴鹿サーキット。

©︎Tomohiro Yoshita

一つでも上のポジションを目指すべく、アタックラップに突入していく。

しかし、なかなか思うようにいかないのがレース。途中に2度の赤旗中断があり、貴重な走行時間が失われてしまう。

リズムが大きく崩れたかのようにみえたが、残り7分で抜群の集中力を発揮。第4戦は1分52秒523で8番手。第5戦は1分52秒846で7番手となった。

なかなかポジションだけでは分かりにくいのだが、昨年のポールポジションとのタイム差を比べてみると…

2016年第1戦鈴鹿予選

PP:山下健太(1分51秒681)

10番手:三浦愛(1分53秒894)+2.213秒

2017年第4戦鈴鹿予選

PP:高星明誠(1分50秒999)

8番手:三浦愛(1分52秒523)+1.524秒

©︎Tomohiro Yoshita

今年のパッケージに合っている部分もあるのだが、1秒以上更新。そして何よりトップとのタイム差が0.7秒接近していた。

もちろん、彼女も全日本F3選手権でトップを目指すドライバーの一人。そのために、あと1.5秒を削っていかなければならないのだが、昨年の苦戦を考えると、一歩も二歩も進歩した結果。

それもあってか、予選後のピット内の雰囲気も、どことなくポジティブな印象だった。

 

第4戦で待望の初入賞!第5戦でも連続ポイントゲット!

©︎Tomohiro Yoshita

そのまま22日夕方に行われた第4戦の決勝レース。岡山ラウンドとは見違える走りを見せる。

表彰台候補の一角だった宮田莉朋がトラブルにより2戦ともリタイア。これによりポジションが一つ上がった状態でスタートを切った。

序盤から、坪井翔、坂口晴南、イェ・ホンリーらの集団に食らいつき、積極的に攻めて行くレースを披露。4周目にホンリーをパスに5番手に浮上。その勢いで1分53秒台までペースをあげ、前方を追走。

そこから順位を上げることはできなかったが、自己ベストとなる5位でチェッカー受け、初のポイントを獲得した。

内容的にも、今までの中ではベストのものだったようで、チームスタッフと喜びを分かち合うシーンもみられた。

©︎Tomohiro Yoshita

「ラッキーもあったんですけど、クルマも決まっていたので、12周集中して走れたので、最後まで後ろも離しながら走れました」

「運にも助けられながらだけど、自分の自信につながったところがあります。今まで9・10番手だったところが、ひとつレベルを上げられたのかな。第1レースは満足というか、力を出し切ることができました」

©︎Tomohiro Yoshita

この勢いで、迎えた23日の第5戦。7番グリッドからスタートしレースを進めていく。ただ、前日よりも5周(約30km)長い17周勝負。昨年もCクラスのダウンフォースが高いマシンに、小柄な三浦にとって“体力面”というのはひとつの課題となっていた。

なかなか前のマシンに食らいついていく走りはできなかったものの、終始7番手を維持し、岡山ラウンドと比べても確実に良いペースで周回。後続のマシンにしっかり差をつけ、7番手のままフィニッシュした。

しかし、レース後に坪井が30秒加算のペナルティを受けたため、正式結果で6位に繰り上がり。2戦連続でのポイントゲット。確実に、昨年と比べて“前進”したレースウィークとなった。

©︎Tomohiro Yoshita

「昨日(第4戦)の時点で入賞しているので、どうしてもその上を目指してしまうので、そこから考えれば(順位が)落ちてしまったところはありますが、昨年のレースや岡山の開幕戦から比べれば、順位も上がっているし、ペース的な面でも中団で戦えるようになってきているので、レベルは上がってきたけど、まだまだ一歩ずつ…という感じ」

「このカテゴリーになると、一気に上位にいくことは難しいですね」

「一歩ずつ、確実に上がってきているので、まだ5戦終わったばかりですし、これから同じサーキットが1回ずつ開催されるので、特に富士や岡山は体力的にも楽なサーキット。しっかりと結果を出していきたいなと思っています」

「ちょっと課題は残ったけど、でも自分の実力が上がってきたのを確認できたので、それは良かったと思います」

 

勝負の2年目、ここで立ち止まっている暇はない

©︎Tomohiro Yoshita

まだまだトップや表彰台争いには手が届いていないが、昨年苦戦気味だったCクラスで明らかな進歩を遂げている三浦。昨年は勉強と経験というシーズンだったが、今年は勝負をかけていかなければいけないと考えているようだ。

「2年目というのもあるし、自分の年齢的な部分やスキルの面もあるし、何年も同じとこで走っていてもいけないという思いがあります。F3はあくまでも通過点という気持ちがあるので、ここで立ち止まっていてはいけないです。一歩ずつでも前に進んでいきたいなと思います」

普段はEXEDYの社員として頑張っており、レース活動では必ずと言っていいほど、EXEDYがしっかりとしたサポートしている。

しかし、彼女はそこに甘えることなく“レベルアップするために何をしなければいけないのか?”を模索。冬の間から、様々なアプローチで準備を進めてきた。

©︎Tomohiro Yoshita

「トレーニングはずっと続けてきたんですけど、いつも“もっと頑張らないと!”というきもちがあって、逆に怪我に繋がってしまっていて、(それを防ぐために)トレーニングの方法を変えてみました」

「あとシミュレーターを活用させてもらって、F3だけではなくて、いろんなクルマを選択して、キャラクターの違うクルマに乗っても対応できるようなトレーニングというのをやってきました」

「チームに行く機会を増やして、メカニックさんやエンジニアさんとコミュニケーションをとる機会を増やしましたね」

特にシミュレーターに関しては、F3のマシンを使って開催コースの練習をするのではなく、様々なカテゴリーのマシンに乗って、それを速く走らせるための、ベースとなるスキル習得を意識してのトレーニングを行なってきたとのこと。

もちろん、チームやスポンサー、応援してくれるファンの期待に応えなきゃいけないというプレッシャーはあるというが、それ以上に自分自身で“もっと良い結果を出したい”という思いが、今シーズンの変化につながっているのは間違いないようだ。

©︎Tomohiro Yoshita

「本当に結果を出さなきゃいけないという部分もあるし、結果を出したいという思いも強いです。今年に入ってからシーズンオフの間に変えたことが、大きくあるので、毎日の生活が全て変わってきました。そこが少し結果に現れてきたのかなと思います」

「あとは、体力面がちゃんと整えられれば、もっと(レベルの高いところで)戦えると思います」

 

当面の目標は…Cクラスでの表彰台

©︎Tomohiro Yoshita

普段、ピットウォークなどでは満面の笑みでファンサービスをしているのが印象的な三浦だが、実際には見えない部分で本当にストイックになって自らのスキルを磨いている。

なぜ、そこまでやるのか?その答えは、Nクラスで何度もみた“あの光景”をもう一度みること。

実は、ここ鈴鹿は彼女にとっても思い出の地で、2014年に初めて全日本F3選手権Nクラスに参戦し、そのデビュー2戦目で初優勝を飾った場所。

そこから、何度も表彰台を経験してきたのだが、やはりCクラスは強豪揃いで、なかなか簡単に辿り着ける場所ではない。

本人は、多くは語らなかったが、今度はCクラスで表彰台に立つこと、それを目指していることが、モチベーションになっているようだった。

「やっぱりNクラスの表彰台とは価値が全然違うから、そこは……目指したいですね。でも、その可能性が今年になって少し見えてきたし、課題もある程度は明確になっているので、それを確実に良くしていくだけです」

 

まとめ

©︎Tomohiro Yoshita

ピットウォークなどでは、常に笑顔でファンと接しているのが印象的な三浦。そんなフレンドリーな一面もあって、いつも彼女の周りには多くのファンが集まり、「がんばってください!」「応援してます!」と暖かい言葉が贈られている。

しかし、いざヘルメットをかぶって、マシンに乗り込むと、そのオーラは一変。優勝を目指し、限界まで攻め込んでいく一人のレーシングドライバーとなる。

ただ、特に今年はマシンに乗り込む時の雰囲気が違い、昨年まで以上に「もっと上を目指したい」という気迫が伝わってきている。

©︎Tomohiro Yoshita

それが、今回の鈴鹿では自己ベストを更新する結果につながり、次への自信にもつながった。

次回は5月13・14日の富士スピードウェイラウンド。今後も彼女の走りから、目が離せない。

 

次のページでは、三浦愛選手の2日間を振り返ったフォトギャラリーをお送りまします!

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Writer Introduction
Tomohiro Yoshita

フリーのモータースポーツジャーナリスト。サーキット取材は2011年からスタートし、最近ではSUPER GTスーパーフォーミュラを全戦取材。この他にもF1をはじめとする海外レースや、2輪レースもカバー。レースに関する記事だけでなく、サーキットに来場するファンに役立つ情報発信も展開しています。http://www.kansenzyuku.com

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