MotoGP™参戦中のイギリス人ライダーであるカル・クラッチローは、2016年の第11戦チェコGPで優勝を果たしました。実はMotoGPクラスにおいてイギリス人ライダーが優勝したのは、なんと35年ぶり!!そんな誇り高き英国人カル・クラッチローに注目してみました。

 

カル クラッチロー

© 2016 Dorna Sports SL. All rights reserved.

 

 

バリー・シーン以来のMotoGPクラス優勝

 

カル クラッチロー

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2016年MotoGP™第11戦チェコGPでイギリス人ライダー カル・クラッチロー(Cal Crutchlow)が優勝を手にしました。

その驚くべきは、イギリス人ライダーがMotoGPクラスで優勝したのは、1981年スウェーデンGPでバリー・シーンが優勝して以来。

イギリスはモータースポーツが盛んな国で、2017年はWSBKでイギリス人ライダーのジョナサン・レイ(Jonathan Rea)が3年連続でシリーズタイトルを獲得し、F1ではイギリス人ドライバーのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)がシリーズチャンピオンを獲得するなど、大活躍を見せています。

また、MotoGPを運営する側やメカニックにも多くのイギリス人が働いているのですが、残念ながらMotoGP™ではスペイン人やイタリア人ライダーが活躍する一方で、イギリス人ライダーは影を潜めていました。

しかし、この優勝によりイギリスで最も歴史と権威ある王立の自動車クラブ団体『ROC(ロイヤル・オートモービル・クラブ)』は、クラッチローにトレンス・トロフィーを授与。

これは国際的なモータースポーツで優れたイギリス人に与えられるもので、MotoGP™でのクラッチローの活躍がイギリスの二輪車分野に大きく貢献をしていることを称賛されたのです。

 

幼少期はサッカー少年だったカル・クラッチロー

 

カル クラッチロー

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クラッチローは1985年10月29日生まれの現在32歳で、イングランド・ウェスト・ミッドランド州で生まれました。

父親もレーシングライダーで、『カル』という名前は1960年から1970年代にかけてダートトラックレースなどで活躍したアメリカ人プロライダー カル・レインボーン(Cal Rayborn)からとって名付けられたそうです。

幼少期はバイクに興味を持たず、そのかわりにサッカーに興味をもっていて、プロサッカーチームであるコヴェントリー・シティFC(Coventry City F.C.)やアストン・ヴィラFC(Aston Villa F.C.)のジュニアチームトライアルを受けるなど、本気でプロサッカー選手を目指していました。

しかし、そのとき膝に怪我を負い、父親の影響もあってバイクレースに集中するようになっていきます。

そして14歳となった1999年にイギリスジュニアチャレンジカップで優勝。

16歳でアプリリアRS125チャレンジでチャンピオンに輝きました。

その後、2003年はヤマハYZF-R6のワンメイクレース、ヤマハR6カップに参戦し、後にBSB(英国スーパーバイク選手権)チャンピオンとなるトミー・ヒル(Tommy Hill)に続く2位を獲得。

2004年から英国スーパースポーツ選手権に参戦し、2006年のシリーズチャンピオンに輝きます。

さらに、BSBにステップアップしてから2年目となる2008年にはシリーズランキング3位。

そして2009年、WSS(世界スーパースポーツ選手権)にヤマハYZF-R6で参戦し、なんと参戦初年度でいきなりシリーズチャンピオンを獲得する快挙を成し遂げたのです。

翌2010年にはWSBK(世界スーパーバイク選手権)にステップアップし、ヤマハYZF-R1に乗って年間ランキング5位。

世界戦デビューから優秀な成績を収めたことで、2011年からモンスターテック3チームに加入し、ヤマハYZF-M1でMotoGP™最高峰クラスデビューを果たしました。

そんな2011年のMotoGPクラスフル参戦ライダーを見ると、ほとんどがMotoGP™125ccクラス・250ccクラスからステップアップしたライダーであり、当時スーパーバイクからMotoGPクラスへ移行したライダーは、ニッキー・ヘイデン(Nicky Hayden)、ベン・スペース(Ben Spies)、コーリン・エドワーズ(Colin Edwards)のアメリカ人ライダー3名のみでした。

さらに2017年シーズンに注目すると、MotoGP™125ccクラス・250ccクラス・moto2クラス・moto3クラス以外からMotoGPクラスへ移行したライダーはダニロ・ペトゥルッチ(Danilo Petrucci)とロリス・バズ(Loris Baz)のみで、クラッチローのキャリアは珍しい道筋とも言えます。

 

カル・クラッチローの主な戦歴

 

カル クラッチロー

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英国スーパースポーツ/スーパーバイク選手権時代【2004~2008年】

シーズン レース マシン 年間ランキング
2004年 スーパースポーツ ホンダCBR600RR 10位
2005年 スーパースポーツ ホンダCBR600RR 3位
2006年 スーパースポーツ ホンダCBR600RR 1位
2007年 スーパーバイク スズキGSX-R1000 9位
2008年 スーパーバイク ホンダCBR1000RR 3位

 

WSBK/WSS時代【2009~2010年】

シーズン レース チーム マシン 年間ランキング
2009年 スーパースポーツ Holiday Gym Racing ヤマハYZF-R6 1位
2010年 スーパーバイク Yamaha Sterilgarda Team ヤマハYZF-R1 5位

 

MotoGP™【2011年~】

シーズン クラス チーム マシン 年間ランキング
2011年 MotoGP Monster Yamaha Tech 3 ヤマハYZR-M1 12位
2012年 MotoGP Monster Yamaha Tech 3 ヤマハYZR-M1 7位
2013年 MotoGP Monster Yamaha Tech 3 ヤマハYZR-M1 5位
2014年 MotoGP Ducati Team ドゥカティGP14 13位
2015年 MotoGP CWM LCR Honda ホンダRC213V 8位
2016年 MotoGP LCR Honda ホンダRC213V 7位
2017年 MotoGP LCR Honda ホンダRC213V 9位

 

住まいはバイクレースの聖地マン島!オフはトッププロサイクリストとトレーニング

 


クラッチローはマン島TTレースが開催されるイギリスの王室属領・マン島に住まいがあり、オフシーズンは妻と二人の子供たちと自宅で過ごしています。

そんなバイクレースの聖地であるマン島には、クラッチローの友人でプロサイクリストであるマーク・カヴェンディッシュも住んでいるそう。

ちなみに、カヴェンディッシュは世界選手権で優勝やリオデジャネイロ オリンピックの自転車トラックレース男子オムニアムで銀メダルを獲得しており、フィニッシュライン間際で勝負をかけるゴールスプリントでは世界最高とされるトップサイクリストです。

クラッチローはオフシーズンに、カヴェンディッシュと一緒に自転車のトレーニングを行っており、BBC Sportのインタビューでは「冬の間、私は基本的にプロのサイクリストになる。」と語っています。

カヴェンディッシュも大のクルマとバイク好きであり、クラッチローと一緒にオフロードやミニバイクに乗ったりもする仲!

最近は心肺機能強化のために多くのMotoGP™ライダーが自転車トレーニングを取り入れているので、クラッチローもオフシーズンに素晴らしい友人とトレーニングに励んでいるようです。

 

まとめ

 

カル クラッチロー

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クラッチローはホンダと2019年まで契約を延長し、2017年同様にLCRホンダからRC213VでMotoGPクラスに参戦します。

また、2017年11月にはホンダのプライベートテストでRC213Vの開発テストに参加し、ホンダへの貢献度は高く、信頼度も高いライダーのひとり。

そんなクラッチローのチームメイトに中上貴晶が加わることが決まっているので、中上と共にワークスライダーと互角のバトルを繰り広げることに期待したいと思います。

 

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