F1で最も伝統と格式を誇る大会である「モナコグランプリ」。今年も5月26〜29日に開催されます。「ル・マン24時間レース」や「インディ500」と並んで世界三大レースに挙げられ、大きな注目を浴びる、このレースはどういった所が違うのか、またモナコGPの魅力をご紹介します。

©Pirelli

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第73回目となる伝統と格式のモナコGPの季節がやって来た!

初めて開催されたのは1929年。

歴史あるモナコGP大会は、F1世界選手権が誕生した1950年からは、毎年欠かすことなく開催されています。

その格式の高さは世界3大レースの一つに数えられ、モナコ王室などが協力するほどの国を上げた一大イベントとなっており、多くのF1ファンが現地での観戦を夢見るほど、有名なレースなのです。

開催期間中は普段は3万人しかいないモナコの人口を大幅に上回る20万人が訪れ、著名人であるハリウッドスター、映画監督など多くのセレブが集い、F1のグランプリの中でも抜群の華やかさを誇ります。

レース観戦に熱狂するスペインやイタリアなどとは全く違った雰囲気で、クルーザーでワインを片手にレース観戦をする現地観光客も、もはやお馴染みの光景となっています。

モナコでしか実現しない「F1+優雅な街並み」

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レース映像からも伝わる雰囲気は、他のグランプリとは全く違うのは一目瞭然。

F1マシンは平均スピードは時速200kmあまりで、ガードレールに囲われた一般道を駆け抜け、ガードレールのすぐ横に立つ高級マンションのベランダからは多くのファンが顔を出しレースを見守るのがモナコGPの特徴の一つ。

コースの中には、カジノの前を横切るコーナーや、F1で最もゆっくり走るコーナーである「ローズヘアピン」、モナコ名物の「トンネル」、そこを抜けると地中海を臨む海岸沿いには停泊する豪華客船で埋め尽くされています。

もちろん、これらの光景はモナコ以外で観ることはできません。

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また、全長3.3kmにも及ぶガードレールに囲まれた市街地コースは、華やかな街並みの中に刺激と興奮をもたらします。

この普段は一般道として使われている市街地を時速200km以上のスピードで行われるレースは、一歩間違えば即クラッシュとなるため、ドライバーたちは一瞬足りとも油断することは出来ません。

なので、モナコGPは「ミス=クラッシュ、リタイア」と言っても良いくらいシビアなコースなのです。

「モンテカルロ市街地コース」コースガイド

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モナコ市街地コースの特徴として、1周3.340mの市街地コースを全78周で行われるレースを開催するためには、市街地を封鎖してサーキットを作り上げるため設営に6週間、撤去に2週間を要します。

それではコースを細かく見ていきましょう。

高低差が激しいコースの前半、山側区間編

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F1では1コーナーとなるサン・デ・ボーテ(出典:http://matome.naver.jp/)

こちらは1コーナーとなる通称「サン・デ・ボーテ」。

この近くにある教会にちなみそう呼ばれており、レースのスタート直後には毎年のように接触事故が発生し、モナコでは数少ない追い抜きのポイントになっています。

1コーナー「サン・デ・ボーテ」を抜けた先には、長い上り坂「ボー・リバージュ」があり、F1マシンは時速280km以上で駆け上って行く姿はまさに迫力満点。

その後、低速区間に入るために一気に減速する姿も見られる所も観戦ポイントの一つとなっています。

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カジノコーナーは名前の通りカジノ前の広場がコースに含まれていることに由来し、長い左コーナーと鋭い右コーナーは非常に難易度が高く、毎年この箇所のガードレールの餌食になるドライバーが現れています。

ここまでがセクター1と呼ばれるセクション。
低速の右コーナー「ミラボー」を抜けると、モナコの名所と言えるコーナーに差し掛かります。

フェアモントヘアピン(通称ローズヘアピン)はF1で最も通過速度が遅く、半径が小さいという事で知られており、とても狭くF1では珍しくステアリングを最大限回すようなコーナー。

このポイントでの接触ギリギリでの追い抜きシーンは、テレビで見たことある方も居るのではないでしょうか?

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高速コーナーが連続する海側区間編

ここでコースの山側区間は終わりとなり、ハイスピードな海側区間が始まります。

まずは、モナコ名物の「トンネル」が見所。
実際には照明がついていますが、ヘッドライトも装着していないF1マシンに取ってみれば視界が悪い場所となっており、トンネル出口で外に出た際に、今度はいきなり多くの光が目に入り込むとドライバーの視界は真っ白になり、一瞬ではありますが視力を失ったような状態に陥ると言われています。

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時速290kmまで加速しトンネルを飛び出すと、モナコで最もバトルが頻発するヌーベルシケインへと突入していきます。

このコース最大のバトルである「ヌーベルシケイン」は時速290kmから、一気に時速80kmまで速度を落とすコーナー。

マシンがなんとか一台通り抜けられるかという程の狭い幅なので、ここでバトルを仕掛けるにはドライバーの度胸とマシンを正確にコントロールする技術が求められます。

ヌーベルシケインを抜けるとコースも終盤へ入ります。
クルーザーが停泊する海岸沿いの連続コーナーをリズミカルに駆け抜けてゆくF1マシンを見ながらお酒を飲んでみたいものです。

テレビの中継でもクルーザーが停泊している横を、右に左にF1マシンが旋回する映像が映し出されますが、それはまるでF1マシンがダンスをしているように見えドライバーのステアリングさばきにも是非注目して欲しい区間です。

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この連続区間を抜けると、いよいよ最終セクションのラスカス、アントニーノーズという最後の連続右コーナーをクリアしモナコの1周を終えます。

ちなみにラスカスはそのコーナーの目の前にあるレストランの名前をとってそう呼ばれることとなったそうで、このコーナーで起きた事件といえば「ラスカスゲート」が有名です。

モンテカルロ市街地コース:コースガイド(公式版なので解説は英語ですが、コースの狭さがわかると思います(Formula1.com)

モナコのコースには全てのコーナーに愛称が付けられており、どのコーナーもこれまで多くのドラマを演出してきました。

今年もどこかのコーナーできっと新たなドラマが起こるかもしれませんね?

名手ぞろいの「モナコマイスター」

モナコ歴代最多6勝を誇るセナ、写真中央(出典:http://matome.naver.jp/odai/)

モナコでの1勝は他のサーキットの3勝に値すると言われるほど価値が高いもの。
現在も全21戦で行われるF1カレンダーの中でも非常に重要なレースと位置付けられています。

しかし約2時間弱の長いレースで、狭い市街地コースを一つのミスも許されずに戦い抜くテクニックを必要とする…。それがモナコの難しいところであり、プロフェッショナルな運転の見せ所。

これまでの歴史の中でも多くのドライバーが挑みは散っていきました。
そのなかで勝利した者には、いつも以上の賞賛が待ち受け、いつしか彼らを「モナコマイスター」と呼ぶようになりました。

モナコ・マイスターといえば、F1界で伝説のドライバー、アイルトン・セナはモナコで6度の優勝を飾っておりモナコ最多勝記録を保持。ミハエル・シューマッハとグラハム・ヒルが5勝を挙げています。

また現役でもF1王者の経験があるドライバーは5名おり、その全員がこのモナコで勝利を収めた経験があるというのも名手が「モナコマイスター」と呼ばれるに相応しいことを証明しているのではないでしょうか?

まとめ

世界中のセレブリティがドライバーの戦いを見守る過酷で華やかなモナコGP。

今年はどのようなドラマが生まれるのでしょうか?今から待ちきれませんね!

第73回伝統のモナコGPは5月29日に決勝レースが行われます。

今後掲載されるMotorzのモナコGPプレビューも合わせてご覧いただくと、レース前からより一層楽しめるかもしれませんよ!?