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ボディの木枠が目印!ちっちゃいミニの、長くてオシャレな『カントリーマン』を知っていますか?

ミニ・カントリーマンと言えば、現在のBMW ミニをちょっとかじった程度の人ならば、「ああ、日本ではミニ・クロスオーバーを名乗ってるSUVモデルね?」と思い出すかもしれません。しかし、BMC時代の古き良きミニにどっぷり浸かった経験のある人や旧車好きなら、車体後部に木枠のついた、小さなシューティングブレークを思い出すと思います。そんな、ミニ・バン同様にロングホイールベース版ミニでもあるミニ・カントリーマン(あるいはモーリス ミニ・トラベラー)は、今見ても魅力あふれる1台です。

 

オースチン ミニ・カントリーマンMk.I  / Photo by allen watkin

 

 

モーリス マイナートラベラーと並ぶ、古き良き英国車

 

オースチン ミニ・カントリーマンMk.I  / Photo by sv1ambo

 

BMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)時代の古き良きミニ、初期の計画名からADO15とも呼ばれるミニのラインナップは複雑です。

そもそも、BMCとは不況下で複数の自動車メーカーが合併した集合体でしたが、同じ車をそれぞれのブランドで、それも社名が異なったり同じだったり、ブランドイメージに合わせて内外装が異なったり同じだったりと、統一感の無い色々なモデルがありました。

おまけにBMC自体もさらに合併やブランド統合などを経てBLMC(ブリティッシュ・レイランド・モーター・コーポレーション)、ブリティッシュ・レイランド、ローバー・グループと移り変わっていったので、細かく把握しようとすると頭が痛くなるほど。

そのようなイギリス自動車界の大混乱の中で生まれたミニも、1959年の発売当初は”オースチン セブン”および”モーリス ミニ・マイナー”として販売されていました(輸出名まで含めると、さらに面倒な話になります)。

それらはすぐに”オースチン ミニ”および”モーリス ミニ”として”ミニ”の名に統合されますが、1960年に発売されたステーションワゴン版も同様の経緯をたどり、”オースチン ミニ・カントリーマン”と”モーリス ミニ・トラベラー”と名付けられました。

 

カントリーマンの元祖、モーリス マイナー・トラベラー  / Photo by Torsten Hofmann

 

この2車が現在では”ミニ・カントリーマン”として知られていますが、そのルーツはミニ登場以前から販売されていた、モーリス マイナートラベラーにあります。

マイナートラベラーはモーリス マイナーの3ドアステーションワゴン版で、車体後部外装の木枠と、上方跳ね上げ式ではなく両開きの観音開き式リアゲートが大きな特徴で、ミニ自体がモーリス マイナーより小型で簡素な車として作られたように、オースチン ミニ・カントリーマン / モーリス ミニ・トラベラーも、モーリス マイナー・トラベラーの小型版としてその特徴を引き継いでいました。

 

ミニの魅力に実用性を付加した、マニア憧れのモデル

 

モーリス ミニ・トラベラーMk.I  / Photo by Andrew Bone

 

1960年、ミニのホイールベースを延長して荷室を拡大し、観音開きのテールゲートを持つ、3ドアモデルが追加されました。

1つは質素な内外装を持ち、リアウィンドウを省略することでイギリスでは税金の安かった商用のパネルバン、その名もミニ・バンで、もう1台が乗用ステーションワゴンのミニ・カントリーマンです。

(前項で述べたように当時の車名は異なりますが、ややこしいので以降は”カントリーマン”に統一します。)

こちらはモーリス マイナートラベラーと同様に車体後部外装には木枠が用いられていますが、構造材の一部ではなく純粋な装飾用で、イギリス国内市場向けには木枠の無いバージョンも存在しましたが、人気があったのは木枠ありの方で、車体が延長されて積む荷物が増えたにも関わらず、その当初わずか34馬力の848ccエンジンでしたが、そもそも車重が軽かったので当時はそれでも十分と思われたのかもしれません。

その後、1967年のマイナーチェンジで42馬力の998ccエンジンに換装されたので、登坂路でのパワー不足に悩まされる心配は減りました。

ただし、カントリーマンが生産されていた時期のミニは、フロントドアのウィンドウがレバーハンドルで上下せず、単に半分ずつレール上を動かせるのみ。

つまり最大でも半分しか開きません。

もちろん後付けでもエアコンなどが付く時代の車ではないので、ミニ・カントリーマンを単なるオシャレで乗ろうと考えた場合、メンテナンス面だけでなく真夏の炎天下で熱中症にならないための気合と装備が必須でした。

ただ、ミニのスタイリングや走りに惚れ込んだユーザーであれば、そんなところも”魅力”と感じる可能性もあり、1980年代以前からのドライバー、あるいは旧車や競技車乗りであれば、特に不満に感じることも無いと思います。

 

BMW版ミニのカントリーマンとは何が違う?

 

古のミニ・カントリーマンの血を濃く受け継いだBMW版2代目ミニ・クラブマン(R55)  / Photo by Gabriel Bridger

 

なお、2001年以降販売されているBMW版のミニでは、SUVモデルのミニ・クロスオーバーを当初ミニ・カントリーマンの名で販売していましたが、今回ご紹介したカントリーマンとは関連がありません。

むしろBMW版ミニでカントリーマンに近いモデルは2007年日本発売のミニ・クラブマンで、観音開きテールゲートを持つステーションワゴン版というスタイルはまさにこのミニ・カントリーマンに近いもの。

現行型(BMW版として3代目)のクラブマンは5ドアで車体後部の木枠も無いため『それらしさ』は観音開きテールゲートに名残を残すのみとなっています。

しかし、BMW版2代目に初設定された時は右側にのみ(RX-8やFJクルーザーのような)、フロントドアを開いた時のみ開けられる観音開き式リアドアはあったものの、外観上はホイールベースを延長した3ドアステーションワゴン版。

さらに、木枠こそ無かったもののテールゲート周りにはボディ別色に塗り分けることも可能な”コントラスト・リアピラー”が設定されていたので、旧カントリーマン風に仕上げることも可能でした。

 

主要スペックと中古車相場

 

オースチン ミニ・カントリーマンMk.II  / Photo by Scott Wagner

 

オースチン ミニ・カントリーマン 1960年式

全長×全幅×全高(mm):3,299×1,397×1,360

ホイールベース(mm):2,138

車両重量(kg):674

エンジン仕様・型式:水冷直列4気筒OHV8バルブ

総排気量(cc):848

最高出力:34.5ps/5,500rpm

最大トルク:6.1kgm/2,900rpm

トランスミッション:4MT

駆動方式:FF

中古車相場:235万~420万円(各型含む)

 

まとめ

 

オースチン ミニ・カントリーマンMk.II  / Photo by Andrew Bone

 

ただでさえ愛らしいスタイルのBMC ミニですが、そこに木枠がついて両開きのテールゲートを持つカントリーマンともなると、本来持つキビキビした走りとはまた異なる牧歌的な一面を見せてくれます。

イギリスの常にちょっと曇った空の下で涼しげというより肌寒いような風の吹く草原がよく似合う1台であり、日本のように真夏にはギラギラとした陽光の下、高温多湿の環境で酷使するのは、本来の姿ではありません。

ただ、古き良き時代を体験するには格好の1台であることもまた事実で、本国を遠く離れた、今や亜熱帯に近い島国であえて真夏のレジャーに使うのもまた”粋”であり、最高の贅沢とも言えます。

それゆえか、イギリス本国を含め海外では実用車として乗り潰される一方で、現存するカントリーマンは日本に多いとも言われており、今でも旧車やミニのイベントでは定番に近い存在。

モーリス マイナー・トラベラーともども木枠の維持には気を遣うところではありますが、あえて放置してキノコを生やすのも乙なもの。

そんな楽しみ方ができる車は、なかなか無いと思います。

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 その後はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっていました。

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