ハイエース(200系)はその圧倒的な積載能力と汎用性の高さから、ビジネスユースのみならず、アウトドアやファミリーユースにおいても絶大な支持を得ています。しかし、オーナーであれば誰もが直面する課題が存在するのも事実。「後席(リア)空調の操作性・快適性の欠如」に悩まされている方も多いと思います。

今回は、この長年の課題に対するアルパインからの回答とも言える新製品「ハイエース(200系)専用 リアオートエアコンコントローラー」について、実際に筆者が実機を検証した様子をレポートします。ハイエースを20年近く使ってきたオーナーとしての視点を交えつつ、本製品がもたらす車内環境の変化について詳述していきましょう。

Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

「貨物車」ゆえの構造的課題と居住性の限界

大前提として確認しておきたいのは、ハイエース(特にバンモデル)があくまで「貨物車」であるということ。セカンドシート以降は法規上「荷室」と定義されており、前席と比較して快適装備が大幅に簡素化されているのが実情です。オーナーの間で、後席乗員に対して「人権がない」と自嘲気味に語られる所以もここにあるのでしょう。

特に顕著なのが空調システムです。一般的な乗用ミニバンと異なり、ハイエースのリア空調は「天井のクーラー」と「側面のヒーター」が独立して配置されています。さらにその操作系も分散しており、クーラーのスイッチは天井にある一方で、ヒーターのスイッチは助手席側後方のBピラー下部に設置されているのです。

この配置は運転席からの操作ができないのはもちろん、後席乗員にとっても極めて分かりにくいものと言わざるを得ません。筆者自身、同乗者に「寒ければ右後ろの壁の下にあるスイッチを入れてほしい」と説明を繰り返してきた経験があります。結果として、快適な室温を維持するには、乗員が手動でクーラーとヒーターを個別に調整し続けるという、いわば「熟練の勘と経験」に頼らざるを得ない状況が続いていました。

独自制御による「オートエアコン化」の実現

こうしたハイエース特有の課題を解消すべく開発されたのが、アルパインの「リアオートエアコンコントローラー」です。本製品の最大の特徴は、純正のマニュアル空調をデジタル制御により「オートエアコン化」する点にあります。

既存のハイエースの空調システムを流用しつつ、いかにして温度管理を実現しているのか。その核心は新たに追加された2つの温度センサーです。

  1. ルーフ側センサー(ルームランプ後方): 顔周りなど、乗員が温度を感じやすいエリアを計測
  2. Cピラー側センサー(助手席側): 足元や胴体周りの温度を計測

特筆すべきは、2つ目のセンサーが助手席側(左側)に配置されていること。純正ヒーターの吹出口は運転席側(右側Cピラー下部)にあるため、センサーを右側に設置するとヒーターの熱を直接感知し、室内が十分に暖まる前に出力を抑制してしまう恐れがあるのです。あえて熱源から遠い左側で計測することで、空間全体の温度を正確に把握し、適切な制御を行えるよう設計されています。

この緻密なセンシングにより、設定温度に合わせてファンが断続的に稼働し、クーラーとヒーターを自動で制御してくれます。チャイルドシートに乗るお子様など、自身で空調操作ができない乗員がいる場合でも、一度温度を設定すれば快適な環境が維持される点は、非常に大きなメリットです。

また、AUTOモード稼働時は市販初のベンチレーター(送風)機能が作動し、暖気・冷気の滞留を防ぎ快適性をさらに向上させます。

洗練されたUIと操作性の刷新

機能面だけでなく、ユーザーインターフェース(UI)の刷新も見逃せないポイントです。
純正のアナログレバーに代わり、視認性に優れたデジタル表示とボタン操作を採用することで、車内の質感は大きく向上しています。近年主流となっている高級ミニバンの操作パネルと比較しても、遜色はありません。

また、操作ロジックも合理的になっています。「MAX COOL(急速冷房)」「MAX HEAT(急速暖房)」ボタンが搭載されており、夏場の乗車直後など、即座に空調を効かせたい場面でもワンタッチで対応が可能です。

さらに、本製品には専用のリモコンが付属しているのも、痒いところに手が届くアルパインらしいポイント。これにより、走行中の後席からはもちろん、車中泊やキャンプなどでベッドキットを使用している際にも、寝転がったまま手元で空調管理が行えます。

ハイエースのリア空間を「令和」基準へ

ハイエース(200系)専用 リアオートエアコンコントローラーは単なるスイッチの交換という枠を超え、ハイエースの後席環境を根本から見直すことができるアイテムです。

分散していた操作系を一元化し、自動制御を導入することで、これまで強いられていた煩雑な操作から解放されます。昭和、平成初期のアナログな空調環境から、令和のデジタル環境へと一足飛びに進化するような感覚に近いかもしれません。

さらに空調管理だけでなく、デザイン面でもリアルーフ周辺が大変身。
高級ミニバンにひけをとらないグレードアップを実現します。

今回改めて、「ハイエースならアルパイン」というブランドメッセージを強く感じることができました。ハイエースのネガティブな要素を的確に解消し、利便性を高める。同乗者の快適性を重視するオーナーにとって導入を検討する価値は十分あり、気になった方は、ぜひ一度アルパインのホームページを御覧ください。

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