Motorzでは6月に大阪で行われたスタイルボックスミーティング(以下SBM)に続き、今回は2023年10月1日(日)に行われたSBM愛知にもお邪魔してきました。なんでも、ハイエースユーザー見逃し厳禁というアルパインの新製品が発表されるのだとか。ということで、大注目の新商品に加え、実際に体験したユーザーの声を交えレポートしていきます。
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Photo : Kiyoshi WADA Text : Shingo MASUDA
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ハイエース好きが集まるスタイルボックスミーティングとは
今回2回目の訪問となったSBMは、1ナンバーや4ナンバーといったバン(貨物車)が中心のカスタムカーイベント。
また、自動車メーカーやパーツメーカー、カスタムショップの出展がメインのイベントとは異なり、イベントの主役はユーザーカーなのが大きな特徴です。
バスや軽バン、輸入車などさまざまなカスタムされたバンが並ぶ中、やはり圧倒的に多いのがハイエース。
そのスタイルも、フルエアロを巻き大径ホイールを履いた王道スタイルからインパクト大のアゲ系などさまざまで、1日で全てチェックするのは難しいかもしれません。
2023年6月の大阪泉大津フェニックスに続き、愛知国際展示場の多目的広場には700台以上のユーザーカーが集まり、生憎の天候にも関わらず大きな盛り上がりを見せていました。
ハイエースのために開発された最新オーディオシステム
まさに箱車好き、ハイエース好きにはたまらない本イベントなわけですが、今回アルパインが満を持してハイエース向けの新商品を発表するとのこと。近年メーカーの新商品発表はWEB上のウェビナーやメーカー系の出展が多い大きなイベントが一般的であるため、ユーザーカーが主役のイベントで発表されるのは異例です。
あえてハイエース好きとオーナーの目の前で発表するというのは、メーカーとしての自信と気合いの現れなのかもしれません。
そこで発表されたのが、ハイエース専用のサウンドシステム「OPTM8-HI」です。
OPTMとは「OPerate Time domain and Magnitude」の略。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、これまで運転席や前席の真ん中といったように、どこか1点に絞って行っていたサウンドチューニングを車内空間全体で最適化してくれるという代物です。
まず特徴的なのが、前席と後席のあいだ、リアエアコン操作パネルの左右に5cmのスピーカーを追加
ハイエースは純正のリアスピーカーが荷室の後部にあり、どうしても後席に届き難かった音を補完してくれます。
また、前席の頭上にも同サイズのスピーカー、フロントドアスピーカーにサブウーファーを格納し、低音と高音をダイレクトに聴くことができます。
そして、このシステムの目玉と言ってもいいのが、8chDSPパワーアンプ「OPTM8」。
8chのパワフルなパワーアンプとしてだけではなく、音場を整える機能を併せ持っており、専用のチューニングアプリを使って最適な音響チューニングを誰でも簡単に行うことが可能です。
どうしても素性がバンであるハイエースは、高次元に整えられた音響空間へ仕上げるのは簡単ではなく、筆者をはじめ多くのユーザーが持つ悩みでもありました。
その証拠に、アルパインブースの発表会会場には多くのユーザーが集まっていたことからも、その関心の高さが伺えます。
発表会では、OPTM8-HIを開発するに至った経緯や製品の特徴が紹介され、どちらかと言えばイケイケのカスタムかーイベントには不釣り合いなほど、皆真剣な表情で話を聞いていたのが印象的でした。
とは言え、やはり気になるのがOPTM8-HIの実力ということで、我々報道関係者に加えて一般の来場者向けの体験会へと移っていきます。
ハイエースの車内を極上の音響空間に変える音の広がり
体験会の内容は、前席、後席とそれぞれの着座位置で、システムのオンオフを聴き比べるというもので、早速前席から体験していきます。
まずはシステムがオフの状態ですが、この状態でも決して悪いという感じはありません。頭上にスピーカーが配置されていることにより、アルパインらしい音の輪郭がはっきりとした明瞭な音がばっちりと聞こえてきます。
ただし、強いていうのであれば、物理的な距離にして30cm程度の頭上にスピーカーがあるため、やや音がダイレクトすぎるという印象です。
もしこのままでなんとかするのであれば、少しボリュームを落としてリア寄りのセッティングにしたくなります。
そこでシステムをオン!するとなんということでしょう。
それまで頭上にあったスピーカーの存在感がなくなり、車内全体が鳴っている感じに変化。
正直言葉でお伝えするのは非常に難しいのですが、どこか特定の音源から音が出ている感じがなく、車体そのものがスピーカーになったような広がりを感じます。さらに、アルパインらしい本来のクリアで立体感のある音はそのままに、音のシャワーを浴びているような感覚です。
そして、その感覚は後席に映っても変わりません。これまでハイエースの後席は、貨物スペースのおまけ的な存在で、音響面では不利と言わざるを得ない状況でした。
しかし、ここまではっきりと豊かな音が後席でも聴けるのであれば、友人や家族を後席に乗せることが多いユーザーには嬉しい変化です。
専用アプリを使えば5分でチューニング
さらに面白いのが、この絶妙な音響空間を作り上げるためのチューニングが、専用アプリを使えば誰でも簡単に行えるということです。
実際にそのやり方を見せていただくと、まず専用アプリをインストールしたiPhoneを用意し、チューニングを開始すると、スピーカーから「ピヨンピヨン」という電子音が断続的に流れます。そのまま画面の指示に従ってiPhoneを移動させるだけ。なんとそれだけの作業で、その車に適したセッティングにしてくれます。
ここで、アルパイン好きの方なら思うはず「もともとアルパインには車種専用設定があるよね?」と。まさにその通りなのですが、その車種専用設定も万能ではありません。
車内にはさまざまな素材が使われているのはもちろんのこと、グレードやカスタム内容によって個々の車内環境は違います。
そうなるとメーカー側で導き出したチューニングが、全てのハイエースユーザーに当てはまるとは限らないのです。
しかし、OPTM8-HIでアプリを使ってチューニングすることで、その車にあった最適な状態にセッティングしてくれるため、唯一無二の音響空間を作り出すことができます。
体験したユーザーの声
ここで、実際に体験したユーザーさんたちの声もお伝えしましょう。
まずは、ハイエースのプロショップではないものの、ハイエースにはかなり精通している東海サービスのヨシノさん。ご自身のハイエースにもベッドキッドを装着するなど、マルチにハイエースを使用されています。
「まず音の広がりと厚みに驚きました。これまで後席の音は諦めていましたが、どこにいても同じように聞こえるのはすごいですね。サーフィンでもキャンプでも趣味で使う場合は移動距離も長いので、快適な空間を作れるのはいいと思います」
と、日々ハイエースを使い込んでいるからこそ、弱点をよくご存知のご様子で、その違いに関心されていました。続いてお話をお伺いしたのは、2組のファミリー。
「ハイエースの純正スピーカーって、思っていたよりもチープなんですよね。なんとかしたいと思っていたので、実際に聞かせてもらって驚きました。決して安い買い物ではないけど、ここまで違うなら、奥さんも理解してくれるんじゃないかな(笑)」
ご家庭のあるお父さんにとって、カスタム費用をどう捻出するか、そして、奥さんをどう説得するかは永遠のテーマ。今回は奥様も一緒に聞いていただけたので、もしかしたらOKが出るかもしれませんね。
「音の響きの良さに驚きました。ハイエースは所有していないのですが、今後自分の車に合うものが出たら導入を検討したいと思います。」
今回発表されたOPTM8-HIはハイエース専用となっていますが、理屈で言えばさまざまな車種に応用できるはず。と口で言うのは簡単ですが、ぜひ他車種への展開も期待したいところです。
最後にお話をお伺いしたのは、ハイエースを扱う北陸のプロショップ「hazard(ハザード)」のツルタさんとオオマさん。ハイエースを知り尽くしたプロのご意見をズバッと聞いてみました。
「高音域はかなり聞きやすく厚みを感じました。ただ、リアの純正スピーカーが非力な分、もう少しリアで低音が欲しいですね。あとはスピーカーだけバラで販売できれば…(笑)」
「これまでハイエースでオーディオ周りを追求していくと、どうしてもかなりの費用と手間がかかる作業でした。ですが、これなら質の高い音を簡単に作れるので、コスパはいいと思います。ワンセットになっているので、これからオーディオカスタムを考えている方にはおすすめしやすいですね」
さすがプロショップのお二人。手厳しい意見がありつつも、日頃からユーザーの悩みや希望を直接聞いているだけあって、よりリアリティのある感想をお聞かせいただきました。
小技の効いたアイテムも発見!
OPTM8-HIのほかアルパインブースには、さまざまな場所で注目度満点のハイエースがベースのカスタムコンプリートカー「Carica(カリカ)」をはじめ、注目すべきアイテムが多数出店されていました。
中でも筆者が目をつけたのは、アルパインスタイルのノールックガイダンス。これはビッグXと連携させることで、ツイーターブラケットに仕込まれたLEDが光って曲がるポイントをお知らせしてくれるというアイデアアイテムです。
一般道では300m手前(高速道路では1,000m)で揺らぎ点滅、150m(高速道路では700m)で早い点滅をするため、ノールックというネーミングの通りナビ画面を注視することなく曲がるポイントを把握することができます。
また、細かいところで気になったのが、デジタルミラーのリアカメラを装着できる専用カバー。
筆者もそうであるように、これまでバックドアの内側(車内)にリアカメラを取り付けるのが王道でしたが、スムージングをしていたりキャンピングカーなどでは、ナンバー付近に車外用カメラを取り付ける必要がありました。
その場合、どうしても画角的に狭くなり、取り付け位置も低いことから、後続車のヘッドライトが眩しいという弊害があったのだそうです。
そこで、もともと純正のリアアンダーミラー取り付け箇所を活かしたブラケットを開発。
後続車のヘッドライトの影響を受けず、広い視野を確保しながら、違和感なくすっきりとカメラを取り付けることができています。
ユーザーに寄り添ったアルパイン商品
Motorzではこれまでさまざまなアルパイン商品を紹介してきましたが、どんな商品でも共通しているのがユーザーの想いに寄り添った「痒いところに手が届く」ということです。
ノールックガイダンスしかり、今回目玉として取材させてもらったOPTM8-HIしかり、やはりユーザーの「あったらいいな」を形にした商品になっていました。
筆者も長年200系ハイエースを所有し、実際にアルパイン製品を愛用させてもらっていますが、今回発表されたサウンドシステム「OPTM8-HI」の効果にはかなり驚かされました。
もちろん、コスパがいいとは言え、簡単に手が出せる金額じゃないかもしれませんが、これからまさにハイエースのオーディオカスタムを始めるという方は、ぜひ検討して損のない商品です。