自動車完成検査員は、自動車工場における最終工程となる“車の完成検査”を担当する人のことです。この自動車完成検査員は自動車工場に欠かせない存在ですが、“安全基準に適合しない車を見つける役割”がある以上、なるには資格の取得が必要です。
自動車完成検査員とは
自動車完成検査員は、自動車工場で完成・整備された車が安全基準に適合しているか、不具合はないか、整備が確実にされているかを検査する人のことです。
自動車メーカーが製造する車は安全上の観点から、政府の定める安全基準を満たしている必要があります。
また、メーカーが新しい車を製造する時には、車体やエンジンの型式を政府に届け出る必要があり、安全基準を満たしていると認定された場合に限り、製造を開始することができます。
自動車完成検査員は工場内で製造された車が、この型式に沿ったものであるかどうか検査する立場にあるので、車に乗る人々の安全を確保するという責任重大な仕事です。
そのため自動車検査員になりたいのであれば、まずはその仕事内容についてしっかりと把握することが大切だと言えるでしょう。
自動車完成検査員の仕事内容
自動車完成検査員の仕事内容は、以下のとおりです。
- テスターや計測機械を使い、保安基準適合車かどうかを確認。結果に応じて指示事項を出したり、報告書の作成業務も行ったりする
- 検査業務の指導・監督
- 検査関係書類作成・整理・保管
- 検査関連設備管理と改善
- 法令、通達等の自動車安全基準に関する情報把握、事故防止事項把握・徹底
車の完成検査では、外観検査・水漏れ試験・テストコース走行、ボルト緩みの有無確認、ブレーキ精度確認、メーターの誤差確認など、様々な工程があり、完成した車に不備がないかを徹底して確認します。
また、整備工場によっては検査業務だけではなく整備業務を担当することもありますが、その場合、検査員が整備した車を同じ検査員が完成検査することはできません。
なぜなら、整備から検査に至るまでの業務を一人の検査員が担当することは危険だからです。
また、自社工場で車検が可能な「指定整備工場」には、自動車完成検査員を必ず一人は配置することが必要です。
自動車完成検査員の資格
自動車完成検査員の資格は、以下の3つの取得条件を満たすことで、取得が可能です。
- 自動車検査員教習受講資格を得る
- 自動車検査員教習を受講する
- 教習の修了試験に合格する
また、自動車完成検査員の受講資格は、以下のとおりです。
- 教習開始前日まで、1年以上整備主任者として実務経験があること
- 直近の整備主任研修を受講済みであること
- 勤務先の工場が「指定工場」に認定されている、または認定を受けようとしていること
整備主任者になるには、整備士2級以上の資格を保有している必要があるので、自動車完成検査員になりたい場合は、まずは整備士2級以上の資格を取得しておきましょう。
自動車完成検査員として働くメリット
自動車完成検査員は自動車工場で安全検査を行い、製造された車が安全基準に適合しているかどうかを確かめる職業なので、人命を預かる重大な仕事です。
検査項目内で車の不具合を発見し、問題のある車が市場に出ないようにする必要があるので、集中力や忍耐力、車に関する膨大な知識が必須の職業だといえるでしょう。
また、毎日同じような作業を繰り返すことになるので、業務内容に飽きないことも大切です。
しかしその一方で、百以上の検査項目に対応できる有資格者なので、一度自動車完成検査員としての業務を経験すれば、他メーカーの自動車工場でも働くことが可能。
また、検査員の認定があるからこそ、工場内で安全基準に適合しているかどうか、不備がないかどうかの検査をすることができるので、資格を保有している自体が重宝されます。
自動車完成検査員は責任重大な仕事ですが、その分、給料が高く、応用のきく職業だといえるでしょう。
まとめ
自動車完成検査員になるには、まず整備士2級以上の資格を取得し、整備主任者としての業務を経て、研修を受けてから教習の受講と修了試験に合格する必要があります。
自動車完成検査員になるまでの道は長く、仕事に就いてからは重い責任を背負うことになりますが、“自分の手で安全な車を世の中の人々に届けたい”のなら、整備の仕事をしていく中で資格取得を目指してみては、いかがでしょうか。
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