前回に引き続き、R Magicのデモカーをご紹介。今回ご紹介するのは、見えないところまで徹底的にこだわり抜くことで、50kgの軽量化を果たしたNDロードスターRFです。軽量化に際しての最大の着目点は、なんとボンネットやトランクの裏でした。

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R Magicが仕上げたNDロードスターRF

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前回のFD3Sに引き続き、今回もR Magicのデモカーを紹介します。

今回ご紹介するデモカーは、これまた大原さんの手によってチューンされた、NDロードスターRF。

このRFのコンセプトは、「カッコよさ」だけではなく、「オールマイティに楽しめて、サーキットでタイムも出せる、あらゆるシーンでトップを取れる車」です。

事実、このRFは筑波2000で1分3秒8のタイムを出しており、大原さんのコンセプト通りの車に仕上がっています。

しかも!これほどのタイムを叩き出しながらも、「あらゆるシーン(ストリートや山)で楽しめる」ことを実現すべく、車検対応車です。

果たしてどんなチューンが施されているのか、気になるところ。さっそく、確認していきましょう。

速さの秘密は徹底した軽量化

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まずはフロント周りから。

純正バンパーにカーボンリップが被せられていますが、その長さは結構なもの。

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バンパーと一体型ではないので、車検にも問題なく通ります。

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タイヤは、RAYS TE37 SonicホイールにADVAN A08Bタイヤを履いていますが、このタイヤはノーマル幅の195ではなく205。

これは少しだけ幅を引っ張りたかったという、大原さんの思惑通りの組み合わせです。

RAYSのSonicホイールは、幅7Jの次は8Jがラインナップされており、その間の幅はありません。

しかし大原さんはどうしても幅205のタイヤに合わせるべく、7.5Jのホイールが欲しいと思い、RAYSに特注。

ノーマルと比べてタイヤの厚みが約1cm増していますが、これだけでは筑波2000で1分3秒8を叩き出すことはできません。

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サイドステップはR Magicオリジナルのものに替えられており、広角サイドミラーが取り付けられています。

一体、どこに速さの秘密があるのでしょうか。

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リアには、GTウイングが装着されています。

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このGTウイングは、角度を6段階に調整可能で、フィン付きの幅広台座で受け止めることで、トランクの凹みを防いでいます。

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もちろん、このフィンは単なる見た目重視のものではなく、ウイングの下の空気を整流させてダウンフォースを発生させるためのもの。

このGTウイングと台座も、R Magicオリジナルの製品で、先程の7.5Jホイールと共に販売されています。

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そして下の方に目をやると、リアバンパーが変わっていることに気づきます。

実はこれ、ただ純正バンパーをカッターでカットし、ベルトサンダーで切り口を整えたもの。

大原さんによると、「やる気さえあれば、一般の方もできると思いますよ」とのことでした。

このリアバンパーに穴を開けた理由は、リアバンパーは前から流れてくる空気を受け止めるので、パラシュートのような減速効果があるから。

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穴を開けることで空気が通り抜けるようになり、最高速を損なわずに済むのです。

こういった箇所に工夫をすることで、最高速度を向上させながらダウンフォースを生じさせることができ、時速100kmを超えてからの加速も良くなるのだと言います。

つまり、このような“穴を開けて車体を軽くする”ということが、速さの秘密だと言えそうです。

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続いてマフラーも前回のFD3Sと同じく、チタンテールの片側2本出し。

このマフラーは「NA車はマフラーを交換してもあまりパワーが上がらない」という理由から、音質を重視して作ったものですが、装着してから5馬力ほど向上したそうです。

高音域の音を出すべく、少し長めの細いパイプを使ったことに、その理由があるのかも知れません。

しかし、5馬力向上したからと言って、それでも筑波2000を1分3秒8で走ることは難しいはず。

 

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内装の変更点は、シート、ハンドル、ペダル類程度です。

シートはBRIDE XEROであり、前回のFD3Sに搭載されていたBRIDEジーグと同様、大原さんの体型にフィットするものだそう。

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しかし、最適なドライビングポジションに合わせると、純正ハンドルが遠くなってしまうという問題が発生し、これを解決すべく交換したハンドルにスペーサー等を挟んで位置を調整。

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これで解決かと思いきや、今度はウインカーに手が届かなくなったので、ハンドルにウインカースイッチを装備し、指の動きだけでウインカーを出せるようにしています。

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また、ハンドル交換に伴って、快適性を失わないように、シートにスピーカーを埋め込んでスイッチを移植。

そのスイッチを押せば電話にも出ることができ、シートが振動することによってスピーカーとして機能するため、クリアな音声を聞き取れるそうです。

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これらもR Magicで取り扱っており、社外ハンドルやフルバケットシートには、スイッチやスピーカーの埋め込みも可能です。

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また、アクセルペダルをブレーキ寄りにすることで、ヒール・アンド・トゥがやりやすくなっています。

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最後にエンジンルームを確認。

過度なことはせずに車検に通るようにしてあるため、REV SPEEDという雑誌主催の「REV SPEED 筑波スーパーバトル」という大会のストリートクラスでトップを取れる仕様に仕上がっています。

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エンジン本体とエキゾーストマニホールド、エアクリーナーボックスはノーマル。

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エアクリーナー本体は替えられているものの、キャタライザーもノーマルです。

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イグニッションコイルは、R Magicオリジナル。

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T-REVというパーツは、ピストンを軽く動かし、体感的なレスポンスを向上させるために装着しています。

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足回りもR Magicオリジナルですが、あえてバネレートの低い車高調(フロント6kg、リア5kg)にすることで、乗り心地が非常に良くなるだけでなく、サーキットでもタイムが出せるセッティング。

しかしこれらだけでは、そこまで速い理由にはなりません。

このRFが速い理由はどこにあるのかというと、それはボンネット裏にありました。

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実はこのRF、ボンネット裏から必要最低限のもの以外を取り払い、大量の穴を開けることで軽量化を果たしていたのです。

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マツダが作ったロードスターは、走る楽しみを前提にした車なので、ボンネット自体もそこまで重くはなく、軽量です。

そのため、軽量化によって数kg単位で変わるわけではないそうですが、車体上部に位置するボンネットを軽量化する意義は、非常に大きいと言います。

この零戦のようなボンネットにより、馬力はもともとの177馬力から30馬力近く向上し、204馬力に達しています。

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こんなところにも穴が。

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トランク裏にも穴を開けて無駄なパーツを省き、ステーにも穴を開けることで、軽量化が図られています。

これらの穴を開けることで、どれだけタイムが出るかは分からなかったそうですが、レース後に「穴を開けていれば……」となるのが嫌だったのでやってみたそう。

サーキット走行時はガレージベリーの汎用ディフューザーを装着しているそうですが、これらの工夫によってノーマル比で約40~50kg減に成功しています。

まとめ

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今回はR Magicが仕上げた、NDロードスター RFをご紹介しました。

このRFは「様々な場面で楽しめて速い車」をコンセプトに、快適性を重視しつつも、ボンネットやトランク裏など、至るところに軽量化の工夫をすることで驚異的な速さも実現した車です。

大原さんは、「チューニングとはその意味通り“調律”させることなので、個々のパーツのポテンシャルを調和させることが大切」だと言います。

その言葉通りこのRFは、各部に施された工夫や高性能パーツが調和し、非常に魅力的な1台に仕上がっているのです。

R Magicはもともとロータリー専門ショップでしたが、現在はトヨタ86やロードスター、アクセラなど、他のマツダ車も取り入れたチューニングを担当。

オイル交換や通常メンテナンス、車検などにも対応してくれます。

この記事を読んで気になった方は、ぜひR Magicに問い合わせてみてください。

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R Magic|モタガレ

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