近年のフェラーリのラインナップはバラエティに富んでおり、SUVの登場さえも噂されるほどですが、今も昔も変わらない人気を誇るのが2シーターのV8ミッドシップモデルです。純粋に走行性能だけを追求し、モータースポーツにおいても活躍してきたV8MRは、硬派なスーパーカー好きにとって定番とも言える存在。今回はそんなスモール・フェラーリの、代表的なモデルの歴史を振り返ってみたいと思います。
掲載日:2019.10/3
308GTB/GTS
2+2クーペ、ディーノ308GT4をベースとしたモデルです。
GTBのBはベルリネッタ(クーペ)を、GTSのSはスパイダー(オープン)を意味しています。
デザインはピニンファリーナ社のレオナルド・フィオラヴァンティが担当し、1975年から1985年まで製造されていました。
328GTB/GTS
308の正式な後継モデルで、デザインは引き続きレオナルド・フィオラヴァンティが担当。
車名の328とは、「3.2リッター・V型8気筒」を意味しています。
308との外観上の違いは、ウインカーとフォグランプを内蔵したフロントグリルが設置された点で、歴代フェラーリの中で最も美しいとされるモデルのひとつです。
348tb/ts
328の後継モデルで、サイドインテークのテスタロッサ風の大型フィンが特徴的なデザインです。
テールランプも丸型4灯からルーバーが被された異型タイプとなっており、外観上からも大幅な近代化が図られていることがわかります。
また、これまでは鋼菅スペースフレームを採用してきたフェラーリですが、348から初めてモノコックフレームを採用。
その影響か直進安定性に欠け、「高速道路で車が真っ直ぐ走らない」というクレームが多かったり、その他にもオルタネーターの故障など、トラブルの多いモデルでもありました。
F355
1994年に発表され、先代の348とは打って変わってより曲線的で柔らかいラインを採用し、テールライトも伝統の丸型4灯に戻った、今でも中古車市場で人気を誇る1台です。
車名のF355は、「3.5リッター・V8」を表し、縦置きされるエンジンは新開発されたもの。
トランスミッションはフェラーリ初の6速MTに加え、当初としては画期的だったパドルシフト機構である「F1マチック」を搭載。
全体的にワンランク上に性能が底上げされたV8フェラーリと言えるでしょう。
360モデナ
F355の後継として、1999年にデビュー。
シューマッハが活躍していたスクーデリア・フェラーリの黄金期と重なったこともあり、2005年の生産終了までに当時の史上最多販売台数を記録しました。
リトラクタブルヘッドライトとF355まで採用されていたトンネルバックスタイルは廃止され、エンジンフードはガラス製になるなど、デザインで大幅なアップデートが施されています。
さらに、ワンメイクレースの開催やJGTCへの参戦など、モータースポーツへの参戦も積極的でした。
F430
2004年に360モデナの後継としてデビュー。
排気量は4.3リッターに拡大され、出力は90psアップした490psと大幅にパワーアップを果たしています。
デザインはピニンファリーナのチーフデザイナー、フランク・ステファンソンによるもの。
基本的には360モデナのキープコンセプトですが、特徴的なのがリアランプで、エンツォフェラーリのような上半分が露出したタイプとなっています。
458イタリア
2009年にデビューし、車名の由来は従来の「排気量×気筒数」に回帰。
458は「4.5リッター×V型8気筒」を意味します。
F430から大幅にエクステリアデザインが変わっており、空力を重視したものとなっているのが特徴で、パワーアップ仕様の458スペチアーレや、サーキット専用仕様の458チャレンジといったいくつかの限定仕様車も存在。
大のフェラーリ好きとしても知られるギタリスト、エリック・クラプトンによる512BBをデザインモチーフとしたSP12 ECといったワンオフモデルなど、様々な派生モデルが存在する1モデルでもあります。
488GTB
2015年にデビューした458の後継モデルで、排気量は458イタリアより600cc小さくなった、3902ccのIHI製ツインスクロールターボを搭載。
なお、ターボを用いたスモールフェラーリは、この488が初となります。
車名の由来は1シリンダーあたりの排気量が488ccであることで、リアクォーターに設けられた大型のインテークは308をオマージュ。
F1のフロントウイングを思わせる、グリルの造形も印象的です。
F8 Tribute
2019年、日本国内においては東京都近代美術館が発表の場となったのが、F8 Tributeです。
デザインはピニンファリーナではなく、フェラーリ スタイリングセンターが担当しており、ルーバーが設けられた軽量レキサン製のエンジンフードや丸目4灯のテールランプ等、過去の名作に対する敬意が込められたエクステリアデザインとなっています。
まとめ
長い歴史を誇りつつも、常に愛好家たちから高い評価を受けてきたスモール・フェラーリ達。
同じく長い歴史を誇る911シリーズとは対照的に、エクステリアデザイン面で常に挑戦的なアプローチを試しているのが1つの特徴かもしれません。
ハイブリッドスーパースポーツの台頭により、V8トリビュートが最後の内燃機関搭載のスモール・フェラーリであるとの噂も囁かれており、今後の動向が気になるところです。
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