魅力的なスタイルとスポーツ性を両立させ、老若男女に愛されたシルビア。「スポーツスペシャリティーカー」という車の新しい形を世の中に提案してきました。“心・技・体”すべてに満足感を与えてくれた、乙女と呼ぶにふさわしいシルビアの歴代モデルとレーシングカー、カスタムカーを振り返っていきたいと思います。
掲載日:2016/12/21
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「乙女」の名を冠したシルビアの歴代モデル紹介
「シルビア」とはラテン語で「森」、ギリシャ神話に登場する乙女の名前にもなっています。
1965年の初代が登場して以降、約35年以上にわたって様々なモデルが世に送り出され、自動車ファン、モータースポーツファンから支持を得てきました。
初代:日産シルビア CSP311型(1965年-1968年)
1965年にデビューした初代シルビアはダットサン・フェアレディー1500をベースに、国産初・メーカー初となる技術がふんだんに盛り込まれた、まさに「スペシャリティーカーとはこうあるべし」と世に送り出した1台でした。
フロントディスクブレーキ、シンクロトランスミッション、スライドシート、シートベルトなど、今では当たり前の技術が初代から始まったのです。
「宝石カットのように美しい」と賞賛された開口部以外継ぎ目のないボディーラインは「クリスプルック」と呼ばれ、職人の完全手作業による作品とも呼べる外観となっていましたが、生産性に欠け4年間で554台を生産するにとどまっています。
当時の初任給が約2万円の時代に、車体販売価格が120万円という驚きの価格ですが、そこにはメーカーと技術者が車作りへの強いこだわりとプライドを持って取り組んだ結果の数字なのではないでしょうか。
1965年式 CSP311型 シルビア スペック
全長×全幅×全高(mm):3985×1510×1275
ホイールベース(mm):2280
車軸重量(kg):980
エンジン型式、仕様:R型 直列4気筒 OHV
排気量(cc):1595
最大出力:90ps/6000rpm
最大トルク:13.5kg-m/4000rpm
トランスミッション:4MT
新車時販売価格:1,200,000円
2代目:日産シルビア S10型(1975年-1979年)
2代目シルビアは3代目サニー(B210型)をベースとして、初代より7年のブランクを経て復活。
当初はロータリーエンジンの搭載を予定していましたが、オイルショックや排ガス規制の影響を受けたため、L型エンジンに変更されました。
初代の美しいボディーラインにアメリカンテイストを与えられ、優雅な雰囲気を持ったそのデザインは、中高年層や北米の女性の人気がありました。
「セレクタリーカー」(秘書の乗る車)と呼ばれた理由もわかるような気がしますね。
1975年式 S10型 シルビア LS Type X スペック
全長×全幅×全高(mm):4135×1600×1300
ホイールベース(mm):2340
車軸重量(kg):990
エンジン型式、仕様:L18 直列4気筒 SOHC インジェクション
排気量(cc):1770
最大出力:105ps/6000rpm
最大トルク:15.0kg-m/3600rpm
トランスミッション:5MT
新車時販売価格:1,190,000円
3代目:日産シルビア S110型(1979年-1983年)
3代目シルビアは4代目サニー(B310型)をベースに、センターピラー(Bピラー)を持たない、ハードトップといわれる当時では特徴的なデザインで登場。
当初はノッチバッククーペのみが発売され、後にハッチバックモデルも追加されています。
3代目より姉妹車として登場したガゼールと共に、当時流行であった直線基調のデザインを与えられ、国産初のドライブコンピュータの採用や専用設計のオーディオ、イルミネーションシステムの採用も相まって絶大なヒットを生むこととなりました。
当初はZ18、Z18E、Z20E型エンジンを搭載していましたが、1981年のマイナーチェンジ後にZ18ET、FJ20E型エンジンが追加となり、走りの面でも意欲的な1台といえるでしょう。
1979年式 S110型 2000Z SE-X シルビア スペック
全長×全幅×全高(mm):4400×1680×1310
ホイールベース(mm):2400
車軸重量(kg):1105
エンジン型式、仕様:Z20E 直列4気筒 SOHC 8バルブ
排気量(cc):1952
最大出力:120ps/5600rpm
最大トルク:17.0kg-m/3600rpm
トランスミッション:5MT
新車時販売価格:1,585,000円
4代目:日産シルビア S12型(1983年-1988年)
センターピラー(Bピラー)を持った専用設計のシャシーとして誕生した4代目シルビア。
特徴は、なんといってもリトラクタブル(開閉式)ヘッドライトの採用と言えるでしょう。
現在では禁止されてしまっていますが、このスタイルが好きという方は多かったはずです。
シャープな見た目は日本ではあまり受け入れられませんでしたが、北米での人気は上々だったとのこと。
エンジンはCA18とFJ20のターボとノンターボが用意されており、走りの面では先代を大幅に上回るポテンシャルを秘めていましたが、走りに力を入れ過ぎてしまったせいかやや「乙女心」に欠けており、走りに特化した「やんちゃな乙女」といえますね。
なお、姉妹車のガゼールはこの4代目にて廃盤となっています。
1983年式 S12型 シルビア RS-X スペック
全長×全幅×全高(mm):4430×1660×1330
ホイールベース(mm):2425
車軸重量(kg):1170
エンジン型式、仕様:FJ20ET 直列4気筒 DOHC 16バルブ
排気量(cc):1990
最大出力:190ps/6400rpm
最大トルク:23.0kg-m/4800rpm
トランスミッション:5MT
新車時販売価格:2,320,000円
5代目:日産シルビア S13型(1988年-1991年)
新入社員や若い技術者が主導となり開発された5代目シルビア。
直線と曲線を絶妙なバランスで組み合わせたボディーラインは「エレガントストリームライン」とも言われ、初代シルビアを彷彿とさせる美貌を与えられた5代目シルビアは、1988年のグッドデザイン賞、88・89年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
J`s・Q`s・K`sなど、トランプをモチーフとしたグレード設定も関心を集め、J`sは初心者向け兼価グレード、Q`sは女性でも扱いやすいノンターボ、K`sはターボパワーを欲する男性といったように、使用用途が販売側より明確に提示されていたのも特徴。また「コンバーチブル」と言われるオープンモデルも登場しました。
初期はCA18、マイナーチェンジからSR20エンジンを搭載し、初採用となる前ストラト/後マルチリンクサスペンション、4輪操舵システム「HICAS-Ⅱ」を装備した走りは軽快そのもの。
デートカーに使っても良し、走りを楽しむも良し、シンプルな内装とオプションで選べたメーターウィンドウディスプレイが雰囲気を盛り上げてくれたはずです。
5代目シルビアは、「スポーツスペシャリティーカー」として自動車業界に新風を吹き込んだといっても良いでしょう。
1988年式 S13型 シルビア K`s スペック
全長×全幅×全高(mm):4470×1690×1290
ホイールベース(mm):2475
車軸重量(kg):1120
エンジン型式、仕様:CA18DET 直列4気筒 DOHC 16バルブ
排気量(cc):1809
最大出力:175ps/6400rpm
最大トルク:23.0kg-m/4000rpm
トランスミッション:5MT
新車時販売価格:1,886,000
中古相場価格:200,000円~
日産を代表するFRスポーツカー、シルビア。その歴代車両一気に振り返る今回の記事。
次のページではS14,S15,そしてシルビアの姉妹車を。さらに、懐かしのレーシングカーもご紹介します!