ホンダ・オデッセイはミニバンの新しい世界を切り開いた革命的なクルマです。低床・低全高の車体はセダンのような乗り味を実現させ、ミニバンに新たな価値観を創造しました。そんな初代オデッセイについて紹介します。

掲載日:2019.11/17

© Honda Motor Co., Ltd.

初代オデッセイは苦肉の策から大ヒットを果たした

© Honda Motor Co., Ltd.

オッデセイといえば、ステップワゴン同様にホンダを代表するミニバンです。

しかし、開発では予算に厳しい制約があったため、苦肉の策としてアコードのプラットフォームを使用して、エンジンもアコードと同じ物を流用。

当時、セダンやスポーツカーの需要が衰退してSUVやミニバンといったRV開発の着手に迫られていたホンダでしたが、オデッセイの開発には会社の上部組織とそりが合わず、売れるモデルではないと思われていました。

しかし、蓋を開けてみれば記録的な大ヒット!

開発費を節約しながらも、大ヒットした理由とは一体なんだったのでしょうか。

ホンダ・オデッセイとは

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ホンダ・オデッセイは1994年10月20日に発表、翌21日に発売されたミニバンタイプのクルマです。

初代モデルはワンボックスカーのスペース・ユーティリティとセダンやクーペのような軽快な乗り心地や安全性能を高次元で両立させるため、当時はトールルーフが主流だったのに対し、オデッセイはステーションワゴン並のロールーフを採用。

1994年に日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞、1995年にRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、専門家から高い評価を得ていました。

また、ユーザーからも支持されて1995年には12万5,590台を販売し、3ナンバークラスの普通自動車クラスで販売台数トップとなるほどの大ヒットを記録しました。

非公認で開発進行、オデッセイは逆境を乗り越え誕生

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1990年、ホンダはアメリカ・ホンダから、V6エンジンを搭載した大きいミニバンを作ってほしいという要望を受けたものの、当時のアメリカでは2万ドル代のミニバンが売れ筋で、V6エンジンのミニバン開発となると車体価格を3万ドルにもなってしまいました。

そこで、アコードの4気筒エンジンを搭載したミニバンを模索していましたが、ミニバン開発は突然に中止宣告を受けることになります。

当時、ホンダはセダンやクーペなどが主力でSUVやミニバンといったかRVがありませんでした。

しかし、三菱・パジェロが国内新車月間販売台数1位を獲得したり、トヨタ・エスティマ、日産・セレナバネットといったミニバンの需要が高まり、ホンダはRV開発に遅れをとっていました。

そこで、ミニバン開発計画の担当エンジニアはミニバン文化を日本に輸入すべきと強く思い、業務指定外で秘密裏に開発を進行させていたのです。

家族新幹線型の構想からウォークスルーが実現

そこで開発されたオデッセイは室内を広くし利便性を高めるため、シフトレバーをコラムシフトにし、前席から後席へウォークスルー空間を実現。

これは、開発責任者が『家族新幹線型』にしようと思ったことから実現し前列から2列目、2列目から3列目への移動を容易くし、ミニバンの新たな価値観を生み出しました。

「そんなの売れない」と役員から受け入れられず

開発責任者は、生産工場の担当者や役員たちを集めたプレゼンテーションで、アコードのプラットフォームやエンジンなど部品共有を使用し、既存工場・既存設備を使って生産できるため、最小投資、最短期間で作れること強く主張していました。

しかし、ミニバンの主流だった後席スライドドアを採用せず、またディーゼルエンジンの設定の無いモデルは売れやしないと、受け入れられませんでした。

結局、会社の上部から開発のGOサインを出してもらえず、ミニバン計画アンダーグランドのままで開発が進められていました。

アメリカ・ホンダから認可!オデッセイ計画が本格始動

オデッセイはアメリカ向けに開発される予定でしたが、当時は国内4輪販売の立て直しが急務だったので、日本市場にも沿った仕様でなければなりませんでした。

そのため、ロサンゼルスに持ち込んだ試作車は右ハンドル仕様。

試作車は当時のアメリカンホンダ社長であった雨宮高一氏に試乗してもらい、その後アメリカンホンダが月5,000台の販売計画を出してくれたことで、ようやくオデッセイの計画が認可され、開発が本格始動しました。

シビック以上の販売速度!オデッセイが人気となった理由は

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1994年10月21日に販売開始となったオデッセイは、1997年9月末までに発売された36カ月で販売台数30万台を突破し、シビックを上回る最短記録を樹立。それまでのミニバンになかった低重心設計によってセダンのような乗り味を実現し、室内高は1,200mmに抑えながらも6人または7人が座った際に窮屈感を感じさせないことが、ファミリーカーとして人気を高めた要因です。

さらに、3列目シートを全部床下に収納し、フラットフロアとすることによりカーゴスペースを実現。4人乗車でゴルフバックを4個収納できたり、釣りやキャンプなどのアウトドアにも使える積載量を確保するなど、ミニバンほど大きくなく、ステーションワゴンよりも使い勝手の良い仕様がシニア層にもの好評でした。

とはいえ北米市場だと、2.2リッター直4エンジンでは非力なため、3リッターV6エンジン搭載モデルを設定。

1997年に日本でもV6エンジン搭載の『プレステージ』が追加されました。

スペックと中古車価格

F22Bエンジン / © Honda Motor Co., Ltd.

スペック

B TYPE S TYPE プレステージ
全長×全幅×全高(mm) 4,750×1,770×1,645 4,765×1,770×1,645 4,840×1,790×1,650
ホイールベース(mm) 2,830 2,830 2,830
乗車定員(名) 7 6/7 6/7
駆動方式 FF/4WD FF/4WD FF
車両重量(kg) FF:1,470
4WD:1,530
FF:1,510
4WD:1,580
FF:1,600
エンジン型式 F22B F23A J30A
エンジン種類 直列4気筒SOHC16バルブ 直列4気筒SOHC16バルブ V型6気筒SOHC24バルブ
総排気量(cm3) 2,156 2,253 2,997
内径×行程(mm) 85.0×95.0 86.0×97.0 86.0×86.0
圧縮比 8.8 9.3 9.4
最高出力(kW[PS]/rpm) 106[145]/5,600 110[150]/5,600 147[200]/5,500
最大トルク(N・m[kgm]/rpm) 196.1[20.0]/4,600 203[20.8]/4,700 264[27.0]/4,700
トランスミッション 4速AT 4速AT 4速AT
タイヤサイズ 205/65R15 94S 205/65R15 94S 205/65R15 94H
205/65R15 94S 205/65R15 94S 205/65R15 94H
燃費(km/L) 10・15モード走行 FF:10.2
4WD:9.2
FF:11.2
4WD:10.6
FF:8.8
60km/h定地走行 FF:16.5
4WD:15.8
FF:18.2
4WD:17.4
FF:16.5

中古車相場価格

中古車相場価格:44.3~102万円
※参考:グーネット(2019年11月16日時点)

まとめ

© Honda Motor Co., Ltd.

初代オデッセイの大ヒットは当時、業績が悪化していたホンダを立て直しました。

ホンダにとっては意外なヒット作だったかもしれませんが、ヒットした一番の理由は開発者がユーザーの立場にたってオデッセイを設計したことに尽きます。

その精神は、現在大ヒットを飛ばすNシリーズにも精通するところ。

オデッセイの成功がなければ、今のホンダはなかったのかもしれません。

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