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現在、ミニバンやワゴンが人気を呼んでいますが、そもそもミニバンやワゴン、さらにはバンやステーションワゴンは、どう違うのでしょうか。
掲載日:2019.9/23

日産・キャラバン / © Nissan 2019
日本で売れてるクルマはミニバンやワゴン

日産・セレナ / © Nissan 2019
ミニバンは、広い車内空間で実用性を充実させた仕様で、多くのユーザーから人気のセグメントです。
2019年上半期の乗用車販売数では、ランキングトップ10のうち5車種がミニバンまたはミニバン型コンパクトモデルでした。(4位:日産・セレナ、5位:トヨタ・シエンタ、7位:トヨタ・ヴォクシー、8位:ホンダ・フリード、9位:トヨタ・ルーミー)
さらに軽自動車でも、ホンダ N-BOX、ダイハツ タントといった『軽ハイトールワゴン』やダイハツ ムーブ、スズキ ワゴンRといった『軽トールワゴン』と呼ばれるモデルが販売台数上位を占め、売れる軽自動車はワゴン車であることが当たり前。
このように、ミニバンやワゴンと呼ばれるクルマが多く販売されていますが、『ミニバン』、『ワゴン』、『バン』、『ステーションワゴン』これらの明確な違いはいったいどこなのでしょうか。
『〇〇ボックス』この意味は?

トヨタ・ハイエース / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
クルマのボディ形状を表す際に、よく使用される『○○ボックス』という言葉。
例えばワンボックスカーとして代表的なトヨタ ハイエースや日産 キャラバンなどは、車体全体がひとつの箱のような形状をしていることから、”ワンボックス”と呼ばれます。

トヨタ・カローラフィールダー / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
ワンボックスがあれば、当然『ツーボックス』や『スリーボックス』もあるのですが、ツーボックスはステーションワゴンやコンパクトカーに代表されるようにボンネットが存在し、キャビンとエンジンルームでふたつの”箱状”の空間が存在しています。

トヨタ・クラウン/ © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
加えて、トランクルームが独立しているクルマを『スリーボックス』と呼びます。
代表的なボディタイプにはセダンが該当しますが、リアガラスとトランクが一体化した3ドア/5ドアクーペもスリーボックスと総称されます。

トヨタ・ルーミー / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
さらに近年では『イッテンゴボックス(1.5ボックス)』と呼ばれるクルマも台頭。
1.5ボックスは、ツーボックスからボンネットを極端に短くしてエンジンルームを最低限まで狭くし、その分室内空間を広げたボディタイプのクルマです。
そのため、ミニバンは本来1.5ボックスになりますが、ワンボックスと呼ばれるのが一般的となっています。
ワンボックスと1.5ボックスの違いはキャブオーバーとセミキャブオーバー

フィリンピンで発表された新型ハイエースはセミキャブオーバーの1.5ボックスにモデルチェンジ / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
ワンボックスと1.5ボックスの違いは、キャブオーバーかセミキャブオーバーであるかに大きく分けられます。
キャブオーバーとは、運転席の真下にエンジンが搭載されているクルマの構造で、ハイエースやキャラバンなどのワンボックス車はキャブオーバーに該当。
キャブオーバーのメリットは、室内長をクルマの全長とほぼ同等の長さまで確保できる点で、大きな荷物を室内に載せるためのバンや後部に荷台を設けるトラックに多く採用されています。
一方、セミキャブオーバー車には一応ボンネットが存在し、運転席とエンジンルームの間にはバルクヘッド(隔壁)があるため、必然的に1.5ボックスのボディタイプになります。
そのため、ミニバンと呼ばれるファミリーカーの多くはセミキャブオーバー仕様になっていることがほとんどです。
バンとワゴンの違い
ミニバンは”ミニ”+”バン”と名付けられているため、バンの小型版と思われがちですが、実際はバンが商用車、ミニバンは移動のための乗用車と区別されます。
例えばトヨタ ハイエースに注目すると、ハイエースには『ハイエースバン』と『ハイエースワゴン』の2モデルがラインナップされており、バンとワゴンで仕様が異なります。
バンの特徴

ハイエースバン / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
一般的に日本でバンと呼ばれるクルマは”普通貨物自動車”で、大きな車体でありながら前席だけの2名または3名乗り、2列シートの5人または6人乗りのクルマとなっています。(一部で3列シート9人乗りもあり)
また、普通貨物自動車は荷室部分を広く取ることで積載量を多く設定しており、ハイエースバンの最大積載量は850~1,200kg。
日産 セレナの最大積載量が385~440kgなので、倍以上の積載量を誇るハイエースバンは、大きな荷物を運ぶことに特化したクルマであることが分かります。
ちなみに、バンを含む貨物車は『1ナンバー』または『4ナンバー』扱いとなります。
また、1ナンバーと4ナンバーは貨物車登録されたクルマに取り付けられるナンバープレートで、1ナンバーは全長12.0m以下×全幅2.5m以下×全高3.8m以下、4ナンバーは全量4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下、排気量2.0リッター以下(ディーゼル車は無制限)と規定されます。
ワゴンの特徴

トヨタ・ハイエースワゴン / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
商用車登録のバンに対し、ワゴンは乗用車登録となります。
実際にトヨタのカタログを読んでみても、ハイエースバンは”ビジネス”カテゴリーに分類されているのに対し、ハイエースワゴンは”乗用車”のラインナップです。
また、乗車定員については取り決めがなく、軽トールワゴンや軽ハイトールワゴンと呼ばれる軽自動車であれば4人、トヨタ シエンタ、ホンダ フリード、トヨタ ルーミーといったコンパクトトールワゴンと呼ばれるクラスは5~7人、日産 セレナ、トヨタ ヴォクシーといったミニバンは7~8人乗り、ハイエースワゴンであれば10~14名も乗車可能です。
前述の通り、”ミニバン”と呼ばれるものの乗用車扱いのため、『3ナンバー』または『5ナンバー』で登録されます。
5ナンバーは、全長4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下、排気量2.0L以下(ディーゼル車は無制限)の乗用車登録されたクルマに取り付けられるナンバープレートで、これらの要素がひとつでも規格数値から外れると、3ナンバー登録となります。
ステーションワゴンの特徴

マツダ6(旧:アテンザ) / © Mazda Motor Corporation.
ステーションワゴンはワゴン車よりも全高が低く、広いボンネットとエンジンルームを備えた2ボックスカー。
セダンのルーフを後ろの末端まで延長させたクルマです。
そのためワゴン車のように3列シートではなく2列シートの4~5名乗りが一般的で、セダンやクーペよりも広いラゲッジスペースを確保可能。
ナンバープレートは3ナンバーまたは5ナンバー登録されます。
トヨタ・プロボックス / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.
トヨタ プロボックスや日産 NV150ADといった、一見ステーションワゴンのようにも見られる商用車もありますが、こちらは4ナンバー登録されるため、小型貨物車であって建前上バンに属します。
メルセデスベンツ・CLA シューティングブレーク / Photo by harry_nl
また余談ですが、同様にステーションワゴンにとても似ているボディ形状として、『シューティングブレーク』の存在も忘れてはいけません。
シューティングブレークは、クーペを基調にボディ後方を延長したクルマの総称で、本来は3ドアが基本なのですが、近年では使い勝手の関係で5ドアモデルが増えていることからも、余計にステーションワゴンと似た形状となってきています。
しかし、あくまでもベースはクーペであるため、5ドアであってもルーフ後方に向かって、なだらかに低く下がっていくのがシューティングブレークの大きな特徴です。
まとめ

トヨタ・ハイエースの室内 / © 1995-2019 TOYOTA MOTOR CORPORATION.

ホンダ・ステップワゴンの室内 / © Honda Motor Co., Ltd.
乗車定員 | 積載量 | 特徴 | ナンバー | |
---|---|---|---|---|
ミニバン | 3列シートの6~8人乗り | 乗員優先のため3列目シートを使えば積載量が少ない。 | ファミリーカー | 3ナンバー、5ナンバー |
ワゴン | 2列から数列 5名から10数名のものまで |
乗員優先のため後部座席を使えば積載量が少ない。 | ファミリーカー コミューター |
3ナンバー、5ナンバー |
ステーションワゴン | 2列シートの4~5名乗り | セダンやクーペよりも積載量は多い。 高さはないが後部座席を倒せば長くて広々したラゲッジルームができる。 |
ファミリーカー | 3ナンバー、5ナンバー |
バン | 1~2列シートの3から6名乗り | 積載優先のためミニバン、ワゴンより積載量は多い。 | 商用車、貨物車 | 1ナンバー、4ナンバー |
※一部、異なる場合もある。 |
それぞれの区別は曖昧でややこしい部分もありますが、使う用途やナンバープレートによって大まかな違いを区別することが可能です。
また、ほとんどのボディ形状の名称は、ルーツを辿れば19世紀の馬車の形状から命名されており、その起源を知るのもまた面白かったりします。
これで皆さんも明日から、バンとミニバン、ワゴンとステーションワゴンの違いを説明できるはず!是非、お友達に話してみてはいかがでしょう。
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