日産が開発し、5代目ローレルから搭載され始めたRBエンジンは、1980年代から1990年代にかけて日産から販売された数々の名車の心臓部として活躍しました。そんなRBエンジンの代表格として挙げられるのは、BNR32に搭載されたRB26DETTです。その海外仕様である、RB30の存在を知っていますか?
掲載日:2020/04/07
RBエンジンとは
1984年に日産から発売された、5代目ローレルにはL型エンジンの後継機、RB20Eが搭載されていました。
このRB20Eは市販車に搭載された最初の「RBエンジン」であり、この時点ではそれまでのL型エンジンと同様、バルブ機構はSOHCです。
ちなみにRBエンジンは、日産のエンジン名称規則に沿って、必ず“E”がついており、ターボ仕様であれば“T”、バルブ機構がDOHCだと“D”がつきます。
そしてこの、RB20Eは先述の5代目ローレルだけでなく、R31型・R32型・R33型スカイラインや初代セフィーロなどにも 搭載され、バリエーションにはシングルターボ装備のRB20ET、LPG仕様のRB20EPがありました。
SOHCとして登場したRBエンジンですが、実は企画当初からDOHC化が考えており、コンセプトは新開発のVGエンジンと同様。
燃焼室の形やシリンダーの内径×行程も同一です。
構想通り、後には24バルブのRB20DE、そのターボモデルのRB20DETが登場。
RB20DETは1985年10月にZ31型フェアレディZに搭載され、落ち込んでいた日産車の性能を復活させた名機としても知られています。
RB20DETはその基本構造として、アルミ製ヘッドに鋳鉄製のシリンダーブロックが組み合わさられており、燃焼室には給排気系各2個ずつの合計4個のバルブが配置されました。
許容回転数は7000rpmで、最大出力はZ31型搭載モデルで180ps。
シングルターボのローター部にはファインセラミックスが採用されており、これによって慣性モーメントを45%低減し、ターボラグをなくすことに成功しています。
このファイセラミックスを装備した甲斐もあってか、1986年5月に販売されたスカイラインクーペGTSの走行テストでは、ターボの吹け上がりによって最高速度212km/hを達成。
さらに1987年に発売されたスカイラインクーペGTS-Rには、専用エンジンのRB20DET-Rが搭載され、専用チューンによって馬力は210psまで向上しています。
そして1992年には後期型初代セフィーロに搭載され、上位機種のRB25DEがデビュー。
こちらも姉妹車である6代目ローレル(後期)やR32型スカイライン(後期)に採用され、設計担当者が当初構想していた、“2,500ccを基準とするエンジン”を実現した形となりました。
RB25DEは、RB20DETと同じく24バルブの直列6気筒で、1992年時点での馬力は180psでしたが、1995年になると190psにアップされ、最終的には200psへと到達します。
またこちらにもターボモデルが存在し、RB25DETはRB20DETと同じくシリンダーブロックは鋳鉄製、グループAエンジンとしての高い耐久性を持ち、低回転域でのトルクも良いエンジンとして人気を博します。
そして、これらのこともあってか、R33・R34スカイラインだけではなく、7代目・8代目ローレル、初代ステージア、9代目・10代目セドリック、10・11代目グロリアなど、多様なタイプの車に搭載される、汎用性も兼ね備えていました。
RB26DETT
1989年、全日本ツーリングカー選手権での勝利を目的とし、3代目スカイライン以降、16年ぶりにGT-Rが復活しました。
そしてR32型スカイラインをベースに誕生したBNR32の心臓部には、新生GT-R専用エンジンとして、2.6リッターツインターボモデル RB26DETTが搭載されていたのです。
このRB26DETTの開発には、日産開発陣のなかでも特に有能なメンバーが集められ、ノーマルでも300psを発揮。
バランスの良さとトルク、ターボの搭載が容易なベースエンジンが追求されます。
結果、輸出用RB24をベースに開発がスタートし、ハコスカを想起させる常勝マシンをつくるべく、排気量は2.6リッターに設定。
RB24のボアを86mmに拡大し、ストロークを73.7mmまで伸ばしてシリンダーブロックに補強リブを加え、耐熱性向上装備も追加されました。
そして1基あたりの容量300psのツインターボ、大型インタークーラーを採用したことで、驚きの性能を獲得しています。
また、容量の大きなツインターボや大型のインタークーラーも、全てグループAのレギュレーションに適合するためで、“交換禁止部分”は最初から大容量のものを装備することで補っているので、市販車では考えられない作り込み具合。
まさにRB26DETTは“レースで勝利するためのエンジン”として開発されており、登場から販売終了まで大きな仕様変更がなくとも、グループAで高い性能を発揮し続けることができました。
RB30
RBエンジンには、海外向けに展開されていた3リッターのSOHCモデル RB30が存在しており、そのシングルキャブレター仕様がRB30Sです。
こちらはおもにサウジアラビアに輸出されていたR31型スカイラインに搭載され、オーストラリア向けのR31型には、インジェクション仕様のRB30Eがありました。
また、このRB30Eにターボを装備したRB30ETも存在しており、こちらはGM系モデルのVLコモドアの実質的な専用エンジンです。
まとめ
RBエンジンは日産が生んだ数々の名車に搭載された名機であり、RB20DETやRB20DET-Rを搭載したスカイラインクーペGTSは、当時のグループAクラスでスープラ ターボAやフォード シエラRS500を相手に勝利しています。
その後継車種として登場したのが、RB26DETTを搭載したBNR32であり、その速さは今も日本のレーシング界に影響を及ぼし続けているほど。
今も多くのファンがいるRBエンジンの栄光は、今後もきっと語り継がれていくことでしょう。
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