「キンコン音」を覚えていますか?一定の速度以上になると「キンコン」と音が鳴り、速度を警告してくれる音のことです。いつの間にか速度警告音はなくなり、今ではすっかり聞かなくなってしまいました。速度警告音は、なぜ、いつからなくなってしまったのでしょうか?その理由は諸説ありますが、大きくわけて2つです。
掲載日:2019/06/27
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速度警告音いわゆる「キンコン音」とは?
速度警告音は、普通車では約105km/h以上、軽自動車では約85km/h以上になると発せられる音で、「キンコン音」や「キンコンチャイム」などと呼ばれていました。
この速度警告音は、道路運送車両の保安基準第46条第2項「速度警報装置の装備要件及び性能要件」に定められており、1974年から義務付けられ、自動車検査登録制度(いわゆる車検)の検査項目でもありました。
その後、1986年に速度警告音の設置義務が廃止されてからは、一時的にオプションとしてラインナップされていましたが、次第にオプションも消え、現在では速度警告音の存在自体を知らないという人も多いのではないでしょうか。
なぜ普通車が約105km/hで軽自動車が約85km/hなのか?
速度警告音が鳴り始める速度は、普通車で約105km、軽自動車で約85km。
この速度で鳴り始める理由は、高速道路における最高速度が普通車100km/h、軽自動車80km/hだったからです。
ちなみに、軽自動車の高速道路における最高速度は2000年の法改正以降、普通車と同じ100km/hになり、2020年時点では新東名高速道路の一部区間と東北道の一部区間で、試験的に120km/hまで引き上げられています。
速度警告音が消えた理由その1「グローバル化による海外からの圧力」
キンコン音が消えた1つめの理由は、グローバル化により海外からの圧力があったからです。
日本独自の速度警告音は、海外では使用されていない警告音であり、日本の法律で義務付けられている装置であったため、海外の自動車メーカーが反発。
海外の自動車メーカーが日本に車を輸出する場合であっても、速度警告音の装置を装着しなければならなかったため、貿易上の非関税障壁となりうると、速度警告音の撤廃を求めてきたのです。
また、グローバル化により、日本車を海外に輸出する場合にも弊害となることから、速度警告音は廃止されたともいわれています。
速度警告音が消えた理由その2「眠気を招くキンコン音」
速度警告音は速度を超過していることをドライバーに知らせる装置です。
そのため、速度超過をしている場合、超過がおさまるまで警告音は鳴り続きます。
しかし、速度警告音は単調なキンコン音や電子音であったため、運転中の眠気を招く原因となることが指摘されました。
一般的に単調な音は、音楽などに比べて眠気を招きやすいといわれています。
さらに、速度超過をしている間は常に鳴り続けるため、集中力の低下にも繋がりかねません。
安全性を第一に考えた場合、速度警告音の音そのものが運転の障害になるため、速度警告音が無いほうが安全な運転ができると判断されて、速度警告音は廃止されました。
懐かしのキンコン音はもう聞けないのか?
今となっては車内では聞けなくなった「キンコン音」は、もう二度と聞くことができないのでしょうか。
実は、スマートフォンのアプリで速度警告音、いわゆる「キンコン音」を聞くことができます。
その名も「DriveMate KingKong (ドライブメイト キンコン)」です。
株式会社カーメイトからリリースされている無料アプリで、iPhone、Androidともに無料でダウンロード可能。
一定の速度になると速度警告音が鳴るだけでなく、レトロなメーター表示も魅力的なアプリとなっています。
懐かしの「キンコン」を聞きたいという方は、ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
1974年から1986年まで義務付けられていた速度警告音。
グローバル化が進む自動車業界の変化により、海外の自動車メーカーからの圧力と「キンコン音」が眠気を招くといった安全上の理由から、廃止されました。
速度警告音の義務付けが廃止された翌年の1987年に販売を開始した6代目 トヨタ カローラは、速度警告音の装着は廃止されていましたが、オプションでの選択は可能でした。
しかし、現在のカローラには速度警告音のオプションはありません。
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