数多くの名車が誕生した1990年代。その頃の車のCMはカッコよく、オシャレで、印象的なフレーズを伴うものが多くありました。今回は1990年代の名車たちから4台をピックアップし、当時のCMと共に振り返ってみました。

ER33型 日産・スカイライン / 出典:https://newsroom.nissan-global.com/photos?query=%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3&bookmark=g1AAAAL7eJzLYWBg4MhgTmFQSElKzi9KdUhJMtErz0xNzjYwMNRLzskvTUnMK9HLSy3JAapkSmRIkv___38WmJMLJCSMDAzNdQ1MdQ0sQwxMrQwMgEjPwMAgKgmoIDaLeJOTFIBkkj3xhoehGW6Kz3AHkOHx2Aw30zWwwDT8NCmGJ4AMryfe5UkkBEseC5BkaABSQPPnE2lBMAmuh1iwAGLBfiIt6CHZggMQC-4TF_7MHSQH0QOIBcSnniwAmc3KuA&firstResultIndex=24

男だったら、乗ってみな(R33スカイライン)

1993年に登場したR33型スカイライン。

先代からワイド化されたボディによってアップした居住性と、増加してしまった車重が特徴的な1台です。

先代のR32型とは異なり、2ドアクーペと4ドアセダンのシャシーは共通で、当初の評判はあまり芳しくなく、発表と同時にR32型への注文が殺到したという不名誉な経緯を辿っています。

1996年のマイナーチェンジ後のCMには女優の牧瀬里穂氏が出演し、男性を薔薇の花束で殴りつける、または料理の載ったテーブルをひっくり返し、「男だったら、乗ってみな」と言ってR33型の鍵を投げ渡すという役回りを演じています。

しかしこの男女差別的フレーズ、当時もクレームが殺到し、「好きだったら乗ってみな」、「キメたかったら乗ってみな」というものに変更。

GT-RのBCNR33のシャシーもコストカットの観点から、専用のものが用意されないという悲劇に見舞われてしまいました。

そんな悲運のR33型スカイラインでしたが、BCNR33は専用シャシーが用意されなくとも、先代と比べて高い性能を有しており、日産の開発陣の努力が滲んだ設計だと言われています。

また、値段が安いことから今では比較的入手しやすい1台になっています。

The New Strong(6代目トヨタ・チェイサー)

1996年に登場した6代目チェイサー。

チェイサーはマークⅡ/クレスタの姉妹車にして、欧州で言うところのD-セグメント車であり、3代目から4ドアハードトップのみが展開されました。

この6代目の特徴は、スポーティーな位置付けの車として売り出されていたことと衝突安全ボディGOAが採用されたこと。

売り上げではスポーツグレードとして用意された「ツアラー」が最も高く、特に1JZ-GTE型ターボエンジン搭載の「ツアラーV」(5速MT)は、売り上げ全体の3割近くを占めるほどでした。

CMにはいかにも3DCGのホオジロザメが登場し、「The New Strong」、「世界は新たな力を目撃する」など、6代目チェイサーのスポーティーさが強調されています。

今見るとホオジロザメのCGに時代を感じますが、今の車CMにはあまり見られないスタイリッシュさも感じられると思います。

僕たちのどこでもドア(日産・ラシーン)

1994年に登場したコンパクトクロスオーバーSUV、ラシーン。

全グレードにフルオートフルタイム4WDシステムが採用され、角張ったスタイリングと高い利便性、居住性を兼ね備えたその仕様は大人気を博し、1度もフルモデルチェンジされることはありませんでした。

希少な5速MT車は燃費の観点から高めの中古車価格で取引されている他、ラシーン専門の中古車ショップもあるほど根強い人気を誇っています。

CMでは「僕たちのどこでもドア」というフレーズが使われ、国民的漫画の主人公、ドラえもんが登場するという至れり尽くせりな内容。

山林や埠頭に置かれたどこでもドアの陰からドラえもんが顔を出し、四次元ポケットからラシーンが飛び出したかのような演出がなされ、キャッチフレーズ通りに魅せてくれます。

また、ラシーンが草原を駆け抜けるバージョンでは、ドラえもんが空を泳ぐ魚を釣ろうとしているなど、“すこしふしぎ”な演出も。

人に翼を(日産・スカイラインGT-R34)

ノストラダムスの「恐怖の大王」の予言に多くの日本人が注目していた1999年。

日産から「サーキットの帝王」とも呼べるマシン、BNR34が世に送り出されました。

先代のBCNR33で不評だった車体の寸法縮減、前後重量配分の改善、動的ねじれ剛性を56%、動的曲げ剛性を100%向上させ、アドバンスドエアロシステムの装備で空力性能もアップ。

最大出力280ps/最大トルク40.0 kgf·mを達成し、まるで世紀末の覇王のような1台として仕上がっています。

CMでは青く彩られた幻想的な空間をBNR34が駆け、「その時、空気を味方につける」というキャッチフレーズのごとく辺りに漂う霧をものともしない、威圧感にあふれた姿を見せてくれます。

CMの終わりに入る、「人に翼を」のキャッチフレーズも印象的でした。

まとめ

1990年代の名車たちをCMと共に振り返ってみましたが、いかがだったでしょうか。

こうやって見ていくと1990年代の車CMにはカッコよい、オシャレなものが多いことに改めて気付かされます。

今の車CMもオシャレでカッコよく、視聴者に車の性能がきちんと伝わるものがもっと増えてくれれば良いのにと思う、筆者なのでした。