これまで何度もご紹介し、多くの反響を得てきたアルパインの最新カーエレ。中でも11型という国内最大の液晶画面を備えた「DAF11Z」「XF11NX-LL」「XF11NX2」というフローティングモデル“11型3兄弟”は大きな注目を集めています。

大画面でも違和感のない洗練されたデザインと、スマートフォンとの連携など、3機種とも機能は充実。いったい、どれを選んだら良いのかと迷ってしまいます。

そこで今回は、実際に3機種を同時に比較し、それぞれどういった特長を持ち、どんな方におすすめなのかご紹介していきましょう。

Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

スマホ命!な方におすすめ“ディスプレイオーディオ フローティングビッグDA 【DAF11Z】”

結論から言うと、11型 ディスプレイオーディオ フローティングビッグDA(以下DAF11Z)は、これまでカーナビをスマートフォンで済ませてきたという人におすすめです。

ディスプレイオーディオとは、その名の通りディスプレイを備えたオーディオで、本体にはカーナビやテレビといった機能はありません。ルート案内を使いたいときや音楽を聴きたい場合は、スマートフォンの接続が必須です。

DAF11Zが装着されているのはホンダN-VAN。軽自動車であっても、洗練されたデザインで圧迫感なく装着できています。

スマートフォンの機能をクルマで使える

DAF11ZはApple CarPlayやAndroid Autoを使うことができ、地図アプリをはじめ、対応するさまざまなアプリをまるでスマートフォンのように大画面で操作可能。iPhoneを使っているなら、ワイヤレスでApple CarPlayに接続でき、一度登録しておけば、スマホを持ったままエンジンを掛けるだけで自動的にApple CarPlayに繋がり、ライトニングケーブルを接続する必要がありません。

Apple CarPlayは「Hey Siri」、Android Autoは「Ok Google」というボイスコマンドでも音声操作可能。また、目的地までのルート設定はもちろん、電話の発着信やメッセージの送受信も声だけで行うことができます。

目でも耳でも思いっきり音楽を楽しもう

“音のアルパイン”が造るディスプレイオーディオというだけあり、音に関する作り込みも妥協がありません。DAF11Zは、ハイレゾオーディオ/ハイレゾオーディオワイヤレスにも対応しています。(XF11NX-LLとXF11NX2もハイレゾ対応)

また、ホーム画面のほかに用意された、音楽に特化した「サウンドホーム」も必見。ワクワクするUIデザインに加え、低音の鳴り具合やフェダー、バランス、イコライザーなどを操作可能です。しかも直感的に操作できるから、楽しみながら好みの音作りができちゃいます。

これらの機能は、当然スマートフォン単体でもこなすことは可能です。しかし、スマートフォンの小さなスピーカーよりも、車載されているスピーカーで聴いた方が当然高音質なのは間違いありません。

そして、運転中の通話やメッセージアプリなどスマートフォンの操作はご法度です。地図やルート案内をスマートフォンの小さな画面で見るより、格段に見やすくなり間違いなく安全。
スマートフォンをそのまま車のシステムに融合できるDAF11Zは、まさに肌身離さずスマホを持っているという方におすすめです。

充実のナビ機能とコスパ重視の方におすすめ!“フローティングビッグX 11【XF11NX-LL】”

次にご紹介するのは、11型カーナビのフローティングビッグX 11(以下XF11NX-LL)。名前と操作ボタンにある「現在地」のボタンを見れば分かるように、こちらは歴としたカーナビです。XF11NX-LLは、上位機種にあたるXF11NX2からDVD/CDドライブを失くすことで価格を抑えています。

そのためおすすめしたいのは、スマホのカーナビアプリではなく“カーナビ”を使いたい方。そして、普段買い物するとき、品質と共にコスパを重視するという方です。

XF11NX-LLを装着しているのはデリカD:5。車内の広いミニバンには、11型の存在感が映えます。

地図アプリにはマネできない充実したカーナビ機能

XF11NX-LLの特徴は、充実したカーナビ機能を搭載していることです。

実際のナビ画面は、スマートフォンの地図アプリのナビと比べて雲泥の差。道や文字などの地図上にある表記は豊富な色が使われ、見た目でも分かりやすくなっています。ゼンリンの地図データを使用しており、地図そのものの精度も折り紙付きです。

また、検索して提案されるルートも、スマートフォンの地図アプリでは及ばないほど親切。ルートを検索すると、「燃費優先ルート」、推奨ルートをはじめ「幹線道路を優先して走る」「一般道を優先して走る」など条件別に6つのルートを提案してくれます。

スマートフォンの地図アプリでも、複数のルートを提案してくれますが、所要時間と有料道路の有無程度。「1分短縮するためにひと区間だけ高速道路を下ろされた」「とんでもなく狭い道を案内された」など、スマートフォンの地図アプリで不満に感じていたことが解消されます。

スマートフォンの地図アプリのナビ機能は、あくまで地図アプリのオマケ機能。対して、カーナビに特化して開発されたアルパインのビッグXシリーズのナビ機能が、1枚も2枚も上手なのは当然かもしれません。

ちなみに、カーナビで気になる地図更新ですが、XF11NX-LLは2024年の1回(2021年販売モデル)、XF11NX2は購入から3年3回分の無料更新が付属しています。

精度抜群&爆速のボイスタッチ

スマートフォンの地図アプリを車で使うメリットの一つに、「Siri」や「Googleアシスト」といった手を使わず声で操作できることがあります。

XF11NX-LLや後述するXF11NX2には、独自のハンズフリー操作機能である「ボイスタッチ」を搭載。あらかじめ設定されている51ワードを言うだけで、寄り道先のルート検索やテレビやラジオといったAVソースの操作ができます。

「Hey Siri」や「Ok Google」といったボイスコマンドは不要で、認識も早く確実。スマートフォンの音声認識は、ボイスコマンドを言った後に一呼吸待ち、指示した後もさらに一呼吸待たなければいけません。ルート上を走行中「近くのガソリンスタンド」と検索したのに、声で操作しているあいだに曲がるべき道を過ぎていた!といったこともなく、スムーズに寄り道先を探すことができます。

実際に試した感覚は、まるで助手席の人と普通に会話をしているかのようなスピード感があり、快感といっても良いぐらいです。

DVD/CDドライブ無しでも充実したエンタメ機能

XF11NX-LLはDVD/CDドライブを省くことで価格を抑えていますが、スマートフォンを接続することでさまざまなエンターテイメントを楽しむことができます。

HDMIでスマートフォンを接続すれば、YouTubeやNetflixなどの動画配信を大画面で再生可能。また、MTP接続にも対応しているため、Androidスマホなら保存してる映像や音楽を再生でき、カーナビ側でメニュー操作もできます。

もちろん、Bluetooth接続もできるので、スマートフォンだけじゃなくBluetoothに対応した携帯オーディオプレーヤーなどを使い、ワイヤレスで音楽を楽しむことも可能。昔のようにDVDやCDを使わなくなったイマにフィットした、コストパフォーマンスが高いカーナビなのです。

 

DVDやCDも使いたい欲張りな方におすすめ!“フローティングビッグX11【XF11NX2】”

最後にご紹介するのは、最上位に位置する11型カーナビ フローティングビッグX11(以下XF11NX2)です。こちらは前述した、DVD/CDドライブも搭載した全部盛りモデル。リッチなカーナビ機能や地デジチューナーなど、欲しい機能をすべて網羅しています。

さまざまな価格帯、いろいろな機能があって結局どんなカーナビを選んだらよいか分からない。または、とにかく間違いのないカーナビが欲しいという方におすすめです。

XF11NX2を装着しているのはハイエース スーパーGL。高級ミニバン顔負けの豪華な内装のスーパーGLには、洗練されたデザインがマッチしています。

秘蔵のお宝CDもお子さんお気にいりDVDも楽しめる

ここまでご紹介してきた「DAF11Z」と「XF11NX-LL」に無い機能が、DVDやCDの再生機能です。

動画はネットの配信サービスで済ませているという方も少なくないと思いますが、自宅のWi-Fiでダウンロードをしておかなければ、再生の度に膨大なデータ量を消費してしまいます。また、お子さんがいつも見ているお気に入りのアニメは決まっているため、わざわざネット配信で見るよりも、DVDを購入してしまえば手間が掛かりません。

そして、音楽はすべてスマートフォンで聴いていると言っても、本当に好きなアーティストのCDは買いたいもの。特に30代半ば以降なら、昔買ったお気に入りのイチオシCDを持っているという方も少なくないでしょう。

CDをケースから出して、画面裏にあるスロットに挿入する。一見すると手間にも思えますが、そこにある種の“風情”を感じ取れるのなら案外嬉しい機能なのです。

乗る人みんなのドライブが楽しくなるダブルゾーン

XF11NX2とXF11NX-LLの機能でもう一つ注目していただきたいのが、前席と後席で音声を分けることができる「ダブルゾーン」機能です。

ハイエースやデリカD:5のような車内空間が広い車種の場合、後席に乗る家族や友達が楽しめるよう、リアシート用のモニターを追加している方も多いはず。前席ではナビ画面を確認しつつ、後席ではお子さんが大好きなアニメを観ることができ、ドライブがより楽しくなります。

XF11NX2とXF11NX-LLのダブルゾーン機能は、映像だけでなく音声を前後で切り分けることができるため、後席でアニメを観ていても、前席ではナビの音声案内に集中できます。また、前席のお父さんは野球中継をラジオで聴き、後席では映画を楽しむなんてこともでき、乗る人みんながさらに快適に過ごせる“痒い所に手が届く”機能です。

 

カーナビでApple CarPlayとAndroid Auto が使える!

このように、まさに“欲しい機能全部載せ”なXF11NX2。もちろん、Apple CarPlayとAndroid Autoに加え、Amazon Alexaにも対応してます(XF11NX-LLも対応)。地図アプリの強みである最新の地図データを使うことができ、電話の発着信やメッセージの送受信も可能です。

「クルマでは基本的にカーナビを使うけど、いつも持っているスマートフォンの機能も使いたい」

スマートフォンが私たちの生活に深く入り込んでいる時代だからこそ、やはり車内でもスマートフォンを便利に使えるのはやはり重要なポイント。XF11NX2やXF11NX-LLは、まさに車載カーナビとスマホアプリのいいとこ取りなのです。

甲乙つけがたいアルパインのフローティングモデル11型3兄弟

ホンダ N-VANに装着した11型 ディスプレイオーディオ フローティングビッグDA 【DAF11Z】

ここまで、アルパインのフローティングモデル11型3兄弟をご紹介してきましたが、正直どのモデルも甲乙つけがたいというのが正直な感想です。

三菱 デリカD:5に装着した11型 フローティングビッグX 11【XF11NX-LL】

筆者自身、11型 ディスプレイオーディオ フローティングビッグDA「DAF11V」をハイエースで使っており、スマートフォンを拡張したかのような使い心地に満足しています。
しかし、XF11NX2やXF11NX-LLのリッチなナビ画面や、爆速のボイスタッチを体験すると、ディスプレイオーディオは決して完ぺきではないということを痛感せざるを得ません。

トヨタ ハイエース スーパーGLに装着した11型 フローティングビッグX11【XF11NX2】

あくまでスマートフォン中心の使い心地にこだわるか、それとも価格を抑えつつ充実したナビ機能にこだわるか、はたまた、DVDやCDをそのまま再生できるかどうかにこだわるか。自分がいったいどこにポイントおいているのかをよく考えて選ぶ必要があります。
どれを選んでも高い満足度を得られるだけに、とても難しく嬉しい悩みと言えるかもしれません。

■フローティング ビッグDA DAF11Z【アルパイン公式ページ】

■フローティング ビッグX 11 XF11NX-LL【アルパイン公式ページ】

■フローティング ビッグX 11 XF11NX2【アルパイン公式ページ】