バブル時代ど真ん中の1989年、自動車税の改正で3ナンバー車への高額な税制が無くなり、単純に排気量ごとの区分に切り替わって3ナンバー車の所有が容易になりました。そんなドンピシャのタイミングで3ナンバー専用ボディを引っ提げて大人気となったのが初代三菱 ディアマンテですが、この4ドアハードトップの陰にシグマという4ドアセダンがあった事は、意外と知られていません。

 

三菱 シグマ / 出典:https://www.favcars.com/images-mitsubishi-sigma-1991-96-21998-800×600.htm

 

国内向けメインのディアマンテに対し、海外市場メインの4ドアセダン、シグマ

 

三菱 シグマ  / Photo by peterolthof

 

1960年に三菱500で四輪自動車市場へ参入して以来、法人向けショーファードリブンカーのデボネアを除けば2リッター以下の4ドアセダン/ハードトップを作ってきた三菱自動車は、1984年10月に発売されたギャランΣ(5代目ギャラン)/エテルナΣ(3代目エテルナ)の4ドアハードトップで、それまでトヨタ マークIIや日産 ローレルが牙城を築いていた高級ハイソカー路線への参入を図ります。

しかし、まだまだ先入観が強かった当時、FF車での挑戦は斬新ではありましたが、まだまだ時代が早すぎたのかもしれません。

それでも1989年5月に3ナンバー車の高額自動車税が廃止されると、デボネアV(2代目デボネア)用の3リッターV6エンジン6G72を投入してテコ入れを図りますが、それは翌年に登場する新型車への布石に過ぎませんでした。

かくして1990年5月、まだまだ他メーカー車のほとんどが5ナンバーボディ、あるいは5ナンバーボディをベースとしたワイドボディだった頃、3ナンバー専用ボディとして4ドアハードトップの初代ディアマンテが登場。

ワイド&ロースタイルと、当時はそれだけで見る者の目を輝かせた『3ナンバー』によって大人気となりました。

しかし、世界的に見れば4ドアハードトップでは勝負できない国・地域もあり、輸出市場で戦うための4ドアセダンも開発されていたのです。

それが1990年10月に発売されたシグマで、国内向けにはギャランΣ/エテルナΣセダンの後継車、そして国外向けには輸出用国際戦略車として、『国内はディアマンテで、海外ではシグマで勝負する』という体制が取られました。

 

ソックリなシグマとディアマンテ、その違いは?

 

三菱 シグマ / 出典:https://www.favcars.com/photos-mitsubishi-sigma-1991-96-21999-800×600.htm

 

シグマを見て多くの方は、「えっ、これディアマンテと何が違うの?」と戸惑うかと思います。

そんなシグマの前期型は角目4灯ヘッドライトと独立フロントグリルを持ち、当時まだ5ナンバーボディだったミドルクラス4ドアセダン、ギャラン(6代目)の3ナンバー版という雰囲気でしたが、後期型になるとディアマンテとほぼ変わらないフロントマスクになるので、なおさら。

エンジンラインナップや駆動方式、装備面でも違いはそう無かったので、予備知識無しではシグマの存在すら気づかないかもしれません。

しかし、ディアマンテに対するシグマ最大の識別点はサイドビューにあり、ディアマンテが後席ドアで窓が終わっている一方、シグマはさらにその後方まで窓がある『6ライト(片側3枚×2で6枚ウィンドウ)』というスタイルでした。

 

【参考】サッシュレスで6ライトウィンドウでも無い初代三菱 ディアマンテ / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/1990/90_2.html

 

他にもシグマにはディアマンテに無いサッシュ(窓枠)がありますが、ブラックアウトされており、遠目には見分けがつきにくい状態。

テールはディアマンテがナンバー左右で独立式のバックランプ、シグマが車名入りの赤いガーニッシュという違いはありますが、そもそも後ろへ回ってそこまでよく見れば、車名が異なるのはわかってしまいます。

寸法ではシグマがディアマンテより車高が25mm高く車内高も同様。

車内長もシグマの方が20mm長いため、乗ればシグマの方に若干の余裕がありますが、やはり最大のポイントは『6ライトウィンドウ』と考えた方が良さそうです。

もう初代ディアマンテもシグマも街で見かけることは稀になりましたが、もし偶然でも見かけたら、「お、ディアマンテだ!」と思う前に、リアウィンドウに注意してみてください。

 

主なスペックと中古車相場

 

三菱 シグマ / 出典:https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/history/year/1990/90_2.html

 

三菱 F15A シグマ 25V-SE 1990年式

全長×全幅×全高(mm):4,740×1,775×1,435

ホイールベース(mm):2,720

車両重量(kg):1,540

エンジン仕様・型式:6G73 水冷V型6気筒DOHC24バルブ

総排気量(cc):2,497

最高出力:129kw(175ps)/6,000rpm

最大トルク:222N・m(22.6kgm)/4,500rpm

トランスミッション:4AT

駆動方式:FF

中古車相場:皆無

 

まとめ

 

三菱 シグマ / Photo by peterolthof

 

シグマが生まれた時代の個人向けパーソナルカーはハードトップが主流だったので、シグマは4ドアハードトップが輸出できない地域向けの4ドアセダン版として存在意義はあったものの、国内年間販売台数はディアマンテの1割強にとどまる少なさでした。

そもそも知名度が薄かったので、当時の新車事情に詳しい人でも無ければシグマという車自体知らなくても不思議ではありません。

しかし、個人向け需要が大きかったディアマンテに対し、シグマは法人など業務用途でデボネアVを食うほどの需要はあり、特に警ら用のパトカーとして交番や警察署でよく見ることができました。

筆者も近所の交番がシグマのパトカーだったのですが、ある日後ろから見てようやく気づいたほど。

もしかしたら、この記事を読んでいる皆さんも、気付いていないだけで幾度かシグマに出会っていたり、実は近所の交番にあるパトカーがシグマだった、という話があるかもしれません。

 

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