戦後第3世代のカデットCまで保守的な2 / 4ドアFRセダンを基本形としてきたオペルの小型大衆車カデットですが、1974年に初代VW ゴルフの登場でFFハッチバック車時代が到来した瞬間に旧式化してしまいます。その結果、1979年にモデルチェンジした戦後第4世代のカデットDもまたFFハッチバック化で新たなライバル、ゴルフの追撃を開始しました。

 

オペル カデットD  / Photo by peterolthof

ゴルフ追撃開始!日本車とよく似た経緯でFFハッチバック化したカデットD

 

オペル カデットD 3ドアハッチバック(左) 5ドアステーションワゴン(右)   / Photo by peterolthof

 

1974年、カデットCの発売翌年に登場した初代VW(フォルクスワーゲン) ゴルフは、パッケージングと経済性に優れた小型軽量FFハッチバック車で、それまでのFR駆動レイアウトや独立トランクを持つセダンボディの大衆車を一瞬で過去の乗り物にしてしまいました。

そして遠く離れた日本でも輸出先での革命的ライバルの出現とあって、1970年代末からFFハッチバック車が続々と登場。

1980年代前半までにFR大衆車などほとんど作られなくなりますが、ゴルフの本国であるドイツでの直接のライバルとなるオペルは、より強い危機感を感じます。

そうしてカデットBで長年の宿敵ビートルを圧倒するも、ゴルフの登場でまた仕切り直しとばかりに、1979年9月に新型カデットDを投入。

もちろんゴルフ対抗の3 / 5ドアFFハッチバックメインで、FF化によりデザインもガラリと変わったのは、日本車と同様でした。

すなわちエンジンルームなどメカニズムは極力コンパクトに、キャビンは大きく広く取る新時代のコンパクトカー方程式に沿ったものでしたが、時代の流れは急でカデットDもさらなる進化を求められ、わずか5年でカデットEへのモデルチェンジを迫られたのです。

 

FF化でクーペ廃止、商用バン登場などラインナップも変化

 

オペル カデットD / Photo by  peterolthof

 

カデットDで大きく変わったのはもちろん駆動レイアウトで、ゴルフ同様エンジンとミッション&デフを直列で横置きしたジアコーサ式FFレイアウトとなりました。

パワーユニットとその収納スペースをなるべくコンパクトに抑え、小型軽量ながら乗車スペースを極力広く取ったので、ゴルフに追随した他メーカー同様『オペル版ゴルフ』といえる姿になります。

これが3 / 5ドアハッチバック車で、2ドアクーペは廃止されたためテールゲートはだいぶ寝ており、ハッチバッククーペ的なスタイルがカデットDの特徴です。

他にそれほどテールゲートが寝ておらず実用性重視の3 / 5ドアキャラバン(ステーションワゴン)と、従来型ボディを望む保守派ユーザー向け2 / 4ドアセダンが存在したため、ボディタイプは基本的に6種類。

 

オペル カデットDの高性能版GT/E / 出典:https://www.favcars.com/photos-opel-kadett-gt-e-5-door-d-1983-84-298699-800×600.htm

 

エンジンは旧態依然ながら安価に済む1.0/1.2リッターOHVエンジンの他、1.3~1.8リッターの新型SOHCエンジン、1.6リッターのディーゼルエンジンも準備され、ミッションは当初FF用ATの開発が間に合わず4/5速MTのみでしたが、後に3速ATが追加されています。

なお、1983年にはハッチバック車に115馬力の1.8リッターSOHCエンジンを搭載。

最高速度187km/hに達する高性能版としてGT/Eを復活させ、ゴルフGTIに対抗させました。

 

オペル カデットDには写真のようなライトバンも存在した。/ 出典: https://www.favcars.com/opel-kadett-lieferwagen-d-1979-85-images-295050-800×600.htm

 

また、FF化されてステーションワゴン版の使い勝手もグッと高まったカデットDでは、税金を安くするために運転席&助手席より後ろの窓を塞いだ商用バン仕様(日本でいうライトバン)も追加。

 

コーチビルダーのビーバー車が製作したカデットDコンバーチブル / Photo by Niels de Wit

 

また、ゴルフのように正式モデルは設定されなかったものの、ビーバー社など複数のコーチビルダーによって、手動ソフトトップ(幌)・オープンカーのカブリオレが製作されています。

 

主なスペックと中古車相場

 

オペル カデットD / © TOYOTA MOTOR CORPORATION.All Rights Reserved.

 

オペル カデット(カデットD) 1.3SR 1980年型

全長×全幅×全高(mm):3,998×1,656×1,380

ホイールベース(mm):2,514

車両重量(kg):855

エンジン仕様・型式:水冷直列4気筒SOHC8バルブ

総排気量(cc):1,297

最高出力:55kw(75ps)/5,800rpm

最大トルク:101N・m(10.3kgm)/3,800~4,600rpm

トランスミッション:4MT

駆動方式:FF

中古車相場:皆無

 

まとめ

 

オペル カデットD  / Photo by Spanish Coches

 

新たなライバル、VW ゴルフを追い掛けFF化を果たしたカデットDですが、日本車も含め同じようにFF化したライバルが多数出現します。

さらに新時代では空気抵抗を低減するフラッシュサーフェス化や曲線的デザインが当たり前に!!

そうなると空力的に優れているとまでは言えないデザインはすぐに旧式化してモデルチェンジを迫られ、カデットDもまたわずか5年の短命に終わってしまいました。

そして自動車技術の目覚しい進歩で開発速度は速く、過去よりはるかに高いコストをかけて矢継ぎ早に進化して行かねばならない時代が到来する中、いよいよ次のカデットEが『最後のカデット』になります。

 

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