ブルーバードは6代目ダットサン910型でターボモデルも設定。走りの4ドアFRスポーツセダンとして人気を得ますが、世の大衆車がほとんどFF化される流れには逆らえず、1983年発売の7代目ではついにFF車となると同時に型式もダットサンとしての流れを捨て、日産U11型として再出発します。とはいえ大ヒットした先代のイメージを利用するため、デザイン上は超キープコンセプト。そして上級モデルのブルーバードマキシマも登場しました。
FF化されるも『ブルーバードらしさ』を保ったデザインの7代目
1970年代末から7代目ブルーバードが発売された1983年頃までの国産車は、時代の重要な分かれ目にあり、ミドルクラス以下の大衆車は全て黎明期から貫いていたFR(フロントエンジン・後輪駆動)からFF(フロントエンジン・前輪駆動)へと切り替わった時期でした。
日産でもその流れは無縁ではなく、最初はチェリーくらいだったのが1980年代に入るとサニーやバイオレット系がFF車となり、1983年に発売された7代目ブルーバードも続きます。
とはいえ、ブルーバードは大人気だった先代ダットサン910型のイメージを利用しない手は無いと考えたのか、7代目でFF化されてもデザインは超キープコンセプト。
走りのいいハコのブルというイメージを引き継ぐよう、トレッドの大幅拡大でFFの弱点である回転半径の大きさを克服し、さらにCA系の新型エンジンにはターボ車も設定されました。
そして2ドアハードトップこそ廃止されたもののボディタイプの集約はまだ進んでおらず、ラインナップは4ドアセダン / 4ドアハードトップ / ワゴン / バンの4種類。
そしてエンジンはCA16(1,598cc)、CA18(1,809cc)、CA20(1,973cc)とCA18のターボ版CA18ET、ディーゼルのLD20(1,952cc)の5種類で、後にキャブレター版が電子制御キャブレター化した際にCA20は廃止され、ターボもDOHCターボのCA18DETへ変更されています。
6気筒版が再登場!ブルーバードマキシマ
ダットサン610型『ブルーバードU』(4代目)や同810型『ブルーバードG6』(5代目)に設定されていた直6エンジン搭載上級グレードは6代目910型で一旦廃止されていましたが、7代目では1984年10月に久々の6気筒エンジン車が『ブルーバードマキシマ』として復活。
正確には北米だと910型に直6エンジンを搭載し『マキシマ』名で販売されていましたが、7代目でその北米版を日本市場でも販売。
V6エンジンを横置きするFF車だったものの、フロントノーズは90mm延長されてロングノーズ化。
通常のブルーバードとは異なるオリジナルのフロントマスクとなり、輸出版では3リッターのVG30Eも搭載したものの、国内版は2リッターのVG20Eか同ターボのVG20ETのみ。
ただし車名は1987年5月に北米と同様の『日産 マキシマ』となり、ブルーバード一族だった時代はそう長くはありません。
そして通常の4ドアセダン / 4ドアハードトップの7代目ブルーバードは1987年9月に8代目へモデルチェンジされますが、マキシマは1988年10月までモデルチェンジがズレこみ、ワゴンとバンはさらに1990年5月まで生産されました。
なお、ブルーバードワゴン / バンの後継はアベニール / アベニールカーゴとなったので、ブルーバードのワゴン / バンモデルはこの7代目が最後となっています。
主なスペックと中古車相場
日産 U11 ブルーバード 4ドアハードトップ ターボSSS 1983年式
全長×全幅×全高(mm):4,500×1,690×1,370
ホイールベース(mm):2,550
車両重量(kg):1,165
エンジン仕様・型式:CA18ET 水冷直列4気筒SOHC8バルブ ターボ
総排気量(cc):1,809
最高出力:99kw(135ps)/6,000rpm
最大トルク:196N・m(20.0kgm)/3,600rpm
トランスミッション:5MT
駆動方式:FF
中古車相場:52万~88万円(ブルーバードマキシマなど各型含む)
まとめ
初期のFF車のほとんどがそうであったように、7代目ブルーバードもまずはFF大衆車としての熟成に主眼を置かれたのか、シルエットフォーミュラで活躍した6代目910型やラリーで活躍した8代目U12型のような華々しいエピソードはありません。
むしろ軽さを3段階から選択できる電子制御速度感応式パワステや、運転状況からドライバーの疲労度を推測して休息を促す『セーフティ・ドライブ・アドバイザー』が設定されるなど、新時代の大衆車がどうあるべきか模索されていたことが伺える仕様。
スポーツモデルのSSSも設定されていたとはいえFFのみであり、かつての『ラリーのブル』などスポーツシーンでの活躍は、ビスカスカプリング付きセンターデフ式フルタイム4WD『ATTESA(アテーサ)』が採用される8代目に託される事となりました。
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