日産車フリークやモータースポーツ好きなら『NISMO(ニスモ)』という名前は知っていると思います。街中でNISMOロゴを付けた日産車を見れば、「おっ!」と注目してしまう事もあるのではないでしょうか。今回はそんなニスモとは、いったいどんな会社なのか?話題のニスモバージョンモデルも含めてご紹介します。
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日産車ラインナップにニスモバージョン拡張中!今、ニスモが熱い
最近、自動車雑誌やWebメディア、Youtube動画でニスモがトータルチューンしたコンプリートモデルのレビューを多々見かけるようになり、日産車のニスモバージョンが注目を集めています。
また、日産は2013年にニスモブランドの拡大戦略を発表し、GT-Rのようなスーパーカーからスポーツモデルと無縁に思える電気自動車 リーフまで幅広くニスモバージョンを展開。
数年前までのニスモは、カーレースにおける日産ワークスチームの運営やアフターパーツの開発・販売を行う日産の子会社というイメージでしたが、今では日産のカーラインナップには不可欠となり、どんどん存在感を増しています。
ニスモとは
ニスモは日産のレーシングカー開発やモータースポーツ用部品の開発・販売、レースへの参画や自動車の整備・販売などを行う日産の連結子会社です。
正式な社名は『ニッサン モータースポーツ インターナショナル株式会社(英語:Nissan Motorsports International CO.LTD.)』であり、英語名の中にあるNissanの『Nis』とMotorsportsの『Mo』から『NISMO(ニスモ)』という略称で呼ばれており、ル・マン24時間で好成績を残した名車『R390 GT1』や今後参戦する予定のフォーミュラーEマシンなども日産と共にニスモが手がけています。
また、レーシングカーだけでなく乗用車のコンプリートモデルの開発も行っており、サーキットから公道まで幅広いフィールドでの車両開発やアフターパーツの作成も行なっているのです。
ニスモの歴史
ニスモができる以前に日産のモータースポーツを担当していたのは、東京都港区三田にあった宣伝を担当する部署でした。
その組織が営業部の整備場として使われていた大森に移転したことから、『日産自動車株式会社宣伝部大森分室』としてスタート。これがニスモの前身です。
そして1960年代、宣伝部大森分室がある大森ファクトリーはレーシングチーム『大森ワークス』を運営。
当時の日産モータースポーツにおけるワークスチームは、追浜工場がプロトタイプマシン『R380』を所有していたので、追浜工場から参戦する『追浜ワークス』が一軍チーム。
一方で大森ワークスは二軍チームとされていました。
しかし1970年代に起きたオイルショックにより、追浜ワークスの活動は中止となります。
それでも、大森ワークスはアフターパーツの販売やカスタマーサービスを行なっていたことで存続し、1980年代に実験部部長で追浜工場のボスとされていた難波靖治氏によりモータースポーツ専門会社として1984年9月にNISMOが誕生。
2013年1月には日産自動車グローバル本社と同じ神奈川県横浜市へ移転し、同時に日産はニスモに関してそれまでの『メーカー直系のサード パーティ』から『日産本体の正式なサブブランド』として位置付ける事を発表しました。
ニスモファン組織『Club NISMO』の特典が豪華すぎる
ニスモのファン組織『クラブニスモ(Club NISMO)』は、現在6,500人が会員登録をしています。
そんなクラブニスモの会員になれば、ニスモから以下のような特典を受けることができるそうです。
・会報誌『N-BLOOD』(オールカラー40ページ) 年4回直接送付
・年一度開催の『ニスモフェスティバル(NISMO FESTIVAL)』へ招待
・ニスモフェスティバルで会員専用駐車スペース、専用ラウンジの利用や限定イベントへの参加
・日産オンラインショップやニスモパフォーマンスセンターの割引
・レース観戦チケットの特別価格販売
年会費4,250円(税別)で加入できるので、気になる方は是非クラブニスモの会員になってみてくださいね。
国内販売されているニスモバージョンのモデルは?
現在日産はニスモバージョンをマーチ、ノート、ジューク、セレナ、フェアレディZ、GT-R、リーフの7車種で展開。
海外ではブルーバードシルフィをベースにしたモデル『セントラ』と大型SUV・サファリの日本国外専売車『パトロール』にニスモバージョンを設けています。
ニスモモデルは通常モデルと比べれば高額になりますが、エアロパーツ/サスペンション/ブレーキ/などはニスモ専用パーツが取り付けられており、ボディ剛性の強化も施されるなどさらに高性能!
ニスモ専用チューニングのパワートレインを搭載したモデルもラインナップされるなど、スペックで通常モデルと比べれば、ハイパワーなクルマに仕上げています。
日産・マーチ NISMO / NISMO S
可愛らしいイメージのマーチに、ニスモオリジナルのエアロパーツを取り付け、通常のマーチからスポーツ色の強いマーチに大変身。
しかも、1.5リッターエンジンと5速マニュアルトランスミッションを搭載しています。
トヨタ ヴィッツ GR SPORT”GR”、ホンダ フィットRS、スズキ スイフトスポーツなど強力なライバルがいるカテゴリーですが、マーチ ニスモSはライバル3車種に負けないパワーと運動性能が期待できるモデルです。
マーチ NISMO | マーチ NISMO S | |
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 3,870×1,690×1,500 | 3,870×1,690×1,495 |
車重(kg) | 980 | 1,010 |
エンジン型式 | HR12DE | HR15DE[NISMO RS専用チューン] |
エンジン種類 | 直列3気筒DOHC | 直列4気筒DOHC |
排気量(cc) | 1,198 | 1,498 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 58[79]/6,000 | 85[116]/6,000 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 106[10.8]/4,400 | 156[15.9]/3,600 |
トランスミッション | CVT | 5速MT |
駆動方式 | FF | FF |
価格(円) | 1,603,800 | 1,842,480 |
日産・ノート NISMO/ノート e-POWER NISMO
今、日本一売れている乗用車である日産ノートには、ガソリン車と電気自動車のe-POWERにそれぞれニスモバージョンをラインナップしています。
エアロや足回り、ボディを変更した『ノート ニスモ』、『ノート e-POWER ニスモ』と、ニスモ専用チューニングを施したパワートレインを搭載する『ノート ニスモ S』、『ノート e-POWER ニスモS』をラインナップ。
e-POWER ニスモSはモーターの出力を向上させ、メーカーコンプリートの非常に珍しい仕様です。
ノートNISMO | ノート・NISMO S | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,165×1,695×1,515 | 4,165×1,695×1,515 | |
車重(kg) | 1,110 | 1,080 | |
エンジン型式 | HR12DDR | HR16DE[NISMO S専用チューン] | |
エンジン種類 | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | |
排気量(cc) | 1,198 | 1,597 | |
エンジン | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 72[98]/5,600 | 103[140]/6,400 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 142[14.5]/4,400 | 163[16.6]/4,800 | |
トランスミッション | CVT | 5速MT | |
駆動方式 | FF | FF | |
価格(円) | 2,122,200 | 2,328,480 |
ノート e-POWER NISMO | ノート e-POWER NISMO S | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,165×1,695×1,535 | 4,165×1,695×1,535 | |
車重(kg) | 1,250 | 1,250 | |
エンジン型式 | HR12DE | HR12DE | |
エンジン種類 | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC | |
排気量(cc) | 1,198 | 1,198 | |
エンジン | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 58[79]/5,400 | 61[83]/6,000 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 103[10.5]/3,600~5,200 | 103[10.5]/3,600~5,200 | |
モーター | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 80[109]/3,008~10,000 | 100[136]/2,985~8,000 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 254[25.9]/0~3,008 | 320[32.6]/0~2,985 | |
トランスミッション | CVT | CVT | |
駆動方式 | FF | FF | |
価格(円) | 2,488,320 | 2,671,920 |
日産・ジューク NISMO/NISMO S
日産は、大激戦クラスとなっているコンパクトSUVにジューク ニスモを投入。
多くの車種が混在する中で、トヨタ C-HRやホンダ ヴェゼルなどはチューニングモデルを出しておらず、ジューク ニスモはライバル車にない存在感を醸し出しています。
ジューク ニスモ Sは、国産のコンパクトSUVでは最もハイパワーな214馬力を発揮し、8速マニュアル操作の可能なCVTもジューク ニスモ Sのみに搭載。
他のコンパクトSUVとは一味も二味も違うモデルとなっています。
ジューク NISMO | ジューク NISMO RS | |
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,165×1,770×1,570 | 4,165×1,770×1,570 |
車重(kg) | 1,400 | 1,410 |
エンジン型式 | HR16DDT | HR16DDT[NISMO RS専用チューン] |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC | 直列4気筒DOHC |
排気量(cc) | 1,618 | 1,618 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 140[190]/5,600 | 157[214]/6,000 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 240[24.5]/1,600~5,200 | 250[25.5]/2,400~6,000 |
トランスミッション | CVT-M7 | CVT-M8 |
駆動方式 | 4WD | 4WD |
価格(円) | 2,971,080 | 3,468,960 |
日産・セレナ NISMO
ミニバンでありながらスポーティーな外観のモデルが欲しい方には、セレナ ニスモがおすすめです。
ライバル車はトヨタ ノアSi“GR SPORT”やヴォクシーZS“GR SPORT”で、日産好きかトヨタ好きかで好みは別れるかもしれませんが、高速道路の走行でドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御する『プロパイロットシステム』や、車両後方のカメラ映像をミラー面に映し出す『インテリジェント ルームミラー』など、セレナならではの装備が満載。
ミニバンとしての機能性とニスモのスポーティー性を併せ持ち、家族を持つ若いユーザーには嬉しいモデルです。
セレナ NISMO | セレナ X | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,805×1,740×1,850 | 4,690×1,695×1,865 | |
車重(kg) | 1,720 | 1,650 | |
エンジン型式 | MR20DD | MR20DD | |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC | 直列4気筒DOHC | |
排気量(cc) | 1,997 | 1,997 | |
エンジン | 最高出力(kW[PS]/rpm) | 110[150]/6,000 | 110[150]/6,000 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 200[20.4]/4,400 | 200[20.4]/4,400 | |
モーター | 最高出力(kW[PS]) | 1.9[2.6] | 1.9[2.6] |
最大トルク(Nm[kgfm]) | 48[4.9] | 48[4.9] | |
トランスミッション | CVT | CVT | |
駆動方式 | FF | FF | |
価格(円) | 3,424,680 | 2,440,800 |
日産・フェアレディZ NISMO
日産のスポーツカーに代表されるフェアレディZは先代のZ33からニスモバージョンのモデルを販売するニスモと関係の深いクルマ。
トランスミッションでマニュアルとオートマの両方でニスモモデルを展開し、オートマ限定免許でも楽しめます。
また、スポーツ性能を高めながらも防音材の改良を行い、静粛性を向上。
フェアレディZのニスモチューンと聞けば、サーキットを意識したピュアスポーツのイメージを持ちますが、街乗り、高速道路、ワイディングでも快適に走行できるマルチな性能を持ち合わせたモデルとなっていす。
フェアレディZ | フェアレディZ NISMO | |
---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,260×1,845×1,315 | 4,330×1,870×1,315 |
車重(kg) | 1,500 | 1,540 |
エンジン型式 | VQ37VHR | VQ37VHR[NISMO専用チューニング] |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC | V型6気筒DOHC |
排気量(cc) | 3,696 | 3,696 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 247[336]/7,000 | 261[355]/7,400 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 365[37.2]/5,200 | 374[38.1]/5,200 |
トランスミッション | 6MT | 6MT【7M-ATx】 |
駆動方式 | FR | FR |
価格(円) | 3,907,440 | 6,293,160【6,401,160】 |
【 】内はオートマ車
日産・GT-R NISMO
国産スーパーカーを代表するGT-Rにニスモ独自のチューンニングを施したスーパーモデルで、今までの日産車で最強最速となる1台です。
ライバルとなるフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェの中でもハイパフォーマンスモデルで、常に世界最速を争える存在。
ベースモデルと比較すると約850万円も高い1,870万円となりますが、欧米のスーパーカーに比べると、まだまだ安価。
ワークスチューンでしか達成できない速さと歓びが、1,870万円で手に入ることを高いと思うか安いと思うかは、ユーザー次第です。
日産GT-R NISMO | |
---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,690×1,895×1,370 |
車重(kg) | 1,740 |
エンジン型式 | VR38DETT[NISMO専用チューニング] |
エンジン種類 | V型6気筒DOHC |
排気量(cc) | 3,799 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 441[600]/6,800 |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 652[66.5]/3,600~5,600 |
トランスミッション | デュアルクラッチトランスミッション |
駆動方式 | 4WD |
価格(円) | 18,700,200 |
リーフ NISMO
世界一売れている電気自動車リーフにもニスモバージョンが登場。
エアロパーツ、インテリア、サスペンションはニスモオリジナルのセッティングがなされており、走行性能でも専用チューニングコンピューター(VCM)を搭載しています。
最高出力と最大トルクでは通常のリーフと変わりませんが、加速度・減速度はニスモバージョンの方が格段に上。
電気自動車にスポーティーなスタイルとエキサイティングな走行性能を実現させたリーフ ニスモは次世代のスポーツカーです。
リーフ NISMO | リーフ S | ||
---|---|---|---|
全長×全幅×全高(mm) | 4,510×1,790×1,550 | 4,480×1,790×1,540 | |
車重(kg) | 1,520 | 1,490 | |
モーター | 型式 | EM57 | EM57 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 110[150]/3,283~9,795 | 110[150]/3,283~9,795 | |
最大トルク(Nm[kgfm]/rpm) | 320[32.6]/0~3,283 | 320[32.6]/0~3,283 | |
バッテリー | 種類 | リチウムイオン | リチウムイオン |
総電圧(V) | 350 | 350 | |
総電力量(kWh) | 40 | 40 | |
駆動方式 | FF | FF | |
価格(円) | 4,032,720 | 3,150,360 |
まとめ
ニスモ以外の自動車メーカーにもレーシングブランドを持つ企業は多く、トヨタでは企業内にある事業部門を分社化させるカンパニー制により誕生した『トヨタ ガズー レーシング(TOYOTA GAZOO Racing)』やアフターパーツの開発・生産を行う『TRD』、メルセデスベンツの『AMG』やBMWの『M』などのメーカー直系スポーツブランドが有名です。
ニスモは、カーレースにおけるワークスチームを運営をし、ガズーレーシング、AMG、Mなどとサーキットで競い合い、そのノウハウをアフターパーツやニスモコンプリートモデルの開発に惜しみなく注ぎ込んでいます。
そんなニスモはこれからも世界のレースシーンをリードし、盛り上げてくれる存在である事は間違いありません。
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