自動車の心臓とも言えるエンジンには、様々な種類が存在しそれぞれに利点欠点があります。V型エンジンや直列エンジンなど様々な種類がありますが、それぞれにどのような特徴があるのでしょうか。近年ポピュラーとされているエンジンをメインにご紹介いたします。
エンジンは何をしているのか
エンジンとは燃料を燃やして動力を取り出す機械で、その動力をミッションやシャフトなどを通してタイヤへ伝えています。
また、燃料と一口に言っても必要なものはエンジンによって多種多様。
ガソリンや軽油、LPGなどの化石燃料から、近年の環境問題への取り組みによって開発がなされているバイオエタノールや水素など様々存在します。
そしてパワーをより効率的に引き出すために、ターボやスーパーチャージャーのような過給機をつける場合も。
近年では世界的なダウンサイジングの潮流により気筒数や排気量の削減が多くみられ、その分過給機でパワーを補う方法が主流になりつつあるのです。
このような、車の心臓ともいえるエンジンを構成するために非常に多種多様なパーツが使われており、およそ一万点以上の部品が組み合わされて成り立っています。
レシプロエンジンのどのエンジンにも共通して言えることは、シリンダー内で起きた爆発によるピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を発生させていること。
もちろん爆発が起こっているということは、振動や音も発生しているので、それを抑えるかどうかは車のタイプによって様々です。
エンジン形式によって出る音も違えば、構造も異なり振動の出方も変わってくるので、ここからはそれぞれのエンジンの特徴を見てみましょう。
エンジンの種類
直列エンジン
最も多くの車で採用されているエンジン形式でポピュラーなものでいうと、フィアット500に採用された2気筒から、軽自動車によく見られる3気筒、メジャーな4気筒、アウディやボルボ等が採用している5気筒、BMWや第二世代スカイライン等に採用されている6気筒などです。
特に6気筒は、高級車などでの採用が多くBMWの6気筒は”シルキーシックス”と呼ばれ滑らかな動作が持ち味のエンジンでしたが、国産車への搭載が激減し、近年ではめったに見られなくなってしまいました。
ちなみに、直列4気筒は国内外問わずメジャーな形式であり、コンパクトカーから高級車への採用も見られます。
V型エンジン
ポピュラーなV型エンジンといえば、アメリカンなイメージの強い8気筒や、国産高級車に採用の多い6気筒、センチュリーに長らく採用されておりフェラーリやランボルギーニにも多い12気筒や、LFAの10気筒など大変多様なバリエーションがあります。
特に海外製のスポーツカー、高級セダン、スーパーカーはおおよそV型エンジンを搭載。
そして12気筒エンジンは、上記の直列6気筒とともにクランクシャフトにバランスウェイトを設置することで完全バランスのエンジンとなることでも知られており、理論上振動が打ち消されるので、滑らかなエンジンとされています。
また、多気筒エンジンは排気音が高音になる傾向があり、非常に特徴的な音を奏でるので、スーパーカーを選ぶ際、排気音も重要な選択要素になりえるのです。
水平対向エンジン
今となっては、ポルシェとスバルのみが乗用車に搭載している水平対向エンジンは、向き合っているシリンダーによって振動が少なくなり、エンジンの全高が抑えられるため重心を低くとりやすいメリットがあります。
ポピュラーなものでは4気筒と6気筒が存在し、4気筒のスバル車の特徴的な排気音を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
そんなポルシェの水平対向6気筒の乾いたサウンドも魅力的です。
W型エンジン
今や超高級車にしか採用されていないW型エンジン。
作っているのはフォルクスワーゲングループのみとなっています。
2001年から4年間はパサートにW型8気筒を搭載したモデルがあったものの、現行モデルでW型エンジンを搭載したモデルは12気筒か16気筒しかありません。
しかもかなりの高額で、比較的低価格帯のアウディA8 W12やベントレーコンチネンタルGTでも2000万円超えとなっています。
なんといっても、16気筒を搭載した一台3億円のブガッティシロンや2億円のヴェイロンが非常に有名で、これらは滅多に見ることのないエンジンです。
VR型エンジン
フォルクスワーゲン社が採用している挟角V型エンジンで、5気筒と6気筒が存在しており現行型は6気筒のみに絞られています。
シリンダーヘッドが2つ必要なV型エンジンに対して一つで足りることと、幅が狭くV型ほど場所を取らずに済むというメリットがあり、6気筒モデルは直列6気筒よりも全長が短くかつ同じ点火時期を採用するため、よりコンパクトさと静粛性を兼ね備えたエンジンとなっています。
また、この技術をベースにW型エンジンが設計されたこともあり、フォルクスワーゲングループのフラッグシップエンジンとして今日も販売されています。
ロータリーエンジン
これまでの形式はいずれも、ピストンを用いたエンジンでしたがこのエンジンは違います。
元々はドイツで原理的な設計と開発がされたものですが、市販にこぎつけ乗用車に搭載し販売を続けたのはマツダのみでした。
通常のエンジンに比べ、燃費が悪いといった欠点はあるものの、エンジン自体が非常にコンパクトで上下運動がなく、回転運動のみなので非常にスムーズであるというのがメリット。
RX-8を最後に市販のロータリーエンジン車は市場から姿を消してしまっていますが、次世代ロータリーエンジンの発表やロータリー水素自動車などの研究がマツダで行われており、まだまだ目が離せません。
まとめ
いかがでしたか?
登場しては消えてしまった様々なエンジンが、ここで紹介しきれないほどたくさんあります。
その昔は3気筒のY型エンジンや4気筒のX型エンジン、航空機に使われていた星型エンジンなどありましたが、自動車用で採用され続けているエンジンは、記事で紹介したものがほとんどです。
エコや環境問題が声高に叫ばれる今、化石燃料を燃やして動作するエンジンは、今後市場では縮小していくかもしれません。
しかし、音や匂いなど車好きとは切っても切れない五感で感じるものが存在しているのも確かです。
次世代燃料によるエンジンも、電気自動車ほどではないものの研究が進んでいます。
今後のエンジンの行方を見守っていきましょう。
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