バブル崩壊やSUV、ミニバンといった新時代の乗用車が台頭する中、それまで主力だったセダンの没落を食い止めようとしたトヨタは、1990年代後半に『セダン イノベーション』キャンペーンを展開するとともに1998年には『プログレ』を発売。プレミアムコンパクトセダンを極めて新境地を開こうとしますが、その超保守的なプログレのより若々しくダイナミック版として2001年に登場したのがブレビスでした。

 

トヨタ ブレビス  / 出典:https://www.favcars.com/pictures-toyota-brevis-2001-07-76735-800×600.htm

 

プレミアムコンパクトセダン第2章は『アクティブ・エレガンス』がテーマ

 

トヨタ ブレビス / 出典:https://www.favcars.com/toyota-brevis-2001-07-pictures-62378-800×600.htm

 

1998年、前後オーバーハングを徹底的に削ぎ落とした5ナンバーサイズボディに、クラウンやマークIIと同等の2.5~3リッター直6エンジンを搭載したFRプレミアムコンパクトセダン『プログレ』を発売したトヨタ。

その内外装まで徹底した超保守路線は清々しいほどに潔く、トヨタの新境地として話題になったものの、ウッカリするとタクシーかハイヤーとしてもそのまま通用しそうなデザインは、少しばかりユーザー層を限定しすぎたのかもしれません。

しかしそこからがトヨタの底力で、そのプログレをベースに内外装に躍動感や新鮮味のあるデザイン・装備を採用し、『アクティブ・エレガンス』をテーマにした『ブレビス』を2001年6月に登場させました。

ここで面白かったのは超保守派のプレミオがマークIIを販売していたトヨペット店で、アクティブ派のブレビスがクラウンを販売していたトヨタ店で販売されていた、ということです。

トヨタとしては、トヨペット店のユーザーで若々しいマークIIを好まない、あるいは保守的なコロナ(プレミオ)から乗り換える車としてプレミオという受け皿を。

また、トヨタ店のユーザーには、保守的なクラウンを好まない、あるいは若々しいカリーナ(アリオン)から乗り換える車としてブレビスを、という補完関係を目指していたのかもしれません。

 

外観のみならず、内装や装備面でも新しさのあったブレビス

トヨタ ブレビス  / 出典:https://www.favcars.com/trd-toyota-brevis-jcg10-15-2001-07-photos-189141-800×600.htm

 

『より若々しく躍動感あるプログレ』として登場したブレビスですが、本当に若いユーザー向けのプレミアムコンパクトセダンとしては既にネッツ店扱いの『アルテッツァ』が存在したためか、ブレビスはプレミオとアルテッツァの中間的なデザインとなりました。

すなわち、ダイナミックな印象を与えつつあくまでエレガンスということで、TRDから外装パーツが発売されるほど間口を広く取りつつ、目指すところはあくまでフォーマルな場が似合うラグジュアリーセダンです。

そしてメーター周りなどにオプティトロンメーター(自発光メーター)を採用し、理想的なドライビングポジションのためシートやステアリングのみならず、何とアクセルやブレーキペダルの位置すら70mmも調整可能な『パワーアジャスタブルペダル』を採用。

超保守的ユーザー向けには扱いきれず過剰になりかねない装備も積極的に採用していたのは、ブレビスの大きな特徴でした。

 

主なスペックと中古車相場

 

トヨタ ブレビス  / 出典:https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/vehicle_lineage/car/id60012482/

トヨタ JCG11 ブレビス Ai300 2001年式

 

全長×全幅×全高(mm):4,550×1,720×1,460

ホイールベース(mm):2,780

車両重量(kg):1,550

エンジン仕様・型式:2JZ-FSE 水冷直列6気筒DOHC24バルブ

総排気量(cc):2,997

最高出力:162kw(220ps)/5,600rpm

最大トルク:294N・m(30.0kgm)/3,600rpm

トランスミッション:5AT

駆動方式:FR

中古車相場:15.8万~69.8万円

 

まとめ

 

トヨタ ブレビス / 出典:https://www.favcars.com/images-toyota-brevis-2001-07-189144-800×600.htm

 

トヨタが意欲的なセダン革命のため最後に登場させたブレビスですが、もはや以前のようにセダンが乗用車の主力に返り咲き、再びセダンから1ランク上のセダンへ買い換えるような時代に戻る事は、ありえませんでした。

搭載していた直列6気筒エンジンの廃止や、トヨタの高級車ブランド『レクサス』が日本でも開業した事により、プレミアムコンパクトセダンという役割もレクサスISやHSへと移り、役目を終えたブレビスは2007年8月、プログレともども販売を終了します。

そんなプログレほど保守的なデザインで割り切ったり、アルテッツァのような軽快さの無かったブレビスは、保守にもスポーティにも振り切れてはいけないという制約の中で『中道的な車づくりがいかに大変か』を後世に伝える存在でもあったように思います。

 

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