ラリーやレースでの活躍から日本ではモータースポーツイメージの濃いイタリアのランチアですが、本来は高級車メーカーであり1969年以降はフィアットの高級車部門。縮小された今はイタリア国内専用ブランドですが、かつては個性的な高級車も数多く販売していました。そのランチアが1994年から販売しているプレミアム・コンパクトカーがイプシロンであり、2代目イプシロンは2002年から2011年まで販売されていました。

 

2代目ランチア・イプシロン  / Photo by Oleg Kuznetsov

 

オシャレでユーモラスなデザインの2代目イプシロン

 

2代目ランチア・イプシロン  / Photo by Norbert Schnitzler

 

かつて日本ではアウトビアンキY10の名で販売されていた、イタリアはフィアットグループの高級車ブランド『ランチア』のプレミアムコンパクトカー。

1994年にランチアY(イプシロン)として再出発すると、2002年のモデルチェンジで2代目は『ランチア イプシロン』と微妙に名を変えました。

そしてシンプルな中に味があったY10、前衛的だった初代Y(イプシロン)に続き、2代目は丸っこいボディにひと回り小さいキャビンをポンと載せたような、人懐っこい小動物のようにユーモラスなデザイン。

残念ながら日本での正規輸入販売はありませんでしたが、オシャレで愛らしいデザインや個性的なメカニズムがウケたのか、並行輸入車が何台か中古車市場でも流通しています。

 

まるでお菓子のようなカラーバリエーションや個性的なセミAT

 

2代目ランチア・イプシロン / Photo by Oleg Kuznetsov

 

2代目イプシロンのデザインは戦前から1950年代はじめに生産されていた小型ファミリーカー『ランチア アルデア』をモチーフにしたと言われており、確かにリアのキャビンとフェンダーの段差などに、アルデアの面影が見られる気がします。

加えてキャビンを濃色、ボディを淡色で塗り分けた2トーンカラーの場合はなかなかオシャレで、まるで外国のお菓子のようにポップな車。

非常に前衛的だった初代に比べて普通のデザインになったとは言われるものの、コンパクトカーでいかに高級感を演出するかというテーマに対し、高級車ブランドらしい回答を示していると言えます。

 

2代目ランチア・イプシロン  / 出典:https://www.favcars.com/lancia-ypsilon-unique-edition-2003-images-337120-800×600.htm

 

また、アナログ式メーターを配したシンプルなセンターメーターは、左右対象のインパネ中央に埋め込まれたような初代に対し、低いインパネからセンターメーター部のみ飛び出したような形状で、ドライバーの視線移動を少なくし、前方視界も向上させています。

そしてシフトレバーはインパネシフト式に生えていますが、5/6速MTに加えて非常に個性的なセミATの『D.F.N』を採用。

D.F.NとはDolce Far Niente(ドルチェ・ファール・ニエンテ)、日本語で言えば『何もしなくても良い甘美さ』あるいは『甘美なる怠惰』。

要するにシングルクラッチ式セミATで、国産車でも最近スズキが採用している『AGS(オートギアシフト)』と同じく、通常の5速マニュアルミッションに電子制御自動操作機構を組み込んだものです。

そんなD.F.Nの評価はスズキAGSと同じく人によってマチマチで、『かったるい』、『加速時や停車時のシフトダウンを忘れるのか、微速から2速のまま加速しようとしたり、停車時にギクシャクする』という声がある一方、『走りのリズムに乗れれば楽しい』という意見も。

基本的にこの種の電子制御セミATは学習能力を持っていて以前のオーナーのクセを覚えていたりするので、長く乗って車がドライバーに慣れるか、思い切ってドライバーが車に(というかD.F.Nに)合わせてしまえばいいという事かもしれません。

もちろんセミATとは別名『2ペダルMT』なのでクラッチペダルは無く、オートマ限定免許でも乗れますが、トルコン式ATと違ってクリープ現象は無く、ヒルホールドシステムも無いようなので、坂道発進の際は注意が必要です。

 

主なスペックと中古車相場

 

2代目ランチア・イプシロン  / Photo by peterolthof

 

ランチア イプシロン(2代目) 1.4 16V Platino D.F.N 2004年式

全長×全幅×全高(mm):3,780×1,720×1,530

ホイールベース(mm):2,388

車両重量(kg):1,140

エンジン仕様・型式:水冷直列4気筒DOHC16バルブ

総排気量(cc):1,368

最高出力:70kw(95ps)/5,800rpm

最大トルク:128N・m(13.0kgm)/4,500rpm

トランスミッション:5速セミAT

駆動方式:FF

中古車相場:27.6万~78万円

 

まとめ

 

2代目ランチア・イプシロン  / Photo by peterolthof

 

『高級感のある乗用車デザイン』にはお国柄が出るもので、メッキパーツを多用しがちな日本車に対し、2代目イプシロンは万事控えめ。

クロームメッキのフロントグリルでさえ、左右ヘッドライト間に小さく収まっています。

だからどちらが上品、あるいは品が無いというわけではなく国民性の違いに過ぎませんが、イタリアンデザインでトータルコーティネートしている人なら、日本ではメジャーなアルファロメオやフィアットだけではなく、ランチア車も選択肢としていかがでしょうか?

日本ではマイナーな存在とはいえ、世界的には女性向けで大いにウケた年間6万台生産のベストセラーカーなだけに、個性をアピールするにはうってつけの逸材です。

 

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