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カワサキはZ2・Z1のシリンダーヘッドを再生産・供給することを発表しました。カワサキ歴代の旧車の中で絶対的なフラグシップモデルであるZ2・Z1は、日本だけでなく海外でも愛好家は多いモデルです。そのためZ2・Z1の部品を生産するリプロ部品メーカーもありますが、シリンダーヘッドのような複雑な主要パーツが再販されることはレストアを楽しむユーザーにとっては朗報です。

Photo by Steve Glover
Z2・Z1ユーザーの期待に応えカワサキZ2・Z1シリンダーヘッド再生産決定

Copyright (C) 2019 Kawasaki Heavy Industries, Ltd. Al
カワサキは、Z2とZ1の両モデルに搭載されるエンジンのシリンダーヘッドを再生産することを発表しました。
そんなZ2・Z1は全世界で累計10万台以上の販売数を誇り、カワサキの名を一気に世界に認知された歴史的なモデル。
現在も多くの愛好家によって、大切に乗られています。
また、現在Z2・Z1のパーツはメーカー純正品だけでなく、社外メーカーによって製造されるリプロパーツも多く販売されていますが、シリンダーヘッドに関してはエンジンの主要部品で複雑な構造をしているため社外メーカーでは製造が困難でした。
今回カワサキがシリンダーヘッドの再生産を公に発表したのはZ2・Z1ユーザーによって嬉しいニュースといえるでしょう。
カワサキZ2・Z1とは

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カワサキ Z2の正式なモデル名は、『カワサキ 750RS』および『カワサキ Z750FOUR』で、Z2とは型式名なのですが、そのまま通称として親しまれています。
また、カワサキ Z1はモデル名『カワサキ 900Super4』のことを表し、Z2の輸出モデルとして登場しました。
当時、1969年にカワサキが発売した500SSマッハⅢが世界最速の座に君臨していましたが、ホンダCB750FOURが最高速でマッハⅢを上回り、カワサキが世界最速の座を奪還するために登場させたのがZ1です。
Z1は量産車で初めて並列4気筒DOHCエンジンを搭載。
美しいエンジンの造形美やカワサキZ系独特のエンジンサウンド、登場間もない初期型の『火の玉カラー』と呼ばれるカラーなどから国内外で高い支持を得て、バイク漫画やドラマ、映画にも登場したことでバイクに興味が無い方でも知るほどの有名モデルとなりました。
ちなみにカワサキZ2は5年、Z1は4年間しか生産されなかったため、高セールスを記録したモデルではあるものの、40年以上経過した現在では個体数が減少し、希少価値の高い旧車となっています。
カワサキはなぜZ2・Z1のシリンダーヘッド再生産に踏み切ったのか

Photo by James Banks Photography
Z2・Z1は発売から半世紀近くが経過し、旧車としての価値が年々上がっています。
なぜなら世界中のオーナーが丹念にレストアを施し、実走可能な上に新車で販売されていたような美しい車体が多く現存しているためで、多くのカワサキファンや旧車ファンは今でもZ2・Z1を切望。
中古車販売されていても、ウン百万円が当たり前のようにつけられています。
また、Z2・Z1を専門に扱う中古車販売店やパーツ販売店も存在し、なかでもリプロパーツを生産・販売しているお店もあるため、Z2・Z1のノウハウを持っているショップやメーカーは多々存在。
カワサキは、そんなZ2・Z1オーナーや専門店、リプロパーツメーカーなどからさまざまなニーズを受け、Z2・Z1のシリンダーヘッド再生産に踏み切ったのです。
カワサキZ2・Z1のシリンダーヘッド販売方法・価格は

Photo by 70_musclecar_RT+6
Z2・Z1のシリンダーヘッドは、2019年秋に開設される販売専用サイトで受注を開始。
2020年より販売される見込みです。
初回は1,000個を生産する予定で、販売は日本のみですが、海外での販売も現在検討中とのこと。
価格は未定となっていますが、30万円以内になる見通しです。
部品構成
・カムシャフトブラケット
・バルブおよびその周辺部品
・タペット
カワサキからは次の注意点を喚起しています。
※当時の製造技術・製造法の結果として生じた細部の形状や表面の質感などを復元するものではありません。
※カムシャフトやシリンダーヘッドカバー、ガスケット類などは含みません。
※排気管取り付け用のスタッドボルト寸法は、後期型のM8を採用しています。
※「KZ1000MkⅡ」など通称「角ヘッド」のモデルには適応していません。引用:https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20190301_1.html
適用機種

カワサキZ2・Z1シリーズ用シリンダーヘッド適合表 / © Kawasaki Heavy Industries, Ltd. All rights reserved.
※本品の取り扱いについて※
1.組替え作業
・川崎重工業株式会社(以下、当社)、株式会社カワサキモータースジャパン、カワサキプラザネットワークおよびカワサキ正規取扱店でのシリンダーヘッドの組替えはいたしかねます。
・お客様ご自身で組替えをされる際は、必ずサービスマニュアルをご覧のうえご対応ください。
・整備業者などに組替えを依頼される場合は、お客様ご自身で組替え可能な認証・指定工場業者をお探しください。2. シリンダーヘッドの瑕疵、保証
・シリンダーヘッドの到着後、すぐに開封・組替えし、シリンダーヘッドの機能に不具合がないことをご確認ください。
・シリンダーヘッド単品の保証はいたしますが、各取付け車両でコンディションが異なりますので、本品を組み込んだモーターサイクルの品質および性能については、モーターサイクルのパフォーマンスや他の部品への影響含め保証いたしかねます。なお、当社によるシリンダーヘッド単品の保証は、修理または交換といたします。3.組替え作業中や車両運転中などの事故、故障に対する補償
・天災やお客様の責任による組替え作業中や車両運転中の事故など当社の責に帰すべき事由によらない損害について、当社、株式会社カワサキモータースジャパン、カワサキプラザネットワークおよびカワサキ正規取扱店は補償責任を負いかねます。もっとも、これはシリンダーヘッドの売主である当社の法律上の責任を制限するものではありません。
なお、内容は予告なく変更することがあります。引用:https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20190301_1.html
まとめ

Photo by Big Ben in Japan
再生産されるシリンダーヘッドは、当時の図面に規定された仕様を、現代の製造技術・製造法によって再現することを目指し、カワサキにとっては実験的な要素も加わっています。
さらにカワサキは、シリンダーヘッド以外の部品や、Z1・Z2以外の旧車についてもユーザーの声によっては再生産プロジェクトを検討するとしており、現在の製造機械や製法で旧車パーツをリプロできる体制を、積極的に作っていく方針と思われます。
こうしたユーザーを大切にするサービスを実現していく姿勢が、カワサキからファンが離れない一番の理由かもしれません。
Z2・Z1は愛好者の熱い思いとメーカーの献身的なパーツリメイクにより、これからも輝き続けます。
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