クルマのドアの開き方の種類はいくつかあり、スーパーカーや希少車には、ユニークなドアの開き方をするクルマが多数存在します。なかにはドアを開けた状態が、かなり絵になるモデルも!そんなドアの開き方の種類と、それぞれのメリット&デメリットをご紹介します。

出典:写真AC

ドアの開き方は自動車メーカーのアイデンティティ

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一般的なクルマのドアの開き方といえば、開口部前方に装着されたのヒンジと呼ばれる部品によって開閉できるものが思い浮かぶと思います。
このタイプは、開閉に大きな力が必要なく、最も開けやすいクルマのドアの開き方だと考えられますが、ドアを開いたときにある程度の横幅がなければ、出入りしにくいという難点があります。

そんなドアの開き方はそのモデルのチャームポイントやメーカーのデザインアイデンティティとなっており、例えばランボルギーニ カウンタックのシザードアが発表された当時は、日本はスーパーカーブームだったため、跳ね上がるドアに多くの少年たちが胸をときめかせていました。

それだけ、ドアの開き方というのはユーティリティやスタイルを向上させるうえで重要な要素なのです。

ラゲッジルームを開く際の定番、ハッチバックドア

ホンダ・フリード+/ © Honda Motor Co., Ltd.

ラゲッジルームを開く際、跳ね上げ式のドアを『ハッチバックドア』と呼びます。

船の昇降口の扉、床や天井などの出入り口にも使われる”ハッチ”という言葉に、”バック”を付けることでリア部分のハッチドアを示します。

このハッチバックは、開いた際にドアがないため荷物を出した後、左右に運びやすいのですが、開けるのに力が必要なことと、開く際に後ろのスペースが必要となります。

ラゲッジルームの観音開き、ダブルバックドア

ルノー・カングー / © Renault.jp

『ダブルバックドア』とは、ルノーがカングーのラゲッジルームの開き方を示す際に使っている呼び方ですが、要はラゲッジルームのドアが観音開きになっている開き方です。
トラックのバンボディも観音開きであるため、貨物車では一般的に使われている開き方であり、フランス本国で走っている多くのカングーも業務用のバンとして使われています。

こちらは、両手で2枚のドアを開かなければなりませんが、ドアが2等分されているため大きなドアでも少ない力で開けることが可能です。

開口部が広く高級感も演出するガルウイング

メルセデス・ベンツSLS AMG / Photo by Joss Rogers

ガルウイングとは、カモメが翼を広げた姿を示しており、実はカウンタックの開き方をガルウイングと呼ぶのは間違いです。

ガルウイングのメリットは、ドアを開けた際に左右のスペースをあまり使用しないことと、開口部が広くて乗りやすいこと。

デメリットは、ドアが屋根部分の約半分も開くため、ドアを開ける際に力が必要なことと、閉める際には席に座っていても少し腰を上げなければドアの取っ手に手が届かず閉めにくいことです。

ランボルギーニでお馴染みのシザードア

ランボルギーニ・カウンタック / Photo by Reuben Yau

ランボルギーニ カウンタックや、現行モデルのアヴェンタドールでお馴染みのシザードア。
こちらは、ガルウイングと呼ばれることが多いですが、正しくはシザードア(またはシザーズ)と呼び、名前の通り『ハサミのようなドア』を意味します。

シザードアのメリットは、なんといっても開けたときにカッコいいこと。

しかし、開け閉めが面倒だったり、開いても開口部が狭くなってしまうことなどデメリットが多く、見た目のカッコよさを重視したドアの開き方といえます。

最近のスーパーカーで搭載されているバタフライドア

BMW・i8 / Photo by Adrian Kot

バタフライドアはラ フェラーリやBMW i8、マクラーレン 720Sといった最近のスーパーカーに多く採用されており、カーマニアの間では、トヨタ セラに搭載されていたことで今なお熱狂的な支持を得ています。

バタフライドアは、ガルウイングとシザードアの中間的なドアで、ドアがAピラーを中心に外側斜め前方に持ち上がり、前から見たときに蝶が羽を開いたように見えるため、バタフライドアと呼ばれるようになりました。

メリットはドアを開けた際、開口部の上部にドアがないため、背の高い方でも乗りやすいこと。

デメリットはシートに座りながらドアを閉めることが困難なため、若干腰を上げないと手がドアの取っ手に届かないことです。

ケーニグセグが開発したラプタードア

ケーニグセグ・アゲーラ / Photo by hans-johnson

ラプタードアは、スウェーデンのスーパーカーメーカー『ケーニグセグ』のモデルに搭載されています。

シザードアやバタフライドアにも似ていますが、ドアがドアの付け根を中心に90°回転するため、開いた際に左右と上部にスペースを必要としません。

しかし、ドアを開く際はまずドア全体を引き出しのように手前に引いてからドアを回転させるため、開け閉めの工程が複雑で面倒なことが難点です。

近未来的で超希少なキャノピードア

パーヴィス・ユーレカ / 出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Purvis_Eureka

キャノピードアはかなりユニークな開き方ですが、街中ではまず見かけることはないでしょう。

SF映画に登場してくるような近未来的なドアの開き方で、ほとんどがモーターショーに出てくるプロトタイプにのみに採用され、実用化されたのはごくわずか。

オーストラリアで生産されていたキットカー『パーヴィス ユーレカ』にキャノピードアが採用され、オーストラリア以外の国では『スターリング ノヴァ』というモデル名で販売されました。

マツダ・RX-9に採用されるかもしれないスワンウィングドア

アストンマーチン・DB9ヴォランテ / Photo by Dave Verwer

スワンウィングドアは一般的なサイドドアに似ていますが、開けた際に若干斜め上向きに開く構造になっているドアで、開閉時には道路の淵にある縁石などへの衝突を防げます。

アストンマーチンが最初に『DB9ヴォランテ』に採用し、開く際の傾斜は12°でした。

マツダが北米でスワンウィングドアの特許を申請したことが発覚し、今後登場するとされるマツダ RX-9に採用されるとみられます。

多くの旧車で採用されていたスーサイドドア

ロールスロイス・ファントム / 出典:https://www.press.rolls-roycemotorcars.com/rolls-royce-motor-cars-pressclub/

一般的なドアではクルマの前方にヒンジがありますが、スーサイドドアではこれが逆になっています。

観音開きと同じではないかと思われますが、前後のドアがBピラーを中心に開く場合やクーペボディでも採用される場合は『スーサイドドア』という呼び方が用いられます。

こちらは旧車の多くに採用されていますが、足元側が大きく開くため、キャブオーバー車などでは乗り降りがしやすいのですが、手を伸ばさないと取っ手に届かないため開け閉めが難しいことから、今では搭載されるモデルがごくわずかになりました。

まとめ

出典:写真AC

それぞれの開き方にメリットとデメリットがありますが、ファッショナブルで目立つクルマが好きな方には、ガルウイングやシザードアなど開けた際に目を引くクルマを推薦します。

現在は、様々なクルマ向けのガルウイングキットも販売されているため、ドアの開き方をカスタムする事も可能なので、是非検討してみてはいかがでしょうか。

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