東京五輪・パラリンピック開催が約1年後に迫ってきましたが、五輪開催期間中に首都高の通行料金を値上げする案が出ていることはご存知でしょうか?そもそも、日本は2輪車の料金も軽自動車と同額であることや、他国と比べて利用料金が高すぎるなど、高速道路の料金について様々な問題が山積みで、ドライバー、ライダーにとって重荷になっていることは言うまでもありません。

出典:写真AC

東京オリンピック開催期間中に首都高最大3,000円に値上げ?

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2019年2月6日、東京都と東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会が行った『第4回 交通運送技術検証会』で、大会開催期間中に首都高速道路の通行料金を時間帯によって変動させるロードプライリング(道路課金)制度の導入案が提出されました。

大会期間中は、オリンピックとパラリンピックの選手や関係者、約1,000万人の往来が加わり、道路や鉄道などの混雑が懸念されています。

その対策として、大会組織委員会と東京都は、都内16地区を中心に企業や市民へ時差出勤やテレワーク(在宅勤務)を要請。

自主的な取り組みによる混雑緩和や、大会関係車両のための専用レーンを設ける対策案を提出しています。

そんな混雑緩和の一環として、大会期間中の首都高料金の値上げ案も議題に上がっているのです。

現在首都高の通行料金はETC利用の普通車で300~1,300円ですが、大会期間中は500~3,000円に値上げ予定。

物流関係のトラックなどは、対象外という案です。

これには、都民やマスコミから多くの反感をかい、『都民ファースト』ならぬ『五輪ファースト』とも揶揄されるほどとなっています。

また、2019年7月22日~8月30日までを混雑緩和施策の試行期間とし、これらの対策の総合的なテストが実施されますが、首都高の値上げはされません。

しかし、値上げ施策で本当に交通量が緩和できるかについての確証はなく、五輪開催までの期間で実証実験が行われる可能性は、まだ残されています。

日本の高速料金は高すぎる!いつになったら無料になるのか

アメリカのフリーウェイ / Photo by Danielle Scott

皆さんは、高速道路の利用料金が高すぎると感じたことはありませんか?

日本の高速道路の利用料金を1kmあたりの単価にすると、24.6円となります。

一方でアメリカの高速道路のほとんどは『フリーウェイ』と呼ばれており、無料で走行できるうえ、一部で有料道路もありますが、有料区間も1km単価で3.3円です。

さらに他の主要国と比較しても、イギリスは無料区間が多く一部有料区間で9.9円、フランスが13.3円、ドイツは大型車のみ有料で16.8~34.3円といったところ。

このように、日本の高速道路は世界的に見ても高額なのです。

ちなみに、日本の高速道路の債務残高は2005年の民営化時点で38.5兆円でしたが、2017年度期末時点では27.2兆円。

予定では、2065年に料金徴収が終わると言われていますが、実際は12年で11.3兆円返済できているため予定より1兆4,000億円分速い返済ペースとなっており、計算上では30年後ぐらいに債務残高ゼロとなります。

しかし、債務が完済できれば高速道路が無料になるかと言われれば、さもあらず。

債務返済予算には道路補修などのメンテナンス費用は含まれておらず、維持費だけでも莫大な費用が必要になります。

さらに将来的には、老朽化による建て替えも必要となるため、高速道路料金を無料にして、これらの費用を税金で賄うのは困難。

民主党政権時(現在:立憲民主党)に沖縄県で高速道を無償化する社会実験が行われましたが、この際には大渋滞が発生し、県の要請もあり実験がすぐに取りやめられました。

しかし、債務の完済後、または完済の目処が見えると、今よりも高速料金が下がる可能性はあるため、高速料金に不満がある方にとっては期待はできる流れです。

なぜ2輪車の高速料金は軽と同じ?

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また、2輪車に乗って高速道路を利用する際、料金が軽自動車と同額であることに疑問を抱くライダーも多いのではないでしょうか。

東京から大阪まで2輪車または軽自動車で行く際、新宿ICから梅田ICまで高速道路を使ってETC決済をすれば、高速料金は9,960円です。

他の移動手段と比較してみると、羽田空港から伊丹空港までJALやANAに乗って8,000~15,000円、新幹線で東京駅から新大阪駅までのぞみの自由席で13,620円、さらに、夜行バスであれば最安値の4列シートで3,000円ぐらいとなります。

2輪車は、ガソリン代で5,000円ぐらいかかるため、実は価格で比較すれば新幹線や飛行機のほうが安価で移動できるのです。

さらに2輪車での移動となると、自ら運転し、休憩もいれて大体6時間はかかるため、新幹線や飛行機のほうが時間短縮もできるので、コストパフォーマンスも良好。

乗用車であればミニバンで最大8人乗れ、高速料金を割り勘にすれば一人当たりの負担額も安くなる上に、2輪車と同額の軽自動車でも最大4人は乗車可能です。

しかしバイクは、高速道路でのタンデムは可能ですが、それでも2名のみ。

とはいえ排ガス規制でエコカーのほうが優遇される時代です。

バイク全体でみれば普通車や軽自動車より比較的排気量も少なく、軽自動車に比べても短い全長で渋滞になる要素も低め。

ほかにも車重が圧倒的に軽いため、走行時に与える舗装路面のダメージが4輪車よりも少なく、これら総合的に考えても軽自動車と2輪車が同額なのは不思議に思ってしまいます。

NEXCO中日本は、このことについて

2輪自動車と軽自動車(2輪自動車を除く)では、車両の大きさ・重量・乗車可能人員にある程度の違いはありますが、どちらも走行に1車線を必要とし、法定の最高速度は100kmであるなど、(1)「原因者負担の考え方」(2)「占有者負担の考え方」(3)「受益者負担の考え方」の考え方を総合的に勘案すると、両者が高速道路を利用することによる負担の割合は、他の車両との比較上では同程度と考えられることから、同一の車種区分としております。
引用:NEXCO中日本

とされているのですが、負担の割合を天秤にかけたとしても、2輪車と軽自動車が釣り合うとは考えにくいと感じるのは筆者だけではないはず。

しかし、このように2輪車で長距離を移動するときは、どうしても割高感がつきまとってしまします。

最近では、『2輪高速料金半額化実行委員会』で、2輪車の高速道路料金適正化に向け、WEBサイト内で署名運動を開始。

自民党2輪車問題対策PT(プロジェクトチーム)の逢沢一郎衆議院議員は、バイクの通行料金を5/8にすべきと言及しています。

このことから、2輪車の高速料金については、徐々に見直される兆しがあるので、今後の動向に注目です。

まとめ

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高速道路の料金については、さまざまな見方がされていますが、ドライバーやライダーであれば負担を減らしてほしいと誰しもが思うはず。

仮に、東京五輪・パラリンピック開催期間だけ首都高の値上げをすることで、渋滞を緩和できるとしても、その分一般道が混むことは明確です。

政府や行政には、もっと国民の意見に耳を傾け、いかにも『お役所仕事』のような政策は避けていただきたいと思います。

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