暴走族と聞くと、何を思い浮かべますか?イメージは人により異なり、暴走族という定義も曖昧です。社会的にみれば走り屋やローリング族も暴走族と同じかもしれません。それぞれの違いとは、一体何なのでしょうか。
掲載日:2020/02/04
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すべてが暴走族扱い!?走り屋やローリング族は暴走族に入るのか?
クルマ好き、バイク好きがストリートで速さを競い合い、俗にいう『走り屋』からプロドライバーになったという人も少なくはありません。
しかし、その大半は交通違反となるため『暴走族』と呼ばれることも。
自らが暴走族ではないと自負していても、社会的に見れば走り屋も暴走族も似たり寄ったり。それぞれに違いはあるのでしょうか。
遭遇すると関わりたくない!暴走族
警視庁によると、バイクやクルマで騒音を伴う無謀運転を行う集団を”暴走族”と定義されています。
違反内容は、道路交通法第68(共同危険行為等の禁止)違反。
その他道路における自動車等の運転に関し、著しく道路における交通の危険を生じさせ周りに迷惑をかける行為となります。
具体的には、違法改造、消音器不備による騒音、ヘルメットの無着用、走行時の危険な蛇行、信号無視、警察車両に対して挑発的な行為などがあげられます。
ちなみに、何台も連らなって危険運転を行う暴走族は『共同危険型暴走族』と呼ばれます。
OBたちが集う旧車會
暴走族のグループ数は、ピーク時の2002年には1,313グループに達していましたが2018年には146グループ、人数ではピーク時の1982年で4万2,510人だったの対し、2018年では6,286人まで減少しています。
近年では、暴走族のピーク時に人気だったホンダCBX400Fやカワサキゼファーのような旧車愛好者が集う『旧車曾』が台頭しており、この旧車會には引退した元暴走族のメンバーらが所属する傾向にあるようです。
旧車曾は、暴走族とは一線を画しますが、暴走族同様に違法改造されたバイクに乗り、騒音に伴う走行を故意的にする、いわるゆ『コール』と呼ばれる行為を行うため、沿道住民等に騒音被害を及ぼしている実態から取り締まりの対象となるバイク集団です。
違法競走型暴走族とされる走り屋
https://www.youtube.com/watch?v=9ysqqu2gdXE
走り屋といわれる人々は、夜中や早朝など一般車が少ない時間帯に、峠道や埠頭で速さを競い合うドライバーやライダーを指します。
峠や埠頭で高速走行をする走り屋は、『ローリング族』とも呼ばれ、走り屋の一部にはクルマやバイクの速さを求めるために、車検不適合の改造をしていることもあります。
ライダーの走り屋たちは、膝擦りをしながらコーナーを猛スピードで駆け抜けたり、ドライバー達は高速走行だけでなくドリフトを行う『ドリフト族』、直線車線で2台並んで一斉にスタートし猛スピードで加速して速さを競い合う『ゼロヨン族』、高速道路を法定速度を遥かに超える速度域で走る『湾岸族』や『最高速族』、首都高速都心環状線を代表とされる高速道路の環状部分を高速で周回する『ルーレット族』などに分けられます。
多くの走り屋たちは「暴走族とは異なる」と主張しますが、警察庁は『違法競走型暴走族』として暴走族の一部と認識して取り締まりを行っているようです。
独特の価値観をもつ環状族
大阪の環状高速道をメインで走る『環状族』は、他の地域と異なり独特の価値観をもった暴走族です。
環状族とは大阪の阪神高速道路1号環状線をメインに一般車をすり抜けながら高速で走り回るルーレット族に限定して指す俗称です。
1970年代後半から活動し始めた走り屋で、1980年代中盤から終盤にかけて台数はピークに達し、毎晩100台以上のチューニングカーが阪神高速に押し寄せました。
走り屋なのか不良なのか悪質行為が目立った
環状族は料金所で料金の支払いをせずに突破し、警察車両に出くわしても構わず法定速度を遥かに超えるスピードで暴走。中には集団で蛇行運転をしてパトカーを挑発する行為も見受けられました。
ナンバープレートを折り曲げたり、ダミーのナンバーや盗んだナンバーを取り付けたりとかなり悪質改造を加えた車両を所有。
クルマで速さを競うだけでなく、ライバルチーム同士の暴力抗争が多発するなど、走り屋というより不良集団のケンカという印象でした。
事故多発でシビックの保険料高騰
環状族の特長は、ほとんどの車両がシビックであることです。
シビックでなくとも、CR-Xやインテグラといったホンダ系の車両を好む傾向にありました。
シビックが多い理由はいくつか説があり、車両価格が安価で手に入れやすくチーム内で独自のチューニングノウハウがあったこと、それが先輩から後輩へ受け継がれていったことが挙げられています。
そのため、環状族のなかでは今でもEF型やEG型といった古いシビックが走っています。
もう一つの理由として、近郊の三重県鈴鹿市にシビックの製造工場があり、関西系の走り屋はシビックなどホンダ系の車両に愛着があったからとされます。
鈴鹿サーキットでシビックのワンメイクレースが頻繁に行われていたので、一部の走り屋はレース用車両を持ち出して阪神高速を走っていました。
これほど多くの環状族がシビックで走っていたことから、当然、死亡事故も頻発しており、事故率の上昇によってシビックの保険料が高騰する事態にもなっています。
まとめ
走り屋と暴走族、それぞれ異なる意識を持っていたしても、社会的には共同危険型暴走族と違法競走型暴走族で分けられる暴走族に変わりはありません。
今は走り屋や暴走族の人数はかなり減り、違反に対する罰則も年々強化されています。
「オレは事故らないから」「オレはつかまらないから」という考えは厳禁!
それでも、カスタム文化が生まれる土壌になったことは事実であり、良くも悪くもカスタム文化を発展させてきた走り屋たちの功績は大きいものではあります。
『ストリートレーサー』『走り屋仕様』と言われれば聞こえは良く、真似したくなりますが、自らの愛車を合法の範囲内でカスタムするように心がけましょう。
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