2019年10月に車高調メーカー車高調メーカー『TEIN』が、純正形状ショックアブソーバ『 EnduraPro /EnduraPro PLUS』の戦略を発表しました。このショックは高品質かつ高い耐久性が特徴で、日本国内よりむしろ、まだ路面の舗装が追いついていないような新興国でのニーズに答えるべく開発された一本です。そんなTEINが考えるグローバルスタンダードな足回りを、Motorz編集部が体感してきました。
Text & Photo:Yusuke MAEDA
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世界の路面はまだまだ過酷である
2019年10月、『EnduraPro /EnduraPro PLUS』の発売に合わせて、神奈川県中郡の大磯ロングビーチでメディア向けの新製品発表会ならびに試乗会が行われ、Motorz編集部も参加してきました。
試乗の前に、まずは製品についての説明があり、かつてトヨタワークスからWRCへ参戦し、1995年のサファリラリーでは日本人初の優勝も果たした、同社代表取締役専務の藤本吉郎さんから、開発の経緯などが語られました。
世界の悪路をよく知る藤本専務は、新興国でのサスペンションに対するニーズに着目。
実際に調査を行ったインド・ロシア・モンゴルなどの国々では、タイヤとショックアブソーバーの交換タイミングが、ほぼ同じだという事実を教えてくれました。
(ちなみに日本ではタイヤ5本につき、ショックアブソーバー1本の交換頻度)
このような背景から、純正のサスペンションよりも2倍高い耐久性を目標にし、車高はそのままに悪路での乗り心地を改善したショックアブソーバーの開発に取り掛かったそうです。
続いて同社専務取締役の古林 泰さんから、同商品についての詳細が語られます。
これまでにTEINがラリーフィールドなどで鍛え上げてきた乗り心地や耐久度のノウハウを存分に活かし、純正と同等の形状にも関わらず、シェルケースの強度やオイル容量の大幅UPに成功。
加えて、TEIN自慢のハイドロ・バンプ・ストッパ(以下H.B.S.)も搭載されたことで、大きな入力に対しての乗り心地も確保しつつ、ダンパーへのダメージを軽減しています。
また、完成車メーカー供給の縛りが無いゆえの開発の自由度を挙
日本国内市場で40%、アジア市場でも20%を超えるシェアを誇るTEINの現行ラインナップは、国産スポーツカーやミニバン中心となっているのが現状。
しかし今後は、このEnduraPro / EnduraPro PLUSを筆頭に、SUVや欧州車、アジア専売モデルなどのラインナップも順次拡大予定で、2030年までに3000車種まで増やしていく方針とのことでした。
実際にワインディングで試乗!
間違いなく、TEINの今後の主要モデルとして期待される『EnduraPro / EnduraPro PLUS』。
ちなみにEnduraProは減衰調整機能が無いモデル、PLUSはEnduraProに16段階の減衰調整機能が可能な商品となっています。
今回の試乗会で用意されていたデモカーは、トヨタ86/ヴェルファイア/ヴォクシーの3台。
Motorz編集部は、ヴォクシーの乗り心地をテストさせて頂きました。
大磯ロングビーチの目の前に広がる、海沿いを心地よく走ることのできる西湘バイパス……には背を向け、なるべく荒れた路面を求めて峠道を駆け上がります。
そして、まさに今求めていたような、適度にアスファルトが剥けたツイスティなワインディングに差し掛かると、その真価を体感。
街乗り程度の速度域やギャップでは良くも悪くも純正ライクなフィーリングでしたが、コーナーで少し荷重をかけた際の姿勢は、いわゆる”社外感”そのもの。
また、大きなギャップを拾った際にも跳ね返りや突き上げを感じることがなかったのは、H.B.S.の恩恵としか言いようがありません。
なおかつ、リニアに路面のインフォメーションを伝えてくれる点も、純正以上の乗り心地に貢献しているなど、短い試乗時間の中でもその素性の良さに素直に関心させられたのでした。
まとめ
日本にも「安物買いの銭失い」という言葉があるように「少し高くても長く持続できる」という点にバリューを感じるユーザーは、海外にも多いと思います。
そんなユーザーをメインターゲットに開発された『EnduraPro / EnduraPro PLUS』。
TEINの視座が海外へと転換されたことは、TEIN製ショックアブソーバーの質の高さを知りつつも、ラインナップが無くて諦めていた輸入車オーナーにはぜひ知っておいてもらいたいポイントです。
もしかすると近い将来、TEINカラーにラッピングされたアウディやBMWのデモカーの姿を見ることが出来るのかも……と考えるとちょっとワクワクしませんか?
日本のイチ欧州車好きとしては、そんな日がやってくることを切に願います。
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