史上最強のライダーと呼び声が高いバレンティーノ・ロッシ選手。MotoGPでは4メーカー(アプリリア、ホンダ、ドゥカティ、ヤマハ)のマシンを乗りつぎ、4輪でもさまざまなマシンに乗ってきました。そんなバレンティーノ・ロッシ選手が乗ったマシンを2輪、4輪ともに紹介します。

© 2016 Dorna Sports SL.

バレンティーノ・ロッシ選手とは

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バレンティーノ・ロッシ選手は、ヤマハファクトリーレーシングからMotoGPに参戦するライダーで、なおかつMoto2とMoto3に出場する『Sky Racing Team by VR46』のチームオーナーでもあります。

イタリア出身で、1979年2月16日生まれの40歳。

WGP/MotoGPにおいて、これまで125ccクラス、250ccクラス、500ccクラス、MotoGPクラス全てでシリーズチャンピオンを獲得。

通算9度のシリーズタイトルを手にしています。

MotoGP&鈴鹿8耐

アプリリア・RS125

1996シーズン開幕戦マレーシアGP125ccクラスに出場したロッシ選手 / © 2016 Dorna Sports SL.

ロッシ選手は1996年に125ccクラスでデビューし、アプリリア RS125Rでシリーズ9位を獲得。

当時、125ccクラスはアプリリアRS125以外にホンダRS125R、ヤマハTZ125が出場していました。

アプリリアRS125は、フル参戦の27台中10台とホンダRS125Rの次に多いマシンであったため、レースは常にアプリリアVSホンダの構図で争われました。

当時は、日本人ライダーの坂田和人氏や上田昇氏がトップ争いを繰り広げており、ロッシ選手は日本人ライダーにライディングテクニックを聞きに行っていたそうです。

そして翌1997年シーズンは15戦中11戦で優勝し、圧倒的な速さでシリーズチャンピオンを獲得しました。

アプリリア・RSW250

1999シーズン第15戦ブラジルGP・シリーズチャンピオン獲得時の様子 / © 2016 Dorna Sports SL.

1998年と1999年は、アプリリアのワークスマシン RSW250で250ccクラスに参戦。

アプリリアユーザーの多くは市販モデル RSV250で出場していましたが、ロッシ選手はアプリリアワークスマシンであったため、マシン名の一部が”V”から”W”へかわったRSW250でした

当時、原田哲也氏やロリス・カピロッシ氏など、同じアプリリアのライダーがトップを席捲していましたが、ロッシは1998年に5勝し、いきなり250ccクラスでシリーズ2位を獲得。

翌年は、現在は全日本ロードレース選手権のTeam HRCの監督となった宇川徹氏とタイトル争いをくりひろげ、年間11勝を獲得。

シリーズタイトルを手にしました。

ホンダ・NSR500

2001年シーズン 日本GP 500ccクラスでNSR500に乗るロッシ選手 / © 2016 Dorna Sports SL.

2000年には最高峰の500ccクラスにステップアップし、ホンダ NSR500に乗ることになります。

所属チームである『ナストロ・アズール・ホンダ』は、レプソルホンダチームと同等のホンダワークス体制であり、5度の500ccチャンピオンを獲得したミック・ドゥーハン氏を担当したジェレミー・バージェス・チーフエンジニアがロッシのマシンを担当しました。

そしてロッシ選手は125cc、250ccともに参戦2年目でチャンピオンを獲得。

500ccクラスでも2年目の2001年にチャンピオンとなりました。

ホンダ・RCV211V

ホンダ・RC211V / ©2019 Honda Motor Europe Ltd.

2003年からロードレース世界選手権は、WGPからMotoGPへと名称を変更。

最高峰クラスも500ccクラスからMotoGPクラスへ変わりました。

そして、2スト500ccと4スト990ccのマシンが混走するMotoGPクラスにホンダが投入したのは、4スト990ccV型5気筒エンジンを搭載したRC211Vでした。

2ストから4ストに変わると、エンジン特性の違いにより初年度は、ライダーが乗りかえに苦労すると言われていましたが、ロッシはRC211V投入直後から乗りこなし、2002年、2003年とチャンピオンに輝いています。

ホンダ・VTR1000SPW

ホンダ・VTR1000SPW / © Honda Motor Co., Ltd.

ロッシ選手はMotoGPだけでなく、ホンダワークスチームから、2000年と2001年の鈴鹿8時間耐久レースにに出場しています。

当時のホンダワークスはVTR1000SPWで参戦。

ロッシ選手はコーリン・エドワーズ氏とペアを組み必勝体制で臨むも、2000年は転倒によりリタイア。

続く2001年は2000年と同じくエドワーズ選手と組み、優勝を勝ち取ります。

しかしレース前、ロッシ選手は2000年の8耐を散々な結果で終わらしてしまったことから、2001年の8耐は出たくないと言っていたそうです。

ヤマハ・YZR-M1

2005年モデル ヤマハ・YZR-M1 / © 2016 Dorna Sports SL.

2019年モデル ヤマハ・YZR-M1 / © 2016 Dorna Sports SL.

ホンダで4年戦った後、2004年にヤマハに移籍。

2004年・2005年もヤマハ YZR-M1でタイトルを獲得します。

そしてロッシ選手は500ccクラスとMotoGPクラスで5年連続チャンピオンを達成。

さらに2008年と2009年にもチャンピオンを獲得し、YZR-M1では5度のタイトルを獲得。

ロッシ選手にとって最も相性の良いMotoGPマシンでした。

ドゥカティ・デスモセディッチ

2011年モデル・ドゥカティ・デスモセディチ / © 2016 Dorna Sports SL.

2011年には、一旦ヤマハを離れてドゥカティに移籍し、デスモセディッチに乗ることになります。

ロッシ選手はマシン開発能力にも定評があり、ロッシ選手が移籍したことでデスモセディッチの戦闘力アップが期待されますが、ライバルとの性能差の溝を埋めることができず、在籍中に一度もレースに勝つことができませんでした。

そして、2013年に再びヤマハに戻り、現在もヤマハ ファクトリーチームからYZR-M1で参戦しています。

Formula 1

フェラーリ 248F1

©Ferrari N.V

ロッシ選手は幼いとき、バイクだけでなくカートにも乗っていたことから、レースキャリアの当初は4輪のレーサーになることが目標でした。

そんなロッシ選手はフェラーリのF1テストに参加し、フェラーリ248F1でミハエル・シューマッハ氏の0.7秒落ちのタイムを記録してF1界を驚かせます。

しかも、2004年から2010年の間にフェラーリのテストに何度も参加していたことが判明し、ロッシがF1に参戦すると噂されるようになります。

しかしロッシ選手は2010年のF1テスト参加を最後とし、F1の参戦はないことを表明しました。

F1界では惜しむ声が多く、業界内ではロッシがF1にきていたらF1でもタイトルを獲得できただろうとも語られています。

WRC

プジョー・206/スバル・インプレッサ WRC/フォード・フォーカスRS

プジョー・206 / © 2016 Dorna Sports SL.

スバル・インプレッサ WRC / Photo by Adrian M. H.

フォード・フォーカスRS / © 2016 Dorna Sports SL.

ロッシ選手はラリーに関心が強く、2002年にプジョー・206、2006年にスバル・インプレッサ、2008年にフォード・フォーカスRSでWRCにスポット参戦を果たします。

成績は2002年こそリタイヤで終わるものの、2006年の第15戦ニュージーランドで11位、2008年の第15戦ドイツでは12位を獲得しています。

フォード・フィエスタWRC

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ロッシ選手はイタリア・モンツァサーキットで開催されるモンツァ・ラリーショーに毎年出場し、昨年12月に4連覇を達成。

トータルで7度の優勝という偉業を成し遂げています。

そのときに乗っていたのが、フォード フィエスタのWRC仕様でした。

フォード フィエスタは、1.0~1.6リッターのエンジンを搭載したコンパクトカーで、2019年シーズンは第12戦終了時点でマニュファクチャラーズランキング4位につけています。

ナスカー

トヨタ・カムリ

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2013年、ロッシ選手はアメリカのシャーロット・モーター・スピードウェイで、ナスカーを初試乗しました。

カイル・ブッシュ選手がシリーズを通して乗っていたトヨタ・カムリをロッシ選手に貸し出し、ロッシ選手はナスカーマシンに乗って2,400mのオーバルトラックを疾走。

最高速は273km/hに達しました。

まとめ

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ロッシは、バイクだけでなく4輪でも活躍しており、特にモンツァ・ラリーでの7勝は歴代MotoGPライダーの中では異例中の異例。

バイクでもWGP時代からMotoGPにかけて4クラスでチャンピオン獲得しているのは、ロッシ選手だけです。

ロッシ選手が伝説と言われる理由は、バイクでの輝かしい成績だけでなく、4輪ドライバーとしてもなんでも乗りこなしてしまうドライビングセンスをもっているからなのです。

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