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長く125ccマシンで活動していた上田昇氏が記録したWGP125ccクラス通算160戦出場&1412ポイント獲得は、史上最多記録です。上田氏は、まさに125ccクラスのレジェンドライダーであり、ファスト・グレシーニやルーチョ・チェッキネロ、バレンティーノ・ロッシといった世界のトップライダーに大きな影響を与えてきました。

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レーサーからチームオーナーへ!125ccレジェンドライダー上田昇とは

出典:http://teamnobby.net/archives/staff/nobby-2
上田氏は、12年間WGP125ccクラスに参戦し、引退後はレース解説者や若手ライダーの指導、そしてレーシングチーム『チームノビー(Team NOBBY)』のオーナー兼監督として活動しています。
また、彼のWGP(ロードレース世界選手権)参戦のきっかけはワイルドカード枠で参戦した日本GPでの優勝であり、1991年から坂田和人氏、故・若井伸之氏と共に海を渡りました。
そしてWGP 125ccクラスでは2度のシリーズランキング2位を手にし、優勝回数13回、表彰台39回、PPポールポジション19回を獲得。
通算160戦出場&1,412ポイント獲得は史上最多記録となっています。
上田昇の生活のすべてはレースに注ぎ込んでいた

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上田氏がバイクレースに興味を持ち始めたのは、高校生の時。
時代はバイクブーム真っ只中で、上田氏はしげの秀一氏の著書であるバイク漫画『バリバリ伝説』を読んで夢中になり、高校2年生のときに鈴鹿サーキットに行きました。
そこでバイクレースを観戦して衝撃を受け、レースがしたいと熱望。
そこから上田氏の生活は常にバイクレースが中心となります。
そして、高校3年生になるとヤマハFZ400Rを購入して地元の峠でライディングテクニックの腕を磨き、卒業後は宮城県仙台市にある東北学院大学へ進学。
東北学院大学への進路を選択した理由は、SUGOサーキットが近くにあるということからだったそうです。
しかし、2年生のときに中退し、三重県鈴鹿市へ移住して125ccレーサーバイクのホンダRS125を新車で購入。
本格的にレース活動をスタートさせました。
その後1989年、21歳となった上田氏は、チームメンバーがほぼ全員ホンダ社員で構成された『バトルレーシング』に所属。
鈴鹿ノービスクラスでシリーズランキング3位を獲得します。
そして1990年、通常の流れからいくと国内A級へ昇格するところを上田氏は飛び級で国際A級に昇格。
全日本国際A級125ccクラスへ参戦し、シーズン1勝をあげてランキング7位となりました。
レース開始からわずか3年で衝撃のWGP優勝
#HoyHace 26 años en Suzuka debutaba en el Mundial, el simpático piloto japonés, Noboru Ueda… ¡Con victoria! (📸Gold&Goose) #MotoGP #125cc pic.twitter.com/vppsQUVNjv
— JESUS SANCHEZ SANTOS (@JesSanSan) 2017年3月24日
1991年、上田氏はWGP開幕戦日本GPにスポット参戦し、なんとポールトゥウィンを果たします。
そしてレース活動を開始してからわずか3年足らずで世界最高峰レースで優勝する快挙をなしとげた上田氏は、そのシーズンにそのままWGP 125ccクラスへのフル参戦を決意。
日本GP後、WGP参戦のために海を渡り、第2戦オーストラリアGPで3位、第3戦スペインGPで優勝するなど前年度チャンピオンのロリス・カピロッシを抑えてポイントランキングトップに!
チャンピオン候補の1人となりました。
しかし、その後優勝したレースはなく、優勝2回、3位2回を獲得しシーズンランキングは5位で終了。
これは、若井伸之氏、坂田和人氏、高田孝慈氏、畝本久氏、和田欣也氏といったフル参戦日本人ライダーのなかで最上位でした。
その後WGP2年目は強豪チーム『チーム・マールボロ・ピレリ』に移籍し、2度の125ccタイトルを獲得したイタリア人ライダー ファウスト・グレシーニとチームメイトになります。
そして上田氏はチームオーナーである兄が経営するホテルの一室を借りて、イタリアで一人暮らしを開始。
チーム内の会話や日常生活のすべてがイタリア語であったため、少しでも早くチームに溶け込もうとイタリア語を猛勉強。
誰もが目を見張る習得ぶりに、周囲から高い評価を得ていたそうです。
しかし、グレシーニは上田氏へのライバル心が強く、上田氏がグレシーニより上位でレースを終えれば、「俺のマシンはおかしい。テストをやらせてくれ!」と不満を漏らすことも。
そんなグレシーニは、現在MotoGP™moto3クラスに参戦する『グレシーニ・レーシング』のオーナーであり、同チームはかつて故・加藤大二郎氏がMotoGP™参戦時に所属していたチームでもありました。
ルーチョ・チェッキネロのチームLCRで共同経営者に

出典:http://teamnobby.net/archives/staff/nobby-2
1994年、上田氏はGiviレーシングに移籍してWGP125ccクラスに参戦。
チームメイトは上田氏よりも後にWGPフル参戦を開始したイタリア人ライダー ルーチョ・チェッキネロでした。
その後、チェッキネロは1996年からレーシングチーム『ルーチョ・チェッキネロ・レーシング(LCR)』を立ち上げ、ライダー兼オーナーとして活動。
後に上田氏はLCRに移籍し、1998~2001年までLCRのライダー兼共同経営者として活動するなどチェッキネロと共にチーム運営に携わりました。
そして上田氏はその後も125ccクラスに一貫して参戦し続けますが、転倒によるケガも多く、2002年シーズン第5戦イタリアGPで骨盤と首を骨折する重傷を負います。
第11戦ポルトガルGPから復帰を果たしますが、そのシーズンを最後に現役を引退し。
14年間のレース生活に終止符をうちました。
そして上田氏が去った後、LCRはMotoGPクラスに参戦できるまでに昇格。
2006年よりホンダからRC211Vの供給を受け、ケーシー・ストーナーをライダーに起用してMotoGPクラスにフル参戦を開始します。
そして2017年には、カル・クラッチローのライディングによりMotoGPクラス初優勝!!
今季からは日本人ライダー中上貴晶を起用するなど、現在も精力的に活動を続けています。
上田昇氏の主なレース成績

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ノービス・全日本ロードレース選手
シーズン | クラス | マシン | チーム | ランキング |
---|---|---|---|---|
1989年 | 鈴鹿ノービス125ccクラス | ホンダRS125 | バトルレーシング | 3位 |
1990年 | 全日本ロードレース選手権 国際A級125ccクラス |
ホンダRS125 | テクニカル・スポーツ(TSR) | 7位 |
WGP・MotoGP™
シーズン | クラス | マシン | チーム | ランキング |
---|---|---|---|---|
1991年 | 125cc | ホンダRS125 | テクニカル・スポーツ(TSR) | 5位 |
1992年 | 125cc | ホンダRS125 | マールボロ・チーム・ピレリ | 9位 |
1993年 | 125cc | ホンダRS125 | マールボロ・チーム・ピレリ | 5位 |
1994年 | 125cc | ホンダRS125 | Giviレーシング | 2位 |
1995年 | 125cc | ホンダRS125 | Giviレーシング | 12位 |
1996年 | 125cc | ホンダRS125 | ドクショップ・レーシング | 7位 |
1997年 | 125cc | ホンダRS125 | チーム・ピレリ | 2位 |
1998年 | 125cc | ホンダRS125 | GiviホンダLCR | 13位 |
1999年 | 125cc | ホンダRS125 | GiviホンダLCR | 5位 |
2000年 | 125cc | ホンダRS125 | GiviホンダLCR | 5位 |
2001年 | 125cc | TSR-ホンダ | FCC-TSR | 9位 |
2002年 | 125cc | ホンダRS125 | センプルッチ・アンガイア・レーシング | 23位 |
まとめ

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現在、上田氏はチームノビーのオーナーとして若手ライダー育成に取り組み、全日本ロードレース選手権参戦や世界耐久選手権に参戦する『チームフロンティア』の運営にも携わっています。
そして上田氏には現在もヨーロッパの知人や友人が多く、若手ライダーが日本からヨーロッパへ渡る架け橋になっており、チームノビーのライダーはCEV REPSOL選手権への参戦も果たしています。
そんな、ライダーからチームオーナー兼監督へと華麗な転身を果たした上田氏は、これからもバイクレースの最前線で活躍し続けてくれるはず!!
是非、注目してみてくださいね。
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