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マツダから、新型ボンゴ ローニイバンが登場。さらに、ボンゴバン/トラックの全面改良モデルを2020年9月に発売します。これらはトヨタとダイハツからのOEMモデルで、商用バンの絶対的王者であるハイエースのマツダ版がボンゴロー二イバン。なぜマツダは、商用車をOEMに頼るのでしょうか?
マツダ商用車が一新!ボンゴロー二イバン復活とボンゴバン全面改良

© Mazda Motor Corporation
マツダは2020年5月13日に、ボンゴロー二イバンを発売しました。
さらに、全面改良したボンゴバンとボンゴトラックの予約を同7月17日に開始し、9月11日に発売します。
ボンゴバン/ボンゴトラックは、マツダで開発・生産する訳ではなく、ダイハツからのOEM供給です。
これに伴い、マツダは自社での商用車生産から、完全撤退となりました。
マツダ・ボンゴロー二イバンとは

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ボンゴロー二イバンは、1983年から生産されている商用バンで、登場したときは貨物車のバンと10人乗りのワゴン、トラックが設定されました。
当時、マツダが自社生産していた小型商用バンの3代目ボンゴをベースにホイールベースを延長。ボンゴからデザインを意匠して、パワステなどの装備を充実させています。
そして2代目ボンゴブローニイバンが1999年6月に発売されてからは、三菱へOEM供給もおこなわれますが、2010年のマイナーチェンジに伴ってボンゴロー二イバンはラインナップから消滅。同時に、三菱へのOEMも終了となります。
その後、2019年にトヨタからハイエースのOEM供給をうけ、19年ぶりにボンゴブローニイが復活することとなりました。
マツダ・ボンゴバンとは

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ボンゴは、1966年に初代ボンゴバンが発売され、2020年7月までに3度のモデルチェンジを実施。4代モデルに至るまで、マツダが開発・生産をおこなってきました。
2019年に発表されたハイエースベースのボンゴブローニイバン発売以降も、マツダが生産する4代目ボンゴは作り続けられますが、2020年5月13日に生産を終了。
5代目モデルは、ダイハツ グランマックスのOEM供給を受け、ボンゴバンとトラックを発売。これに伴いマツダは商用車の自社開発から完全撤退しました。
ダイハツ・グランマックスとは
グランマックスは、ダイハツがインドネシアで生産する小型商用車です。
トヨタへもOEM供給がおこなわれており、『タウンエース』および『ライトエース』として販売されていましたが、2020年6月のマイナーチェンジと同時に、ダイハツからも国内への新車販売が開始されました。
さらにマツダへのOEM供給も発表され、9月11日から、5代目ダイハツ ボンゴとして発売されます。
ボンゴロー二イバンとハイエースはどこが違う?

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トヨタは2020年4月17日に、ハイエースの一部改良を発表し、5月1日から新型を販売しています。
改良内容は、車両後方のカメラ映像を映し出すデジタルインナーミラーや、車両を上からみたような映像を映し出すパノラミックモニター、アクセルペダルの踏み間違い時に衝突被害軽減に寄与する、インテリジェントクリアランスソナーがメーカーオプションに追加され、運転のしやすさと安全性能を向上しました。
メーターには、4.2インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを採用。
さらには、ドアミラーの大型化、ラジエターグリルデザインの変更、ハイマウント位置の変更が行われています。
ちなみに、今回の一部変更以降のモデルは一般的に、『6型』と呼ばれます。
グレード展開の違い
ボンゴブローニーバンも6型ハイエースをベースにしていますが、マツダとトヨタではグレード展開が異なります。
ハイエースはバンとワゴンが設定されますが、ボンゴロー二イバンは、モデル名通りバンのみの設定。
グレードは標準装備のDXとワンランク上の装備を充実させたGLの2グレードを設定。2WDは2.0リッターガソリンエンジン、4WDは2.8リッターディーゼルエンジンが搭載されています。
価格と装備の違い
グレード | ハイエース | ボンゴブローニイバン |
---|---|---|
DX 2WD 2.0G | 2,405,160円 | 2,421,360円 |
DX 4WD 2.8DT | 3,289,680円 | 3,387,960円 |
GL 2WD 2.0G | 2,507,760円 | 2,648,160円 |
GL 4WD 2.8DT | 3,393,360円 | 3,594,240円 |
2台はほぼ同価格ですが、装備内容が異なります。
ハイエースのディーゼルには、リアヒーターがオプションなのに対し、ボンゴブローニイバンは標準装備。
上級グレードのGLは、ボンゴブローニイバンでLEDヘッドライトとリアクーラーが標準装備なのに対し、ハイエースはオプション扱いです。
これにより、若干ボンゴブローニイバンの方が高額ですが、装備内容を考慮するとお買い得感があります。
なぜマツダはOEMに頼るのか

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マツダはブランドイメージの改革に乗り出しており、ラインナップするモデルをスカイアクティブテクノロジーと鼓動デザインに統一しています。
それと引き換えに、ビアンテ、プレマシー、MPVといったミニバンのラインナップを廃止。
車両開発の方向性とブランドイメージが、ミニバン同様に商用車に合っていません。
それでもOEMで商用車ラインナップを継続させるのは、これまでのユーザーを繋ぎ留めるため。
これはメーカーの販売台数確保というより、ディーラーの売上のためでもあるのです。
ボンゴブローニイバンユーザーが、買い替えのためにも、新車購入できるカタログモデルが必要。
マツダにとって商用車の需要は低くても、デミオやマツダ3(旧:アクセラ)などを営業車で使ってくれている企業が、そのままボンゴやファミリアバンを使えるようにと考えた上でのラインナップとなっているのです。
また、新車販売だけでなくディーラーにとってはメンテナンスや車検も重要な収益となるため、複数台を納車している大口顧客の企業を他メーカーに乗り換えさせないためにも、商用車の新車販売継続は重要事項。
一方で、マツダにとって商用車の開発・生産は莫大なコストがかかるだけでなく、小型商用バンやワゴンでは、トヨタや日産、トラックではいすゞや日野自動車に分があります。
そこで、コストをかけずにOEMで自社ブランドから商用車を販売することが重要となるのです。
まとめ

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4代目ボンゴが生産終了となっても、まだ街中で見かけることはあり、中古車市場では現在もそこそこ人気のあるモデルです。
マツダ製のバンが無くなることに寂しさは感じますが、マツダのエンブレムがついたボンゴブローニイバンやボンゴバンが販売されることは、マツダフリークにとっては嬉しい限り。
ユーザーを大切にするマツダの姿勢は、大いに評価できます。
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