レースの花形であるレーシングドライバーと同じくらいカッコいい、レースメカニック。自分もレースメカニックになりたい!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?かく言う筆者も、若かりし頃にはレースメカニックを目指していた一人です。そこで今回は、スーパーGTを戦うARTAのファクトリーにお邪魔し、レースメカニックの仕事をのぞき見!普段なかなか表舞台に出ることが無いメカニックさんたちの、貴重なお話をお届けします。
Photo : Takanori ARIMA Text : Shingo MASUDA

メンテナンスからピットの設営まで

ARTA 55号車を担当するのは、3人のメカニック。彼らの仕事はレース中のタイヤ交換をはじめとしたピット作業だけではなく、カッコいいピットを設営するのも大切な仕事です。

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毎レースごとに車をバラバラにしてメンテナンス

2020年最終戦を終え、フロントグリルが割れているARTA 55号車

遠目には美しく見えるマシンも、1戦を終えるごとに想像以上にダメージを受けているもの。

メカニックたちは1レースが終わるごとに車をバラバラに分解し、消耗品の交換や各パーツの調整などを行います。

そして1つのレースが終われば、また次のサーキットに移動し、ピットの設営からレース本番までをこなし、レースが終わればメンテナンスと、まさにシーズン中は、ほぼ休み無しの状態だそうです。

レースメカニックに必要なのは自分で考え行動すること

そんな大変そうな仕事でも、やはりサーキットで見るメカニックの皆さんはカッコ良く、レースメカニックになりたい!という問い合わせも、少なくはないそう。

そこで、GT500とGT300のメカニックたちを束ねるクルーチーフの池田さんに話を聞いてみたところ、自分で考え、行動できることがメカニックに欠かせない資質だと教えてくれました。
なんだかごく当たり前のことにも聞こえますが、車の整備は教科書に載っていない感覚的な技術や経験がとても大切となります。

指示を待つのではなく自ら考えて行動できなければ、厳しいレースの世界で生き残っていくことはできません。

ピカピカに磨かれた工具が眩しい!若きチーフメカニック

続いて話を聞かせてもらったのは、23歳という若さで55号車のチーフメカニックに抜擢された大木さん。入社3年目でチーフというのは、異例のスピードだそうです。
先輩である池田さんによれば、普段の大木さんは仕事に対してとにかく貪欲で真面目。その真面目さは、ピカピカに磨かれた工具にも現れていました。

大木さんはどんなに仕事を終えるのが遅くなっても、その日の最後には必ず工具を磨き、整頓してから帰るそうです。

その言葉を聞いて、「やはり仕事ができる人は違うな!」と、原稿を書いている机を見ながら反省する筆者なのでありました。
そんな大木さんの夢は、F1のメカニックになることだそうです。

もしかしたら、将来F1のピットで活躍する大木さんの姿を見ることができるかもしれません。

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