2002年よりイギリスでスタートしたMINI CHALLENGE(ミニチャレンジ)。2001年にBMW MINIとなってから、歴代のBMW MINIでイギリス各地を舞台にワンメイクレースが行われています。そして、2017年から日本でもMINI CHALLENGE Japan(ミニチャレンジジャパン)として産声をあげます。一体どんなレースなのでしょうか??
今回は英国で開催されているミニチャレンジについて紹介します。
MINI CHALLENGEとは
2002年よりイギリスのMSVR(Motor Sport Vision Racing:モータースポーツヴィジョンレーシング)主催で、MSA UK(Motor Sport Association UK:モータースポーツアソシエイションUK)管轄のもと、イギリス国内の各サーキットでBMW MINIオンリーのシリーズ戦が行われています。
MINIブランドがBMWにより製造販売された2001年の翌年から開催されているシリーズで、旧BMC時代から今もなおイギリスで愛されるミニでレースをすることから人気を博しています。
2016年は9ラウンド、英国のMINIフェスティバルやMINIレースデイとして開催され、後述に述べるJCW(ジョンクーパーワークス)クラスに限り、2017年からSRO(スパ24時間レース及びブランパンGT選手権のオーガナイザー)が主催しているブリティッシュGT選手権と共に8ラウンド開催されます。
BTCC(イギリスツーリングカー選手権)とは違い、英国のFF(フロントエンジン・フロントドライブ)ワンメイクレースの最高峰としてミニチャレンジが位置付くこととなります。
見どころ
MINIといえばその独特なフォルムが特徴で、個性的でありカワイイとも言える外観で日本でも人気がある車種です。
そんな「カワイイ」ミニでガチンコのレースをする、それがミニチャレンジなんです。
見た目が個性的なので、走りはどうなの??と思われがちですが、そこはBMW製ということで走りの性能は折り紙つきです。
またF56のJCWクラスは、F56カップカーの製造元であるトータルトラック社のボスが「カッコいいから」というだけの理由で、わざとアフターファイア(アクセルオフ時にマフラー出口から火が出る現象)が出やすくセッティング(アクセルオフ時にインジェクターカットのタイミングをわざと遅らせている)されており、昨今のレーシングカーとは相反した一面も持ち合わせています。
レースの流れ
レースは1レースウィークあたり2レースないしは3レース行われます。
予選は他のレースを同じように行われ、決勝のレース1は予選結果をそのままグリッド順にしたものでスタンディングスタート。
レース2はレース1の結果をもとに、4〜6の数字が書かれたくじを引き、出た数字の順位までをリバースグリッドとしてレース2を行います。この点は同じイギリスのBTCCと似ていますね。
くじ引きでリバースグリッドとすることで、レース1終了間際の順位操作などのトラブルを減らしています。
各決勝レースは20分間のスプリントで行われ、白熱したレースが展開されます。
クラス及び車両規定
JCWクラス(F56 JCW)
BMW MINIの現行型であるF56 JCWのみを使用したクラスです。
ベースとなるF56 JCWをイギリスのトータルトラック社がレース用の改造を行い、カップカーとして販売しています。
ミニチャレンジの中では最高峰のクラスに位置し、BTCCのように決められたパーツメーカーの部品しか使用できないことから車両性能差が少なく、毎回接戦が繰り広げられます。
ミニ(F56 JCW)車両スペック
エンジン:B48A20B型 2.0リッター直列4気筒DOHCターボ
エンジン出力:275Bhp
タービン:Owen Developments製
ECU:Cosworth製
ギアボックス:Quaife製6速シーケンシャルドグミッション
ダンパー:Nitron製全長調整式3wayダンパー
ブレーキ:Alcon製キャリパー&ローター
ブレーキパッド:Mintex製
エアロパーツ:MINIツーリングカー専用エアロ
タイヤ:DUNLOP製235/610R17 スリックタイヤ
車体重量:1,160kg(ドライバー含む)
Cooper Sクラス
BMW MINIの旧型であるR56 CooperSをベースしたクラスです。
1.6リッターターボエンジンを搭載しており、JCWクラスとCooperクラスの中間に位置するのがCooperSクラスとなっています。
JCWクラスと同じくパーツサプライヤーが限られており、F56型JCWが登場するまでのカップカーとして存在していました。
ミニ(R56 CooperS)車両スペック
エンジン:N18B16A 1.6リッター直列4気筒DOHCターボ
エンジン出力:220Bhp
ギアボックス:R56純正 Getrag製G253 6速トランスミッション
ダンパー:KW製全長調整式2wayダンパー
ブレーキ:Alcon製キャリパー&ローター
エアロパーツ:MINIツーリングカー専用エアロ
タイヤ:205/620R17 スリックタイヤ
車体重量:1,175kg(ドライバー含む)
Cooperクラス
初代BMW MINIとなるR50 Cooperをベースしたクラスです。
一部、R53 CooperS用のパーツ流用が認められているものの改造範囲はかなり狭く、社外LSDへの変更なども禁止され、エンジン出力も低いため常に接近戦が繰り広げられます。
ミニ(R50 Cooper)車両スペック
エンジン:W10B16A 1.6リッター直列4気筒SOHC自然吸気
エンジン出力:135Bhp
ギヤボックス:R53純正 Getrag製GS6-85BG 6速トランスミッション
ダンパー&スプリング:BILSTEIN製またはAST製全長調整式1wayダンパースプリングキット
エアロパーツ:リアウイングのみ
タイヤ:185/580R15 スリックタイヤ
車体重量:1,095kg(ドライバー含む)
Openクラス
ミニチャレンジ以外にもBMW MINIが参戦しているレースは多くあり、Scottish MINI Cooper Cup、Track Day Trophy MINIs、SUPER COOPER Cupなどのレースに参戦しているミニを対象とし、R50、R53、R56〜R59の車両が参戦することができます。
オープンクラスの中でもエンジン出力が、180BhpまでのOpen180クラス、155BhpまでのOpen155クラス、125BhpまでのOpen125クラスに分けられます。
参戦しているレースによって細かいレギュレーションが違うため、車体重量は1,000kgとなっており、80kgまでのバラストを積むことがあります。
Openクラスといえど、ミニが参戦する各レースの統一戦的な要素があり人気があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
モータースポーツ発祥の地、イギリスではイギリス生まれの国民的車でワンメイクレースが行われ人気を博しています。
日本も過去にはインテグラワンメイクレースやシビックインターシリーズがありFF車ワンメイクレースの活気がありましたが、2016年現在ではGR Netz Cup Vitzレースのみが全国的なワンメイクレースとして残っています。
2018年から、今回ご紹介したミニチャレンジがミニチャレンジジャパンとして日本で始まります。
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