モータースポーツと言えば一般的によくイメージされるのは「レース」でしょう。レースにも長時間走る耐久レースと短時間で決着のつくスプリントレースがありますが、それよりさらに短い「スプリント競技」と呼ばれるジャンルは、1台ずつの走行でタイムを競うタイムアタック競技でもあります。今回紹介するのはその中でもオフロードで行われる「ダートラ(ダートトライアル)」です。専用のタイムアタックマシンが次から次へと迫力の走りを見せる様は、ラリーのSSだけをギュッと濃縮したような熱い時間を味あわせてくれますよ!

出典:http://syu-sports.com/

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“ダートラ”ことダートトライアルとは

出典:http://cmscsugar.web.fc2.com/

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ダートトライアル、略して“ダートラ”。

未舗装路面を走るためボディ補強やサスペンションセッティングはラフロード向けのセッティングが行われつつも、「確実に悪路を走破する」のではなく、「不整地をいかに速く駆け抜けるか」を競うのがダートラです。

未舗装路面という意味では統一されているものの、その路面状況はコースによりマチマチ。

走ればクルマが荒れ狂い、飛び跳ねる状況といった文字通りの悪路もあれば、フカフカでタイヤを取られる路面、そして硬質ダート…。あるいはフラットダートと呼ばれる超高速ダートまで様々です。

基本的にはジムカーナ同様、1~2分程度の短時間を1台ずつ全開で走る競技でありますが、クルマの装備もドライバーに求められるテクニックも全く別。

轍に足を取られ、土手に乗り上げて派手に転倒クラッシュするような危険と常に隣り合わせ。競技会で全損するマシンが出ることも珍しくありません。

転倒もジムカーナやレースで起きる「横転」ではなく、「前転するくらいでないとダートラで転倒とは言わない」と言われる程の派手なクラッシュが起きる場合もあり、スプリント競技においてもっともハードなスポーツである事は間違い無いでしょう。

 

意外に新しいダートラの歴史

出典:http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Rally/

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ダートラの歴史は他のモータースポーツと比較しても、それほど古くはありません。

NRS(ニッサンラリーサービス)によれば、その歴史は1971年にさかのぼります。

ラリーはレースより古く1958年には日本アルペンラリーが開催されていたので、ダートラはそれより10年以上経って新たに登場したモータースポーツという事になります。

当時、速さの優劣よりタイムの正確性などで勝負がつきがちだった事から、スポーツ性に欠けているように思われていたラリー界で、単純に速さを競うSSだけを切り取った競技会を開いたら面白いのではないか?それがダートラの始まりです。

当然、その初期からラリー界の主力選手が集まっては、純粋にマシンのチューニングやドライビングテクニックで速さを競ったのです。

時代とともにラリーの開催条件が厳しくなる中、常設あるいは特設のクローズドコースで開催可能で競技時間は短く規模も小さく、マシンも比較的安価で済むダートラは、年々その開催地域を広げ、規模も拡大していきました。

 

ダートラ車と他の競技車との違いは何か?

出典:http://www.cusco.co.jp/

CUSCOスーパーD(出典:http://www.cusco.co.jp/)

走るステージの性格から、ダートラ車とラリー車には共通点が多いと思われがちですし、それはある程度は事実です。

ラリーと違ってナビゲーターは同乗せず、ラリコン(ラリーコンピューター)もありませんが、それ以外のセッティングやカスタムについては似た部分が多いと言えるでしょう。

だからこそ、激しいホイールスピンを伴うドリフト走行など、ラリーと同じように路面を掘り返しながら走らせます。

ドリフトもあまり角度をつけてはスピードが落ちますが、その気になれば超ロングストロークのサスペンションを目一杯に伸ばしながらド派手なドリフトをする事も可能です。

かつて無敵を誇ったキャロッセ・スーパーDが出場した最後のイベントなどはその代表例で、激しく狂おしく走るその姿は伝説になりました。

 

さぁ、ダートトライアルについての予習が完了したところで、次のページではクラス分けと参加車両をご紹介します。

意外なクルマが参戦しているのが、ダートラの面白い要素のひとつ!?