軽自動車は排気量やサイズ制限が厳格な事から、一番イコールコンディションを決めやすいジャンルでもあります。ターボなど過給機の有無さえ分けてしまえば、あとはチューニングやドライバー次第!エントリー費を出し合った仲間と1台のマシンで全力を尽くす軽自動車耐久には、小さなボディに大きな情熱と熱いドラマが詰まっています!今回は、そんな参加型レースである軽自動車耐久を6つご紹介いたします。
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マシンは小さくとも大きく熱い感動を!軽自動車耐久レース
ル・マンにせよニュブルクリンクにせよ、スプリントレースとはまた趣の異なる、長く熱いドラマが見る者を引き寄せる耐久レース。
コース上を走るドライバーやピット要員も大変ですが、見ている方は「交代で見ればいい」というわけにはいきませんから、ある意味見るのが一番大変なモータースポーツかもしれません。
軽自動車の耐久レースも各地で開催されていますが、メジャーなレースとは異なり「安く長く多くのドライバーが乗れる」という性格のイベントが多いのが特徴でしょうか。
中には「大の大人が本気で遊ぶとこうなる」という典型的なレースであるK4GPのように、マレーシアはセパンサーキットまで遠征し、24時間レースをやっちゃった例もあります。
あるいは360meetのように、あまりにも古く貴重なクルマでのレースなので、60分でも十分耐久!という例も。
しかしどの耐久レースでも共通なのは、「完走した時のやりきった感」
耐久レースだけに全部が完走できるわけではありませんし、安価ゆえに耐久性が普通車より優れているとはいえない軽自動車に、限られた予算でチューニングを行って走るのですからなおさらです。
ですから、無事にゴールを迎えた瞬間は優勝したマシンであろうと、長くピットインしてどうにかゴールまで持ち込んだ最下位のマシンであろうと暖かく笑顔で迎え、健闘を讃えられる。
その醍醐味は、海の向こうでメーカーや国の威信を賭けて戦うFIA-LMP1車両であろと、国内の軽自動車耐久車両であろうと変わりません。
EMZ K-CAR耐久レース(HSR九州)
ホンダのサーキットは鈴鹿やもてぎばかりじゃないんです!九州にもHSR九州あり!
というわけでHSR九州を舞台にした軽耐久も福岡のEMZ(エムズ)というショップの主催で行われています。
過給機のついたターボ車クラス(ホンダMTRECもこのクラス)は改造範囲でクラス分けされていますが、ユニークなのはNAクラス。
自己申告のラップタイムによるクラス分けがなされていて、それより速く走ると何と周回無効!というのが面白いですね。
公式HPはこちら:http://www.emzsports.com/page/kei3/kei3main.html
本庄軽one耐久(本庄サーキット)
NAの軽自動車で戦われる3時間耐久レースで、そうなるとMTREC搭載で軽量なホンダ トゥデイの圧倒的有利と思いきや、アルトやミラ、ヴィヴィオなども結構頑張っていたりします。
都心からも近い埼玉県本庄市での開催なので、首都圏の方が気軽に観戦するにはピッタリ!
レースによっては、ピット作業時にミニゲームも用意されているなど、ガチンコのバトルだけでない”楽しさ”もあることも特徴です!
公式HP(本庄サーキット)はこちら:http://www.klk.co.jp/
浅間軽耐久シリーズ(浅間サーキット)
こちらは珍しいオフロード耐久レース。
戦後日本のモータースポーツ勃興期に浅間火山レースなどが開催された浅間高原自動車テストコースをその原型とした浅間サーキットで開催されています。
イベントの性質上、中古で安価に入手できる軽自動車が多いのですが、フロントにラジエターをマウントしていると真っ先に壊れますから、リアに移設しているクルマが多いのがオフロード軽耐久の特徴ですね。
5時間も走っていると、最初は原型を保っていたマシンが見る間にボコボコに。
それでも走る様はなかなかの迫力です。
公式HPはこちら:http://n-mosco.com/asama/index.html
SLy 軽3時間耐久レース(スポーツランドやまなし)
とにかく安くみんなで楽しく!抜きつ抜かれつのレースのためにはスピードも遅い方が良いと、軽自動車で「最高速度100km/h以下で自動車レースがやりたい」をコンセプトにしているのがSLy軽3時間耐久。
ターボなど過給機つきマシンも参加可能な事を考えると「速すぎないかな?」と思ってしまいますが、ガソリン搭載量に制限がある上に1回のピットストップで給油できるのは4Lまで。
そうなると闇雲に速いだけのクルマではピットストップの回数が増えて不利になるという、なかなかうまく考えた規則です。
速いだけでは勝てないという、耐久レースの性格をうまく活かしていますね!
公式HP(スポーツランドやまなし)はこちら:http://www.sly-rc.com/
360meet(中山サーキット)
こちらは何と、たった60分の「耐久レース」。
ただし、出場するのは基本的に360cc時代の軽自動車で、一番チューニングが許されるクラスでも「ボディかエンジンは必ず360cc軽自動車のものを使う」という縛りがあります。
ですから、60分しか走らないというよりは「60分も走れるのか?!」と心配になる方もいるであろう、という意味でドキドキする60分かもしれません。
まだ2015年に始まったばかりのレースなので、ノーマルに近い車両や過去に旧車レースなどで見覚えのある車両が多いですが、中山では昔から軽自動車レースが盛んでしたし、フォーミュラのFJ360も含めて360cc時代のレーシングカーが増えると面白いですね。
公式HPはこちら:http://k660.net/360/
併せて読みたい:時代を超えて360ccの軽自動車が激走する、”360meet”というイベントを知っていますか?
K4GP(富士スピードウェイ)
Motorzでも何度か紹介しているご存知K4GP。
2013年までの数年はセパンサーキットでも24時間軽耐久をしていましたが、現在はF1も開催できる富士スピードウェイでの開催に回帰した形です。
終盤ターボ車の燃料が苦しくなると、ずっと全開でイケるNA車相手に長いストレートでスリップストリームを使いまくるのも見どころ。
公式HPはこちら:http://www2s.biglobe.ne.jp/~madhouse/k4gp.htm
併せて読みたい:往年の名車を軽自動車で再現?100台以上の軽自動車が集まる参加型耐久レース、K4GPを知っていますか?
軽自動車で作られた、ちょっと小さな名車たち。K4GPに出場するスゴいレプリカ10選!
軽自動車だって本気でカスタムすればカッコイイ!K4GPに見る、Kcarカスタムのススメ
まとめ
軽耐久は他にも北海道の十勝サーキットや、三重の鈴鹿ツインサーキット(F1も開催する鈴鹿サーキットとは別)、四国の阿讃サーキット、北陸のタカスサーキットなど、2016年現在は東北と沖縄以外の日本全国で開催されています。
その軽自動車耐久で見逃してはいけないところと言えば、やはり緊張感が最高潮になるスタートと、心地良い疲労感と共に幕を閉じるゴールでしょうか。
その間は何しろ長いイベントなので、ギャラリーするなら疲れてしまわぬように、適度にテンションを保つのも重要ですね。
レースの規則にもよりますが、中には軽自動車とは思えぬほどの爆音で駆け抜けるマシンがあるかと思えば、爆音のままNAの軽自動車に見合った速度で、なかなか目の前から去らない…という事もありますので、かえって耳栓が必要な事もあるかもしれません。
ただし、速度が遅めのマシンは撮影の練習には好都合なので、レース撮影初心者はまず軽自動車耐久で練習してみるのもいいかもしれませんよ!
また、アマチュアドライバーの耐久レースですから、ピット作業や給油でのドタバタも付き物。
筆者がK4GPに出走した時には、給油時にドライバーが「K4GPライセンス」を所持していないと、給油所にマシンを置いたまま走って取りにいかねばならないレギュレーションがあり、大騒ぎ。なんてことも。
そうしたプロのレースとは違った醍醐味がより深くたくさん味わえる軽自動車耐久レース、あなたも見に行ってみませんか?
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