第4回:ついにチャンピオンベルト登場!中嶋が対決を制する

Photo by Tomohiro Yoshita

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2013年3月3日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:中嶋悟

アニバーサリーデーで、2人の夢の対決は終止符を迎えたかに思われたが、そこから半年経った2013年のファン感謝デーで早くも再戦が決定した。

今回も同じF1対決だったがマシンが一部変更となり、中嶋はティレル019。星野は引き続きウィリアムズFW11に乗り込んだ。

さらに、今では恒例となっているチャンピオンベルトも、この回から登場。これをかけての対決となった。

2人とも気合いを入れてマシンに乗り込んだが、思わぬ“手違い”で決着がつくことに。

実は星野はフォーメーションラップをした後に、グリッドスタートで勝負開始と聞いていたらしいのだが、実際にはフォーメーションなしでそのままスタートし東コース3周というフォーマット。

1周回ってきて、グリッドにつくために減速してしまったのだ。

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その横を中嶋が全開で通過。慌てて星野も加速し直すが、その時点で大きなギャップができてしまい勝負あり。中嶋が第4回対決を制しチャンピオンベルトを手にした。

ところが、マシンを降りた星野は「冗談じゃないよ!」と大激怒。なかなか納得が言っていないようだったが、最後はリベンジを宣言し、早速翌年の再戦が決定した。

 

第5回Race1:現役マシンでガチンコ勝負!星野が勝利し雄叫びをあげる

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2014年3月1日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:星野一義

この年は2013年までフォーミュラ・ニッポン/スーパーフォーミュラで使用されたスウィフト社製のSF13が対決マシンとして採用。ほぼ現役マシンと、昔のものと比べるとコントロールしやすい点もあって、練習走行から2人ともアクセル全開で各コーナーを攻めていた。

さらにスーパーフォーミュラで導入されている「オーバーテイクシステム」も対決で採用。東コース3周のうちじゃんけんで勝った方が1回だけ使用できるというルール。1日目は星野がじゃんけんを勝利に権利を手に入れた。

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スタートから2台とも並んで1コーナーに飛び込んでいったが、ここは中嶋が先行。しかし2周目に入ると星野がオーバーテイクボタンに手をかけイン側から1コーナーでオーバーテイク。スタンドからは拍手と歓声が沸き起こった。中嶋も必死で追いすがったが、順位は変わらずそのままチェッカー。1日目は星野が勝利した。

前年のこともあってなのか、最大のライバルに同じマシンでの勝負で勝てたとあって、マシンの上に乗ってガッツポーズ。「やったー!!」と雄叫びをあげた。

 

第5回Race2:対決規模はナカジマレーシングvsチームインパルに…

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2014年3月1日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:中嶋悟

小雨がぱらつく中で迎えた2日目。まずはオーバーテイクシステム使用権をかけたじゃんけんが行われ、今度は中嶋が勝利。わずか1度のみの使用権を手に入れた。

ちなみにスーパーフォーミュラでは両者ともチーム監督を務めており、マシンはそれぞれ自チームで走っていたSF13。もちろんメカニックもナカジマレーシング、チームインパルのメンバーが担当していた。

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実は、この時は雨を気にして2台ともウエットタイヤをつけてグリッドに並んでいたのだが、路面がそこまで濡れていないことから、グリッド上で急遽スリックタイヤに変更した。

メカニックが慌ててピットへタイヤを取りに行く姿。ライバルの動向をチェックしてどのタイヤを選択するのかと伺うところは、まさにシリーズ戦と変わらない緊張感で、いつの間にか両チームも巻き込んだ壮大なライバル対決に発展していた。

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前日の勝利もあり、ポールポジションを手に入れていた星野が先行するが、中嶋はオーバーテイクボタンを使い2周目にオーバーテイク。星野も再逆転を狙い何度もインを伺うが、オーバーテイクには至らず、そのままの順位でチェッカー。通算成績でも中嶋が上回り、チャンピオンベルト防衛に成功。今度は中嶋がマシンの上に乗りガッツポーズをみせていた。

 

第6回Race1:星野が“新しい戦略”で勝利を掴む

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2015年3月7日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:星野一義

回を重ねるごとにヒートアップする2人の対決。その中でも最も激戦が繰り広げられ、多くのファンの印象に残っているのが2015年の対決だろう。

この年は、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)のマシンで、現在はSRS-Fで若手ドライバー育成のために使われているFC106を採用。ある意味、初めて現役で活躍するフォーミュラカーでの勝負となった。

1日目はあいにくのウエットコンディション。レース前の予想では雨に強いと言われる中嶋が有利かと思われた。

しかし、どうしても勝ちたい星野は“レッドシグナルが消える前にスタートする”という新しい戦略で、1周目の段階であっという間に大量リード。レースの主導権を握った。

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中嶋もなんとか追い上げたかったが2周目のダンロップでスピンを喫し、逆に差が広がることに。1日目は星野が勝利。チャンピオンベルト奪還へまず1歩目を歩みだした。

 

第6回Race2:ライバル対決史上に残るベストレース。星野が念願のベルト獲得!

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2015年3月7日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:星野一義

前日から一転し快晴となった鈴鹿サーキット。この日の星野は、チャンピオンベルト獲得に並々ならぬ思いがあった。

ベルトが導入された2013年からずっと中嶋が勝利し続け、今年こそはという思いが強かったのだろう。直前のトークショーでは「お願いだから勝たせて」と頼み込んでしまうほど。

所詮イベント、と言ってしまえばそれまでなのだが、2人とも勝負をしているし、純粋に勝ちたいんだなというのが感じられた。

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そして、ここまで7回12レース行われた対決の中でもベストレースと言われるバトルとなった。

スタートでは星野が2日連続で戦略を決めるが、それに対抗して中嶋もスタート。後れを取ることなく食らいつきチャンスを伺っていると、最終コーナーで星野がマシンの挙動を乱し失速。

これを好機と捉え中嶋はインに飛び込むが、星野はピットウォールに迫る勢いで幅寄せ。それでも引かなかった中嶋が1コーナーを制した。

しかし、この直後に挙動を乱しコースオフ。これで星野が再び先頭に立つ。最終ラップもテール・トゥ・ノーズのバトルになったが、最後までトップを守りきった星野が先にチェッカーを受け2連勝。念願のチャンピオンベルトを獲得した。

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お互い限界まで攻め合うガチンコ勝負で勝てたとあって、星野は嬉しさのあまりドーナッツターンまで披露。満面の笑みを見せていた。

一方の中嶋は幅寄せに関して怒り心頭で早速抗議する場面も。それでも最終的に自らベルトを手渡したと同時に「来年リベンジする」と宣言していた。

 

第7回Race1:“新たな刺客”関谷正徳が参戦

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2016年3月12日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:中嶋悟

記憶にも新しい今年3月のライバル対決。長らく「星野vs中嶋」の対決で親しまれてきたが、この年は同年代で活躍した関谷正徳も参戦。初の三つ巴バトルとなった。

また対決車両は、初めてSUPER GTのマシンが採用され。星野は2008年型の日産GT-R、中嶋は2013年型ホンダHSV-010、関谷も2013年型のSC430に乗り込んだ。

GTマシンということで、セーフティカー先導ののち、ローリングスタートでの3周バトルに。

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1日目の対決では、前年のリベンジとばかりに中嶋がスタートから逃げて行く展開。最終的に星野も関谷も寄せ付けず、勝利。チャンピオンベルト奪還に意欲を見せていた。

なお今回は三つ巴ということでポイントシステムが導入。1位に入った中嶋が3ポイント、2位の星野が1ポイント、3位の関谷は0ポイントとなり、ベルトの行方は翌日のRace2で決まることになった。

 

第7回Race2:3ワイドの大バトルを制した関谷が、初参戦でベルト獲得

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2016年3月13日:鈴鹿モータースポーツファン感謝デー

Winner:関谷正徳

この日もグランドスタンドは満員御礼。これをみた関谷は「こんなにたくさんのファンがきてくれて本当に嬉しい。だからね、今日は本気で行くよ!」と、2人のアツい対決と、それをスタンドから応援するファンの雰囲気を感じ、闘争心に火がついたようだった。

グリッドは前日の結果順だったたため関谷は3番手からスタート。序盤から果敢に攻めていき、2周目に入るところで3ワイドになり、スタンドも大歓声。前年の対決に匹敵するような盛り上がりとなった。

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レース中盤は星野がトップを快走していたが、2周目逆バンクで関谷が隙をついてトップ浮上。そのまま逃げ切り勝利を飾った。

結果、中嶋と関谷が3ポイントで並び、最終決着は“じゃんけん”に。これに勝った関谷が初参戦にしてチャンピオンベルトを勝ち取る結果になった。

 

第8回目はティレル019同士で勝負!

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そして迎える2017年。通算で8回目となる対決は再び星野vs中嶋の一騎打ちになり、マシンも往年のF1マシンが登場する。

次回使われるのは1990年に中嶋悟がF1で使用したティレル019。実は国内に2台保存されていたことが先日の鈴鹿サウンド・オブ・エンジンで明らかとなり、同じモデルのF1マシンでの勝負が実現することになったのだ。

鈴鹿サーキットでの集計によると、ここまで(不戦勝を含め)中嶋が5勝、星野が4勝となっている。

これまで実際のシリーズ戦に負けないくらいの名勝負を繰り広げてきた2人だが、今度はどんなドラマを見せてくれるのか、今から非常に楽しみだ。

 

まとめ

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最初は一つのイベント企画としてスタートしたのだが、ファンから大好評だったことと、何より2人とも負けたくないという思いが強く、気がつけば来年で対決6年目を迎えることになる。

もちろん、これはテレビ中継等があるわけではないので、レースの詳細は現地に観に行かないと肌で感じることができない。当日はぜひ、鈴鹿サーキットに足を運んでみてはいかがだろうか。