アメリカではパイクスピークが有名ですが、ヨーロッパのヒルクライムについては日本ではあまり知られていません。しかし、ヨーロッパでは昔から頻繁にローカルな大会が開催されるほど非常に人気が高い競技となっています。ラリー競技から派生したヒルクライムは、一般的にレース言えばイメージする、レーシングコースを周回するのではなく、山間部のいわゆる峠道を麓から山頂まで一気に駆け上がる競技です。映像を見てみるとその参加車両のハチャメチャさに驚かされる事間違いなし!フォーミュラカー、LMP、GT3マシン、大昔のワークスラリーカーなどとにかく何でもありなのです。今回はそんなハチャメチャなヨーロッパヒルクライムについてご紹介したいと思います!
日本のヒルクライム競技についてはこちら:一般公道でアクセル全開!?誰もが参加できる日本のヒルクライムについてまとめてみた!
FIA インターナショナル・ヒルクライム・カップ(IHCC)
4月にフランスで始まり、10月のドイツまで年間全12戦で争われるインターナショナル・ヒルクライム・カップ。
開催地ごとに猛者達が参加し、しのぎを削るハイレベルなシリーズです。
ヒルクライムは基本2ヒートで行われ、合計10km以上のステージで争われます。
また、明確なクラス分けも存在し、それぞれのクラスで熾烈なバトルが繰り広げられるのです。
カテゴリー1(市販車クラス)
カテゴリー1は主に市販車が主体となるクラスです。
市販車(2000cc以上)、ラリーカー(R1〜5規定)、ツーリングカー(グループA)、GTカーが出走できます。
大胆な改造などは必要ないため、もっとも気軽にローカルなドライバーが参戦できることがこのクラスの魅力で、昨年のチャンピオンマシンはランサーエボリューションⅨでした。
WRCで一時代を築いていた日本車がこういったヨーロッパのシリーズで今もチャンピオンを取っていることは、日本人として嬉しい事ではないでしょうか。
カテゴリー2(コンペティションカークラス)
カテゴリー2はレーシングカーが主体となるクラスです。
フォーミュラカー(3000cc以下)、2シーター市販プロトタイプ(3000cc以下)、2シーターレーシングカー(3000cc以下)、2シーター以上のフロントガラスが原形を留めている市販車(6500cc以下)が出走できます。
最も危険なクラスとなっていて、F3000やF3を改造したマシンにLMPカー、最新のGT3から一昔前のDTMマシン、もはや原形を留めていないチンクエチェントなど、とてつもなくエキサイティングな速さでバトルを展開します。
あまり路面も良いとは言えない峠道を、これらのマシンがテールスライドをさせながら全力で駆け抜けていく様子は、圧巻の一言です。
昨年のチャンピオンマシンはNORMA M20FC。驚愕のオンボード映像を御覧ください!
このマシン、実は2016年にパイクスピークで総合優勝したマシンとベースは同じ!さらにエンジンも同じくホンダ製を搭載しています。
車重は600kgほどで何馬力出ているかは定かではありませんが、相当なポテンシャルを持っているマシンのようです。
道幅も広くない一般道をここまで攻められるドライバーのスキルにも驚かされます。
カテゴリー3(オープンクラス)
市販車、市販ツーリングカー(4シーター以上)にそれぞれ6500ccまでのエンジンを載せて争うクラスです。
このクラスでは、大幅なパワーアップを施されたランサーエボリューションやインプレッサなど、かつてWRCを席巻した4シーターの日本車が活躍しています。
昨年の年間王者もランサーエボリューションⅨが獲得したようです。
こちらはエアインテークや大型のスポイラーなど相当な改造が施されているのがわかりますが、ベースマシンに選ばれるランエボはヨーロッパでも多くの人気を集めていることがよくわかります。
まだまだ気になるFIA公認のヒルクライム競技。
次のページでは、フォーミュラカーが峠を登るトンデモないイベントも登場しますよ!