梅雨入りが発表されたばかりの2017年6月11日(日)。栃木県芳賀郡にあるツインリンクもてぎで開催された、全日本ロードレース選手権Rd.4の決勝レース。予想以上の真夏日で、タイヤ選択や体力面で困難を極めたこの戦いは、どんな結末を迎えたのでしょうか。若手ライダー達の戦いに注目してみました。
CONTENTS
まずはJ-GP3クラス 決勝
天気は晴れ、気温は26.3度という比較的高めの夏を感じさせる中、ドライで行われたJ-GP3の決勝レース。
ホールショットを奪ったのは、ポールポジションスタートの♯7 古市右京(KTM RACING)。後には、♯64 安村武志(BATTLE FACTOR)、♯6 岡崎静夏(UQ & テルル・Kohara RT)と続きます。
オープニングラップから古市と安村の激しいトップ争いが繰り広げられ、順位を何度も入れ替えます。
2LAP目に突入すると、そのトップ争いに加わってきたのは♯2栗原佳佑(MORIWAKI CLUB)。5コーナーで一気にトップに浮上する勢いを見せました。
その後も、激しい上位争いが繰り広げられ、レース終盤には、現在ポイントリーダーの♯17小室 旭(Team P.MU 7C)、♯11 太田虎之進(WJ-FACTORY)、古市の3つ巴の戦いになるも、接戦を経て、優勝を手にしたのは古市!次いで小室、伊達という結果となりました。
Motorz注目の♯13長谷川聖 選手(CLUB Y’s)の決勝は?
前日の予選がうまくいかず、17番グリッドからのスタートとなってしまった長谷川でしたが、オープニングラップで一気に11位番手に浮上します。前を走るのはベテラン、♯41 宇井 陽一(41Planning)。
その勢いで一気に前に出ようとするも、ペースが上げられず、宇井との11番手争いに留まります。
その後、10LAP目に1度10番手にポジションを上げるも、序盤に無理をしすぎた事により、タイヤマネージメントにも失敗するなど多くの判断ミスが重なってしまい12位でチェッカーを受けました。
長谷川選手コメント
スタートはかなり上手く決まり、5台ぐらい抜けました。その時はトップ集団にの後ろの方に付けることができました。みんな意外にタイムが上がっていなかったので、自分の前を走っていた、ベテランの宇井選手に付いていけば、そのまま引っ張っていって貰えるかなと思っていたら、予想以上に宇井さんのペースが上がらなくて・・・。
だんだん前が離れていってしまって、それに焦ってしまって、そこで無理をしてしまって・・・。タイヤの温度も上がってしまい、ズルズルしながら後ろのグループまで落ちてしまいました。
最後も、前を走っているライダーを抜こうと、走りながら、抜く場所を探していましたが、最終ラップにそのライダーのペースが上がり抜けませんでした。
今考えると、最初に前のライダーに引っ張ってもらおうとするのではなく、もっと前に出る事に専念するべきだったなと後悔しています。
最初の位置取りをミスってしまいました。
次戦のオートポリスは、まだ走った事がないのですが、色んな人たちからの情報によると、僕の好きなサーキットだと思うので頑張りたいと思います。
続いてJ-GP2クラス 決勝
J-GP3に引き続き、真夏のような晴天の元行われたJ-GP2の決勝レース。前日の予選で唯一52秒台に入れ、ポールポジションスタートの#32 榎戸育寛(MOTO BUM HONDA)がスタートを決め、そのままホールショット獲得します。
続いて、♯5 石塚健(WILL-RAISEracingRS-ITOH)、#44 関口太郎(SOX Team TARO PLUSONE)と続きます。その後すぐに、2番グリッドスタートするも、4位に沈んでいた#4 生形秀之(エスパルスドリームレーシング)が一気に2番手にポジションを戻し、オープニングラップが終了します。
その後は、榎戸を先頭に、生形、石塚、関口がトップ争いを繰り広げます。
トップ集団内での順位の入れ替わりはあるものの、安定してレースをリードしていた榎戸が、このままトップを守り通すかと思われた5LAP目に転倒。
生形にトップを明け渡します。その後、7LAP目には3番手を走行していた関口が石塚を交し、2番手に浮上。3番手にポジションを落とした石塚も、関口に必死に食らいつくも、13LAP目に転倒。
その後のトップ集団に大きな変動は無く、生形、関口、♯634 水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO)の順でチェッカーを受ける結果となりました。
Motorz注目の♯39 柴田陸樹 選手(RS-ITOH&AUTOBOY)の決勝は?
前日の予選では、自身最高位となる7番グリッドを獲得した柴田。
スタート後には9位にポジションを落とすも、ホームコースへの意地を見せ、5LAP目には7位、7LAP目には6位と着実に順位を上げ、13LAPには4位に浮上。
そのまま全22LAPを走り切り、チェッカーを受けました。
柴田選手コメント
決勝では、スタートして前についていこうと冷静に走ってたのですが、3コーナーで1度ハイサイドで飛びそうになって、ポジションを少し落としてしましました。
そこからは、周回が長かったので、落ち着いて1台1台抜いていこうと思い、4台ぐらい抜いたのと、トップ集団での2台転倒もあり、最終的には4位で終える事ができました。
少しずつ成績が出てきたかな?と思うのですが、ここで留まることなく、表彰台まであと1歩だったので、次のオートポリスに向けて、甘えず頑張りたいと思います。
オートポリスは走った事がないので、これから動画を見て勉強します!!
チームメイトにオートポリスマイスターがいるので、色々と聞いて、少しでも結果を残せるように頑張ります。
Motorz注目の♯5 石塚健 選手(WILL-RAISEracingRS-ITOH)の決勝は?
レースWEEKでのテストでは、トップタイムをマークするなど好調な流れを見せていた石塚。
前日の予選ではフロントローである3番グリッドを獲得し、一時は2番手に浮上します。
その後、3番手走行中の13LAPに転倒。順位を大きく下げながらも、すぐにコースに復帰。
粘り強い走りを見せ、諦めることなく14位でチェッカーを受けました。
石塚選手コメント
決勝レース終了しました。結果的には13周目に転倒してしまって、再スタートを切れたのですが、14位でチェッカーを受けました。
スタートは決まって、トップ争いをしてたのですが、2台に抜かれ、その2台がついていけないぐらいペースが良かったので、無理をしてしまいました。
途中、どうしてもタイヤの摩耗が激しくて、少しでも無理をしてブレーキングで距離を詰めるしか方法がありませんでした。
レースの残り10周ちょっとだと思うのですが、後数LAPペースを維持してからプッシュしようと考えていた所、ヘアピンの侵入でフロントからスリップダウンしてしまいました。
後ろとのギャップもだいぶありましたし、もう少しペースを抑えて、3位キープで走れば、転倒もせず走れたのかな?とすごく勉強になったレースでした。
WEEKの金曜日からペースも良くて、上手く仕上がっていただけに、結果を残せなくて本当に残念ですが、この経験をきっちり次戦に生かして、今度はキッチリと表彰台、優勝目指して頑張りたいと思います。
最後はST600クラス 決勝
前日の予選とは、打って変わってドライコンディションで行われたST600の決勝レース。
ホールショットは2番グリッドスタートの♯ 84 長尾健吾(TEAM けんけん with BEE)に奪われるも、すぐにトップを取り戻したのはポールポジションスタートの#5 前田恵助 (伊藤レーシングチームGMDスズカ)。
その後、トップの順位が入れ替わることは無く、前田がレースをリード。
2番手に♯52 岡本裕生(51ガレージチームイワキ)、3番手#50国峰琢麿(T.Pro innovation)と順位を上げてきます。
それからも上位の順位に大きな変動は無く、そのままチェッカーを受けるかに見えた14LAP目に、4番手走行中の#70 清末尚樹(RS-ITOH)が国峰をパス!
前田、岡本、清末の順でチェッカーを受けました。
Motorz注目の♯70 清末尚樹 選手(RS-ITOH)の決勝は?
前日の予選では、突然の雨に翻弄され、18番グリッドからのスタートとなった清末。
オープニングラップを終えるころには11番手、3LAP目には9番手と着実にポジションを上げていきました。
その後も、あまり順位の入れ替わりが無かったトップ集団に向かい、冷静な走りで1台1台追い上げて、14LAP目には3位に浮上!
そのままチェッカーを受け、全日本初の表彰台を獲得しました。
清末選手コメント
スタートしてから、1周目で思ってた程上位に上がれませんでしたが、それでも3位以下があまりペースが上がっていなかったので自分が思っていたより早い段階で追いつけました。
ただ、上位に行ってからの残り5周ぐらいはかなり長かったです。
それでも、何とか表彰台に乗れたので、次のオートポリスも頑張ります!
Motorz注目の♯15 和田留佳 選手(RS-ITOH&サンタバイク)の決勝は?
前日の予選時の天候に油断してしまい、12番グリッドからのスタートとなった和田でしたが、オープニングラップで7番手まで一気に駆け上がります。
その後、9LAP目には4位までポジションを上げるも、後方から追い上げてきた、チームメイトの清末にパスされ、5番手に。
そのままチェッカーを受けました。
和田選手コメント
決勝は、スタートを失敗してしまいましたが、上手く外側からかぶせて順位をそこまで落とさずに行くことができました。
前の人の突っ込みが速く、そこで抜けない状況が何周か続いてしまい、そのせいでタイムが落ちてしまい後ろに追いつかれる形となってしましました。
それでも、去年はトップと2秒差、3秒差ぐらいあったとても苦手なコースだったのですが、この順位で終われた事はいい事なんじゃないかな?と思います。
自分としては、とても悔しく嫌なのですが、一応いい流れでも来ているし、この悔しさをバネに次戦のオートポリスは地元なので、こけないように頑張ります!
まとめ
自分自身やマシンの調子だけではなく、ぞの日の天候や気温、タイヤの選択やマネージメント。
挙げていくときりがない程のたくさんの要因が噛み合ってこそ勝つことができる。
そんなデリケートな状況の中、色々なものを背負って戦うロードレースの世界。
その中で、少しでも前に、コンマ1秒でも速くとチェッカーを目指すライダー達が、どんな想いで戦い、どんな結果となったのか。
経験が少ないからこそ、分からない事ばかりだからこそ、思い悩み、1つ1つ決断していく。
Motorzではこれからも、そんな若手ライダー達の熱い戦いに注目していきたいと思います。
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