1990年9月の発売から約15年間にわたり「世界に誇る日本のスポーツカー」として君臨したホンダ NSX。新世代NSXの発売が現実のものとなってきた今、日本のモータースポーツシーンを牽引してきた先代NSXの歴代GTマシンを一挙ご紹介します!
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まずは市販仕様のNSXをご紹介!あなたはリトラ派?それとも固定派?
ホンダの第2期F1参戦真っ只中である1990年に発売された初代NSX(NA1型)。
新たなフラッグシップモデルとして開発され、他では類を見ない軽量なアルミモノコックボディーが大きな反響を呼びました。
エンジンは、レジェンド用のV型6気筒エンジンを改良し当時の新技術VTECを投入した3リッターV型6気筒エンジンを搭載し、低くスパルタンなフォルム、そしてリトラクタブルヘッドライトの組み合わせはスポーツカーの象徴とも言える存在となりました。
1992年にはピュアスポーツモデル「NSX-R」が発売され、NSXのスパルタンなイメージは益々定着していき、
1997年のマイナーチェンジでは、エンジン排気量を3.2リッターに拡大。
2001年に固定型ヘッドライト仕様の最終型に進化し、通称「02R」とも呼ばれるNSX-Rが発売されました。
日本だけでなく欧米でも愛されたNSXは日米通算1万8,734台が生産され、2005年に生産が終了。
現在でも中古車が高値で取引され、特に「02R」は3000万円近い価格で取引されることも。。。
正真正銘、NSXは多くの自動車ファンから愛される名車なんです!
ル・マンに挑戦した勇敢なNSXたち
1995年 NSX GT1 (Turbo)
1995年のル・マン24時間耐久レースGT1クラス参戦車両。
縦置きマウントされた3リッターV型6気筒ツインターボエンジンは650馬力を発生し、大パワーとのバランスを取るため、高剛性なNSX-T(タルガトップ)をベースとして製作されました。
打倒マクラーレンF1 GTRを掲げましたが、初のNSXターボに懸念されていたトラブルが続発していしまい、勝負どころではない散々な結果に・・・。
他にも1台だけNA仕様のGT1マシンも存在しますが、こちらはスペック等の詳細な記録があまり残っていません。
また、残念ながらNSXは1年でGT1クラスから撤退してしまうことになりますが、記憶に残るレーシングNSXであることは間違いないでしょう。
1995年 NSX GT2
1994年に引き続きGT2クラスに参戦したNSX。
高橋国光・土屋圭市・飯田章(敬略)の3選手がドライブするチーム国光のNSXが、1995年のGT2クラス優勝を飾ったことでも有名です。
GT1クラス参戦車とは違って横置きマウントされた3リッターV型6気筒エンジンは390馬力以上を発生。
熱対策のためエンジン位置を50mm上方に移動してる点も特徴的です。
市販モデルの延長線として開発されたGT2仕様NSXは、市販車の実力を如実に物語る内容となっており、ル・マンで優勝した意義はたいへん大きいと言えるでしょう。
翌年からはGT2仕様を改良して全日本GT選手権へ参戦しました。
記憶に残る名バトルを連発!全日本GT選手権に参戦したNSX-GT
1997年 avex童夢無限NSX
1996年の苦戦を受け、1997年から全日本GT選手権用のNSX-GTを送り込んできたホンダ陣営。
エンジンを無限、車体を童夢が製作したワークス体制のavex童夢無限NSXは第2戦富士でデビューしました。
空力を徹底的に研究した車体に搭載されるのは3.5リッターにボアアップされたV型6気筒エンジン。
ライバルであるスカイラインGT-Rとスープラがターボエンジンであるのに対し、NSXは非力なNAエンジンです。
それをカバーするために空力マシンと化したNSXは、コーナリングを武器に第5戦MINEで初表彰台を獲得しました。
1998年 TAKATA童夢無限NSX
脇坂寿一選手と言えばトヨタ系ドライバーというイメージが強いですが、実は1998年にNSXでGT本格デビューを果たしています。
この年のNSXはエンジン搭載位置をより低く前方へ移動し、弱点とされていたミッションにもヒューランド社の対策品を投入。また、ドライバーの着座位置が30mm以上低められたことも大きな要因となってラップタイムも向上しました。
進化を遂げたNSX勢は第4戦での初優勝を皮切りに、後半戦で5連勝を飾る事となりました。
ちなみに、性能だけでなく整備性も向上したのが1998年です。
1997年仕様ではエンジン交換に18時間もかかっていましたが、1998年仕様では4時間に短縮されたそうです。
1999年 RABRIG NSX
高橋国光選手の引退年となった1999年、それを祝福するかのように第2戦富士で優勝したRAYBRIG NSX。
以前から懸念されていたフロントタイヤのグリップを改善するため、ワイドトレッド化されて戦闘力を更に増しました。
しかし、前年に5連勝の驚速ぶりを発揮したNSXはこの年から重すぎるハンデを背負う事となりますが、それにも関わらず2勝を挙げたのは素晴らしい活躍です。
この時代のNSXはまだ高い信頼性を得ることができず、「ガラスのミッション」なんて言われていましたね。
2000年 Castrol無限NSX
NSX初のシリーズチャンピオンをもたらしたCastrol無限NSX。
新たなステージへの進化を目指して開発された2000年のNSXは、エンジン下部を通っていたエキゾーストパイプの取り回しを大幅に変更し、エンジン脇を通すレイアウトとなりました。
これによってエンジン搭載位置は更に低くなり、戦闘力の向上に貢献。
エアロダイナミクスの改良も同時に行われたことで、空力性能は前年比20%も向上したと言われています。
ちなみにこの年はNSX勢が4勝を達成し、抜群の速さを見せつけました。
2004年 EPSON NSX(Turbo)
1997年のGT本格参戦からNAエンジンでの進化を続けたNSXですが、圧倒的に不利なレギュレーションや速くなるライバルに対抗する切り札として、ホンダはNSXのターボ化を決意します。
今までの3.5リッターV型6気筒ではなく、3リッターV型6気筒ツインターボを採用。
1995年のル・マンGT1クラス参戦以来となるターボNSXの登場は、当時のモータースポーツファンを驚かせました。
しかし、その期待とは裏腹に度重なるトラブルに泣き、エプソンNSXが挙げた1勝のみで公式戦を終える事となります。
その原因として、ターボ化による発熱量の増加や、補機類の増加に伴って前年まで研ぎ澄まされていたマシンのバランスが崩れてしまった事等が挙げられています。
またもや1年間程(2005年シーズン序盤まで)でお蔵入りとなってしまったターボNSX。
熟成すれば速くなっていたのか、そもそもターボとNSXの相性が良くないのか、はたして真相やいかに・・・。
2007年 ARTA NSX
全日本GT選手権からスーパーGTへと移行して3年目の2007年。
同じくベース車両をNSX R-GTへ変更してから3年目であるこの年は、熟成に熟成を重ねた新生NSX-GTが花開いた年となりました。
エンジンは2005年途中から3.5リッターV型6気筒NAに戻っています。
開幕戦鈴鹿の予選でARTA NSXが叩き出した1分49秒842というタイムは他を一切寄せ付けない驚異的なものであり、今なおモータースポーツファンを熱くさせるエピソードとなっています。
この年、ARTA NSXは3勝を挙げて見事チャンピオンの座に輝きました。
なおNSX勢としては5勝を記録し、最強最速のハコ車として君臨したのです!
2009年 NSXの引退
2009年導入の新規定に2010年からHSV-010で対応するため、ホンダは2009年シーズンでNSXの引退を決定します。
すでに新規定車両を投入しているライバルに対し2勝を挙げたARTA NSXがランキング2位を獲得する大健闘を見せ、まさに集大成と言える2009年シーズンでした。
誰もが「まだ戦える!」そう思った事でしょう。
しかしながらモータースポーツは毎年のように技術革新が巻き起こり、メーカーもそれに追従する必要があります。
そういった意味では「速いNSX」のまま引退する良いタイミングだったのではないでしょうか?
まとめ
1990年の発売から19年間(市販車の生産は2005年で終了)、世界中の自動車ファンを魅了し、日本のモータースポーツを牽引してきたNSXの歴史に一旦幕が下されたのが2009年。
それでもなお、その雄姿は私たちの記憶に深く刻まれ、先代NSXを知らない後世へと伝えていくべき財産となっていくのだと思います。
2014年に「NSX CONCEPT-GT」としてスーパーGTに復帰したNSXですが、はたして先代NSXのような切れ味鋭い速さを発揮することができるのでしょうか?
市販仕様のデビューも控えた2016年、新世代NSXが今後どんな活躍を見せてくれるのか楽しみですね!
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