タイヤや岩で作られたセクションや未舗装の林道、そして崖のような斜面など、越えれないものは何もないと言わんばかりにバイクでの走破に挑戦していくエンデューロ。その中でもより過酷な地形や人口の障害物が待ち構えるハードエンデューロイベントを、現在クロスカントリー競技で日本のトップを走るレーシングライダーの1人、”石戸谷 蓮”がプロデュース!CROSS MISSION Vol.3に行って来ました。
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ハードエンデューロってどんな競技?
困難なコースを走破することを主とし、モーターサイクルスポーツにおけるオフロードバイク競技の原点に立ち返った競技である。
ハードエンデューロは、日本国内唯一のHARD ENDUROのシリーズ戦を開催しているG-NET HARD ENDUROの全日本選手権競技規則が示す通り、過酷な地形や路面環境で開催される、クロスカントリー・エンデューロ・トライアル・モトクロスなどの要素を複合した競技で、様々なタイプのレースが存在します。
例えばスプリントレースとなる、Hell’s GateやThe Though One。
そして、世界一過酷なレースとして知られており、4日間をかけてオーストリアの鉱山跡地を攻め登っていくErbergrodeoなど、ライディング技術だけではなく勇気と精神力で、色々な厳しいセクションを走破していく競技です。
今回”CROSS MISSION”を主催した、石戸谷 蓮 選手に話を聞いてみました
ーーー まずは、石戸谷選手の今までの経歴を教えてください。
3歳からオフロードバイクに乗り始めて、そこから関東のモトクロス選手権を経て全日本モトクロスのIB(国際B級)クラスで1年間走りましたが、その後鍼灸の専門学校に進学した事をきっかけに、モトクロスからクロスカントリーに転向して現在に至ります。
クロスカントリーでは転向3年目にJNCCのAクラスでチャンピオンを獲り、その後AAという一番上のクラスに上がってAA2でチャンピオンを獲って、現在はAA1にシリーズ参戦していて、2017年のランキングは5位でした。
ーーー 普段はどんな仕事をしていますか?
普段は鍼灸師です。
ーーー では、このCROSS MISSIONというイベントは、どんなイベントですか?
このイベントは、オフロードバイク競技の中でも、速さよりも走破力を競うレースになります。
最初に開催した目的は、世界一過酷なハードエンデューロレースと言われている、エルツベルグロデオへの参戦資金を集める為でした。
そのエルツベルグロデオに出ようと思った時に資金調達という壁があったのですが、世の中結構ライダーとかスポーツ選手が資金集めをする時にクラウドファンディングとか、Tシャツとかキーホルダーとかのグッズ発売とか物販をやってたりするんですけど、個人的にそういう方法は好きじゃなくて・・・。
その方法って、資金を出してくれた人にリターンが無さすぎるから。
イベントを運営してみんなに楽しむ気持ちを提供して、それで資金を調達しようというスタンスでこれを作りました。
ーーー そのようなイベントに、どうしてハードエンデューロを選んだのですか?
同じエンデューロ競技の中でも、クロスカントリーやオンタイムエンデューロは、競技を開催するのに人員が必要なんです。
それだけじゃなくて、コースを作るのもすごく大変で・・・。コーステープを張ったり、杭を打ち込んだりってのがすごく大変で。
範囲もすごく広大になってきちゃうんで。
だから、自分の仕事をやりながらライダーとしての活動もしつつ、他にもスクールとかもやっているので、このイベントの準備の為に時間を多く裂くことができないので・・・。
そんな環境下でみんなが楽しめる競技と言えば、ハードエンデューロかな?と思って。
後は、今はスピードを競う競技をやってる人が多いんですけど、主要な参加者は30代~50代の男性で、その人たちがだんだん歳とともにスピードを追い求められなくなってくるんですよ。
ロードの人でも、だんだんトライアルにハマって行ったりするじゃないですか?その流れで今のオフロードの競技人口の何パーセントかが、こっちに移行してくることを見越して、これをやってます。
ーーー 今回挑戦されるエルツベルグロデオとは、どういうレースですか?
世界一過酷なオフロードバイクレースという謳い文句になっていて、完走者が毎年2%!
ハードエンデューロレースで、1500台走って20台ぐらいしか完走できないレースなんですよ。
ーーー ライダーとしての最終目標は?
長く乗り続ける事ですね。高いレベルで!
日本では、それをやり続ける事すら難しい環境なので・・・。
乗り続けていれば技量も上がるし、情熱を持ってトライしていけるので、その一環として目指したのが、今回のエルツベルグロデオです。
今より速く、強くなる為にも常に新しい事にチャレンジし続けないとだめなので。後は、話題作りですかね。
バイクが好きなので、ジャンルにこだわらず高いレベルでバイクに乗り続けていきたいです。
そんな石戸谷選手が主催するCROSS MISSIONに実際に参加してみました。(徒歩で)
CROSS MISSIONの1日のスケージュールはこんな感じ。
タイムスケジュール
受付 6:30~7:00
開会式&ブリーフィング 7:10~7:30
Xクラス整列 7:45~
Xクラス 8:00~9:45
XX・XXXクラス整列 9:45~
XX・XXX 10:00~11:45
昼休み 12:00~13:00 焼肉ペリカン 〜特製牛そぼろ丼〜 参加者全員対象
フレアラインヒル ロケットアタック!!! 13:15~14:15
表彰式 14:30~
各ライダーのスキルに応じてX・XX・XXXという3つのクラスが用意されていて、初級者向けのXクラス終了後、中級者向けのXXクラスと上級者向けのXXXクラスは混走でのスタートとなります。
Xクラス (初級)
まずは、一番下のXクラス。
山の中に張り巡らされたビニールテープと、所々に配置された矢印に沿って、様々な激しいセクションを走破していきます。
一番下のクラスという事で気軽な気持ちで見ていると、スタート直後に1つ目の関門が!
地面に縦に埋められた、大きなタイヤをバイクで越えるセクション。
これが初級クラスって事は、上位クラスだと何を越えさせられるのか・・・。
最初のこのセクションで、参加者が次々と勢いよくタイヤを登っていくものの、半分以上が越えられず転倒していきました。
そんな中、自力で復帰が難しいレベルの転倒をすると、「ナイスファイトー!」のかけ声と共に、オフィシャルの救助が入ります。
タイヤゾーンを超えても、リアを空転させながら道なき道を登っていくライダー達。
いたる所で転倒者が続出するも、何度転んでも立ち上がり1時間45分後のチェッカーを目指して走り続けるのです。
そんなXクラスは、参加台数10台中全員が1周を達成!そのうち、上位4名が3周の周回を遂げるという結果となりました。
XXクラス(中級)・XXXクラス(上級)
続いては、XXクラスとXXXクラスの混走レース。
初級なはずのXクラスに歩いて着いて行ってみたけど、かなりの激しさ。
という事は・・・それより上級クラスは、いったいどんなスゴイ道を走破して行くんだろう。
不安になりながらもスタート!
まずはXクラスと同じく縦に埋められたタイヤ越え。
さすが上級クラスというだけあって、かなりの成功率でしたが、そのまま山の中のコースに進んでいくのかと思いきや、新たなタイヤセクションが!!!
縦置きタイヤセクションを超えたら、横置きタイヤセクション。
ここでも果敢に挑戦していくも、パタパタと転倒していく参加者達。
何度失敗しても諦めることなくアタックする姿は、スゴイを超えて「この人たち・・・ちょっとバカなのかも・・・。」と笑ってしまうレベルだったり。
参加者全員が、心からバイクで遊ぶことを楽しんでいるのが伝わってきます。
そこからも、崖のような傾斜と道と呼べないような悪路にアタックし続け、チェッカーを目指す参加者達。
右を見ても左を見ても転倒しているバイクだらけという山の中を、助け合いながら少しでも先に進み、コースの走破を目指すのです。
そんな激しすぎるXクラスの参加台数は19台。そのうち1周できたのは5台のみで、上位2台が2周を達成!
XXXクラスに至っては、全4台中周回できたのは1台で、しかも2周達成という断トツの独走チェッカーという結果となりました。
フレアラインヒル ロケットアタック
激しいセクションが用意されたレースが終了した後は、フレアラインヒル ロケットアタックという競技がスタート。
こちらは、その距離・斜度・全開度のどれもが規格外の最高難度セクションのフレアラインヒルへのアタックだそうで、ルールは以下の通り。
ルール
1:誰が一番高いところまで登れるかというシンプルな戦い。マシンが止まった位置が到達点としてカウント。クリア者は全員表彰。
2:チャンスは一人2回。
3:参加者のクラス・マシンは一切問いません。レース参加者のみ挑戦可能。
4:スタート位置は公平性を保つために同じ位置でスタート。路面が荒れてきた場合は条件が大きく変わらないように微調整あり。
歩いて登るだけでも、土や砂に足を取られずり落ちていく。そんな険しい山の斜面を、砂埃を上げながら一気にバイクで登っていく競技。
マシンが止まった位置が到達点としてカウントというルールだけど、この傾斜を勢いよく登って行ったマシンが、坂の途中で止まって転ばない訳がない。
転んでは必死にバイクを立て直し、スタート地点からの再チャレンジを繰り返すという、私にはそのモチベーションが理解し難い謎の挑戦を行います。
そんな激しすぎるフレアラインヒルのロケットアタックを、唯一完全登頂したのはトライアルバイクで参加した1台のみ!
それでも参加者達は不屈の精神で、頂上を夢見て山を登り続けるのです。
まとめ
数あるバイク競技を見てきた中で、心からバイクを楽しんでいる人が多いと感じたハードエンデューロという競技。
そう見えたのは、このイベントの主催者である石戸谷選手の人柄と、楽しさを提供したいという想いに共感した人たちが集まっているからなのかもしれません。
大人になると難しくなる、「バカになる。」という事が、恥ずかしいどころかカッコ良くすら感じる。
そんな参加者達が集まった、素敵なイベント”CROSS MISSION”は来年も開催予定なので、是非参加してみてくださいね。
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