国産車メーカーと言えば全国各地にディーラーのある有名どころだけではありません。かつて少量生産スポーツカーを作っていた鈴商や、今でもユニークな特装車を販売している光岡自動車、3輪EVの日本エレクトライクなど数多くの自動車メーカーがあります。中でも小規模ながら独創的なEV(電気自動車)などで名高いのが富山のタケオカ自動車工芸で、同社がかつて唯一販売した軽EVがREVA(レバ)でした。

 

タケオカ自動車工芸 REVA i  / 出典:http://www.takeoka-m.co.jp/reva/reve.html

 

 

30年以上前、ミニカーブームの陰で躍進したタケオカ自動車工芸

 

タケオカ自動車工芸 REVA  / 出典:http://www.takeoka-m.co.jp/reva/reve.html

 

富山の自動車メーカー・有限会社タケオカ自動車工芸(以下、「タケオカ」)と言えば知る人ぞ知る、日本のマイナー自動車メーカーのひとつです。

元は看板製作会社でしたが、今から30年以上前、50ccミニカー(原付自動車)ブームの到来が同社の歴史を変えました。

得意のFRP成形を見込まれ、BUBU シャトルなどミニカー販売で名を上げた光岡自動車から新型車BUBU シャトル50の開発を委託された事をきっかけに、FRPボディを持つミニカーメーカーとしての道を歩み始めたのです。

ミニカー市場そのものは、1985年の道路交通法改正で運転に普通車免許が必要になったため(それまでは原付免許でも運転可能)急速にその短く熱いブームを終えますが、元々事業規模が小さかったタケオカでは地道に生産と改良を継続。

50ccエンジンのみならず鉛電池を使ったEV(電気自動車)ミニカーの開発も積極的に進め、小規模ゆえに手作業で生産する小回りの良さから、オーダーメイドで身体が不自由な人向けの短距離用ミニカーや、狭いトンネルの保守車両なども数多く手がけるようになります。

そして2000年代後半に三菱がi-MiEVを発売した時には「世界初の量産EV」と話題になりましたが、タケオカはそれ以前の2003年に軽自動車登録のEVを発売していました。

タケオカが開発、量産設備を持たない同社に代わりインドのベンチャー企業、Reva Electric Car Company(現在のマヒンドラ・エレクトリック)で委託生産、日本でも逆輸入販売されていたその軽EVがREVA(レバ)です。

 

タケオカ唯一の軽自動車、REVA(レバ)

 

タケオカ自動車工芸 REVA-CLASSIC  / 出典:http://www.takeoka-m.co.jp/reva/reve.html

 

REVAは2017年12月現在までにタケオカが開発・販売した唯一の軽自動車ですが、寸法的には同時期に登場した2人乗り軽自動車、スズキ ツインよりさらにひとまわり小さく、どちらかといえばミニカー規格に近い寸法となっています。

それでもREVAがミニカーではなく軽自動車登録だったのは、1人乗りしか許されないミニカーに対し、初期型や発展型REVA iで2人、REVA-CLASSICでは4人乗りとなっており、動力性能もミニカー枠を大きく超えていたからでした。

とはいえ4人乗車が可能と言ってもミニカーサイズなので大人2名、後席に子供2名がようやく乗れるという程度でしたが、それでも最高速度は初期型で65km/h、REVA-CLASSICで80km/hを発揮し、1充電での走行距離は80~85km程度(市街地走行Eモード)なので、後のi-MiEVやリーフほどでは無いにせよ、ごく短距離の利用を割り切れば十分な性能だったと言えます。

ただし、車両本体価格(いずれも税抜)が初期型で129万円、REVA-CLASSICで179万円と、サイズや性能を考えれば導入補助金を差し引いても普通の軽自動車を買うよりだいぶ高価でした。

その為リチウムイオンバッテリーではなく旧弊で重くかさばる鉛バッテリーを使い、インドで生産するなどコスト低減努力は図られたものの、「高価なEVは環境問題以外での導入理由に乏しい」という壁が、REVAにも立ちはだかったのです。

加えて、あくまで富山の零細企業であるタケオカには全国にくまなくサービス網を展開させる力も無く、試乗はよほど熱心な販売代理店でも無ければタケオカ本社に限られたのも致命的でした。

製造元のReva Electric Car Companyは2010年にインドの自動車メーカー、マヒンドラ&マヒンドラに買収されてマヒンドラ・エレクトリックと名を変え、今でも小型EVの生産を手掛けていますが、タケオカによるREVAの販売はいつしかひっそりと終了しています。

 

国交省の「超小型モビリティ」計画で再び脚光を浴びるREVA

 

タケオカ自動車工芸 REVA(初期型)  / 出典:http://www.takeoka-m.co.jp/reva/shousai.html

 

2012年に国土交通省から軽自動車と二輪車やミニカーとの中間にあたるシティコミューター「超小型車(超小型モビリティ)」規格を新たに設ける構想と、そのガイドラインが発表されました。

超小型モビリティの概要

サイズ:軽自動車規格内で、ミニカー規格に収まれば保安基準の一部が緩和

乗車定員:2名または1名+子供2名

動力性能:定格出力8kw以下の電動機など、または125cc以下の内燃機関

高速道路:走行不可

これに沿って、トヨタ(トヨタ車体) コムスEVやトヨタ i-ROAD、日産 ニューモビリティコンセプト(ルノー トゥイージー)が1名乗車のミニカー登録、あるいは2名乗車の超小型モビリティ実証実験用の限定軽自動車登録を受け、全国各地で実証実験が始まりました。

それは2017年12月現在でも続いており、長期に渡る実験にも関わらず法整備など進展が見られないことや、EV自体がまだ発展途上で航続距離や空調など快適装備まで求めると高価になるのがネックです。

それでもコムスは既にミニカー登録版が販売されており、日産 ニューモビリティコンセプトもルノー トゥイージーとして海外では既に販売されていることから、「とにかく早く規格策定すれば、新たな参入メーカーもあるのでは」との声が高まっています。

そこで思い出されたのがREVAで、よくよく見ると超小型モビリティとしての条件を満たす性能を持った軽自動車がとっくの昔に販売されていたことから、「REVAでいいじゃないか」という声まで出てきました。

考えてみれば、ユーザーの要望を全て満たすような高級モデルは「富裕層向け都市型コミューター」あるいはカーシェアリング用と考え、それとは別にREVAのような割り切った普及モデルがあってもいいのではないでしょうか。

 

タケオカ REVA 代表的なスペック

 

タケオカ自動車工芸 REVA  / 出典:http://www.takeoka-m.co.jp/reva/reve.html

 

タケオカ REVA(初期型) 2003年式

全長×全幅×全高(mm):2,630×1,320×1,500

車両重量(kg):790

電動機仕様・型式:直流電動機(DCブラシレスモーター)

最高速度:65km/h

登坂能力:18度

1充電走行距離:80km

満充電時間:12時間(100V)・5時間(200V)

バッテリー:鉛蓄電池48V

乗車定員:2名

中古車相場:流通無し

 

まとめ

 

ニッチな用途に柔軟に対応し、日本国内は元より海外からもその開発能力の高さに定評があると言われている富山のミニカーメーカー、タケオカ自動車工芸。

大抵の自動車メーカーから見れば「零細企業」と言ってもよい規模ながら、i-MiEV以前に量産軽EVを実現していました。

企業としてあまりにも小規模、さらにEV自体がまだモノになるかどうかという時代の産物だったので大きく脚光を浴びることは無く、現在のように超小型モビリティという受け皿も無かったので販売台数もつつましいものだったので存在自体を知らない人も多いかもしれません。

それでも、超小型モビリティ構想以前に「小さいながらも子供も入れれば4名乗車も可能」という軽登録EVを実現していたのは、単なる偶然かもしれませんが超小型モビリティの先駆者だったと言えるでしょう。

現在の視点で見ればEVとしてもっと注文をつけたくなる部分はあるものの、今でも通用しそうなデザインは古さを感じさせず、再評価されているのも当然かもしれません。

 

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