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屋根もドアもない!ホンダが生み出した挑戦的な軽トラック、バモスホンダとは

世の中には「名車」と呼ばれるたり、「珍車」と呼ばれたり、あるいはその紙一重、どれにも当てはまらないけども優れた実用車など様々にあります。中には名車の素質がありながら、時代がその存在を許さなかった「珍車」もあり…バモスホンダなどは、その1台ではないでしょうか。

 

出典:http://www.honda.co.jp/usersvoice/list/vamos/2016/000003.list.all.109.date.html

 

 

えっ軽トラなのにフル幌でドアすら無い?!

 

出典:http://www.honda.co.jp/SEEVERT/gallery/12_t360/

 

ホンダTN360バモスホンダが生まれたのは1970年。

自動車では日本車のみならず世界的にも珍しい「車名にメーカー名が、それも末尾に含まれる車」でした。

型式を見ればわかるように、当時のホンダが作っていた軽トラTN360、つまりホンダ四輪車初期のT360や後のアクティの前身となる車です。

DOHCエンジンをフロントシートに配したT360とは異なり、TN360は後のアクティに先んじて、N360用のエンジンを荷室床下へ搭載するアンダーフロアミッドシップレイアウトを既に採用しており、現在のホンダ軽トラの原点と言えました。

そのため運転席の着座位置が低く、荷室もフラットなTN360の特徴はそのまま受け継がれていましたが、バモスホンダにはそんなホンダ軽トラ最大の特徴が霞むほど奇抜な車でした。

まずドアがありません。

そして、屋根もないのです。

屋根の無い軽トラと言えば今でも果樹園に行けば収穫用に屋根を切断した軽トラがゴロゴロしていますが、そもそもバモスホンダには最初からありませんでした。

ドアはガードパイプを渡して転落防止用としていますが、それのみ。

フロントウィンドウはあったものの、それ以外は荷台も含めて全てが「オープンか幌か」だったのです。

 

ユーモラスなフロントマスクも含め、意外に実用一点張り

 

出典:http://www.honda.co.jp/usersvoice/list/vamos/2016/000003.list.all.109.date.html

 

バモスホンダは、そのユーモラスなフロントマスクも特徴的でした。

フロントパネル自体はフロントウィンドウつき一枚板を少し後ろに傾斜して立ててあるだけの素っ気も無いものでした。

そして、丸目2灯ヘッドライトのしたに配されたウィンカーが、愛嬌のある目元を演出しています。

さらに、当時アメリカで流行っていたフロントパネル正面のスペアタイヤは、「衝撃吸収」という名目の大きなダンゴ鼻を思わせるユーモラスさで、なんともわかりやすいフロントマスクでした。

バンパーに配された小型のガード(フォグランプが配される時もある)も含め、とても1970年デビューの自動車とは思えず、後年のRV(クロカン車)ブームに登場したらさぞかし数々のカスタマイズパーツが発売されたであろう事が想像できます。

しかし、同種のレジャー用軽自動車、サンドバギーのフェローバギィが2人乗りだったのを考えれば、4名乗車仕様(バモス4)が設定されていたバモスホンダの実用性ははるかに高く、2名乗車仕様(バモス2)の積載性も軽トラに劣りませんでした。

要はルックス以外軽トラとして高い能力を持つ上に、フル幌ですから耐候性を求めるなら幌で対応、作業性を求めるならフルオープンとすれば、非常に高い実用性もあったのです。

しかし、いかんせんユーモラスかつ大胆すぎたバモスホンダは実用車としてはユーザーにソッポを向かれ、レジャー用途としては需要のある時代ではなく、乗用車としては幌での快適性は完全なクローズドボディに及ばず、「中途半端な不人気車」となりました。

特撮ヒーロー物でもジャンボーグAやウルトラマンタロウに出演しましたが、かなり外観を変えられて、ベースが分からないほどでした。

 

同種の車はどうだったか

 

Photo by JOHN LLOYD

 

このようなフル幌でフロントウィンドウしか無いような車は、日本では三菱で生産していたジープ、前述のダイハツ フェローバギィ、輸入車のミニ・モークなどいくつかの例があります。

しかし軍用車上がりの機能美を有するジープや、あまりに奇抜過ぎる上に、サンドバギーで走るレジャーという時代も風景も日本にそぐわず、限定100台をこうげんするも、実際にはその何割かしか作られていないフェローバギィは、明確にレジャー向けでした。

対するバモスホンダは「レジャー用途にも目を向けた軽トラ」というべき車で、実用性を奇抜なスタイルがかえってスポイルしてしまった面もあります。

もしかすると、当時の日本であればTN360をそのままジープ風にした方がウケたのかもしれません。

 

現在も実働中のバモスホンダ

 

出典:http://www.honda.co.jp/usersvoice/list/vamos/2016/000003.list.all.109.date.html

 

しかしその実用性に着目し、便利さに気づいた農家を中心に少ないながらも長く愛用されたのも事実で、肥料を後部に満載したバモスホンダなどは、時折農業地帯で見かけることができます。

360cc時代の車で、現在の軽トラより使い勝手が良いところも美徳だったのかもしれません。

ルーフの無いオープンスタイルから果樹園の収穫用に適していそうですが、ルーフをカットしたもう少し新しい550cc時代以降の軽自動車が多用されていることから、バモスホンダを加工するまでも無かったかもしれません。

 

超小型モビリティの原型としても面白いかも?

 

出典:https://www.yamaha-motor.co.jp/golfcar/landcar/activity/pinepark.html

 

バモスホンダそのものは、不人気車ながらも生産は続き、1973年にホンダが社運をかけた初代シビックへ注力するためにTN360を除く自動車生産を一斉廃止したタイミングで廃盤となりました。

しかし、現在の国土交通省が推進しているシティコミューター「超小型コミュニティ」で自称実験に供されているミニカーや実験用に特認された軽自動車の中には、ルーフやボディパネルはともかくドアが無い、またはビニール幌製のものもあります。

また、電磁誘導で自動運転の超小型コミュニティバスとして実験されているヤマハの電動ゴルフカートを見ると、「少し乗車人数が多い乗用のバモスホンダ」という雰囲気があります。

案外、こうしたジャンルでバモスホンダをリメイクしてみたら、ちょっとした観光名物になるかもしれません。

 

まとめ

 

もしもバモスホンダが、1970年代ではなく1980年代前半以降のRVブームの時期にデビューしていたら?

何しろ不人気車でその頃には既に現存台数が少なくなっていたので、他の旧車以上に見かけなかったのが実情です。

しかし4WDの設定が無かったことを除けば、海岸沿いのサーファーから山道のアウトドアシーンまで大いに役立つイメージが明確に広がります。

惜しむらくは、その頃のホンダはシビックに続く乗用車の拡販で手一杯。

むしろヒット作をなかなか生み出せず試行錯誤していた時期だったので、TNシリーズ / アクティ以外の軽自動車から撤退していました。

衝突安全性の観点から、昔のように軽商用車として売り出すのは無理だとしても、EV化+電磁誘導の自動運転化でバモスホンダ復刻版のシティコミューターがあれば、老若男女問わず今なら人気が出るのではないでしょうか。

かつては「何に使うにも何かで困る中途半端な珍車」でしたが、名車としてリバイバルするチャンスは、まだまだあると思います!

 

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Writer Introduction
兵藤 忠彦

ダイハツ党で、かつてはジムカーナドライバーとしてダイハツチャレンジカップを中心に、全日本ジムカーナにもスポット参戦で出場。 現在はサザンサーキット(宮城県柴田郡村田町)を拠点に、主にオーガナイザー(主催者)側の立場からモータースポーツに関わっています。http://dctm.info/

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