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小型ボンネットトラックはかつて日本でも業務用での需要が多く、後には北米でも日本でいう軽トラのような扱いで人気が出たので、国産車メーカーが競って参入した分野でもありました。いすゞも当初ベレットのフロントマスクを持つワスプを販売した後、後継車としてフローリアン顔の初代ファスターを発売。GMとの提携直後だったので北米ではシボレーLUVとしても販売されました。

シボレーLUV(初代ファスターのGM版) / Photo by RL GNZLZ
GMでも販売された小型1t積みボンネットトラック、初代ファスター誕生

初代いすゞ ファスター / 出典:http://www.en.japanclassic.ru/booklets/3-isuzu-faster-1953–kb.html
現在、乗用車と呼べるような車はピックアップトラックおよびそれをベースとしたSUVのみ生産・販売しているいすゞ自動車ですが、小型ボンネットトラック分野へは意外と後発で、1963年6月に小型乗用車ベレットと同時デビューしたワスプが初。
既にライバル他社は通称『ダットラ』こと日産のダットサン トラックを市場のリーダーとして1~1.25t積みの小型ボンネットトラックを販売しており、各社とも戦後すぐから生産していたやや大型で、1.5~2tクラスのボンネットトラックより小さく軽快な事を売りにしていました。
そんな中、遅ればせながら参入したいすゞ ワスプは市場でのシェアが今ひとつのマイナーな存在でしたが、1972年に後継の初代『ファスター』へとバトンタッチ。
GMとの提携企画第1号に選ばれ、国内では相変わらずマイナーな存在ではあったものの、GM版シボレーLUV(Light Utility Vehicle:ラブ)はなかなか好評だったようです。
また、当時いすゞの藤沢工場周辺ではテールに『Chevrolet』の浮き出し文字が勇ましいLUVが仮ナンバーで走り回っていたとも言われており、身近にアメリカの風を感じられる小型ボンネットトラックとして、LUVは国内でも話題になりました。
純粋な時代の中期フローリアン顔で販売されていた初代ファスター

初代いすゞ ファスター / 出典:http://www.en.japanclassic.ru/booklets/3-isuzu-faster-1953–kb.html
初代ファスターの構成は基本的に先代にあたるワスプと同様の手法が用いられ、ラダーフレームやサスペンションなど構造は頑強なトラック用とされ、フロントのデザインやエンジンは当時の小型乗用車フローリアンと同様でした。
それゆえ1960年代まで多数が存在した乗用車ベースのピックアップトラックと同じような車と考えられ、当時は『フローリアントラック』と覚えてしまった人もいたようですが、あくまで中身はフローリアンとは別物。
当時の資料が乏しいので外観や装備、グレードの変貌などに不明な点が多いのですが、基本は中期型フローリアン(1970~1977)と同様のフロントマスクに丸目4灯ヘッドライト、後にシボレーLUVともども丸目2灯のファスターオリジナルデザインだったようです。
その後1977年に後期型となったフローリアンはフロントマスクが好みのわかれるデザインへ大きく変わりますが、初代ファスターは最後まで中期型フローリアンの特徴を強く残した、スマートなアメリカンピックアップスタイルでした。
なお、荷台長に応じてショートホイールベース版の型式『KB20』とロングホイールベース版『KB25』が存在し、ガソリンエンジンはG161(1.6リッターOHV)かG181(1.8リッターOHV)、ディーゼルエンジンはC190(2リッターOHV)がラインナップされてます。
また、北米でGM版がシボレーLUVだったのは先に書いた通りですが、いすゞ版も『いすゞKB』としてオーストラリアで販売されており、さらにヨーロッパでもGMの欧州向け商用車ブランドから『ベドフォードKB』の名でも販売されました。
主なスペックと中古車相場

初代いすゞ ファスター / 出典:http://www.en.japanclassic.ru/booklets/3-isuzu-faster-1953–kb.html
※(お詫び)資料不足によりスペック不鮮明です。
いすゞ KB20 ファスター 1972年式
全長×全幅×全高(mm):4,405×1,600×-
ホイールベース(mm):2,600
車両重量(kg):-
エンジン仕様・型式:G161 水冷直列4気筒OHV8バルブ
総排気量(cc):1,584
最高出力:-kw(-ps)/-rpm
最大トルク:-N・m(-kgm)/-rpm
トランスミッション:4MT
駆動方式:FR
中古車相場:皆無
まとめ

シボレーLUV(初代ファスターのGM版) / Photo by JOHN LLOYD
日本国内では『ファスター』の名がなかなか定着しない程度にマイナーな存在ではありましたが、シボレーLUVとしては売れたのでGMとの提携第1号としては順調な船出となった初代ファスター。
ただし、GMではあくまで第一次オイルショック(1973年)で急増した小型トラック需要を満たすための『つなぎのモデル』と考えていたようで、1982年にGM独自のシボレーS-10が登場すると、シボレーLUV(当時は2代目)の販売をやめてしまいました。
しかし初代ファスター自体は後にRV(レクリエーショナル・ビークル)へ発展するレジャー向けピックアップにも活路を見出そうとしたようで、4WD版ファスターロデオ(型式KB40)も登場しますが、ダットサントラックやハイラックスに比べると知名度が低かったのは否めません。
そのため初代から一貫して、日本国内より海外で(別ブランド同型車を含め)人気があった車だったと言える1台です。
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