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1980年代以降、4WDのピックアップトラックやSUVを続々とリリースし、独自の小型乗用車生産から撤退後もGMグループの小型トラック部門となったいすゞ。GM傘下を離脱して以降も提携関係は続き、今も日本国外でピックアップトラックやそれをベースとしたSUVの生産・販売を続けています。それらのベースとなったのが、初代~2代目ファスターの派生車、ファスターロデオでした。

2代目いすゞ ファスターロデオ(2代目ロデオ) / 出典:https://www.favcars.com/isuzu-faster-rodeo-1980-88-wallpapers-396402.htm
トラックでは全輪駆動の長い歴史を持ついすゞから、ファスターロデオ登場

初代いすゞ ファスターロデオ(初代ロデオ) / 出典:http://ubsgarage.blogspot.com/2012/09/1979-isuzu-faster-brochure.html
現在のいすゞ自動車がその社名に変わったのは、第2次世界大戦後の1949年のこと。
それ以前は強い戦時色と高まる軍需のためのメーカー再編、戦後の占領軍による統制された民需などかなりの紆余屈折を経ていますが、戦前の段階で既に6輪駆動や4輪駆動など全輪駆動トラックを開発しており、四輪駆動トラックの二式四輪起動貨車など制式採用例もありました。
そして戦後も4輪または6輪の全輪駆動トラックやバスを民需のみならず防衛庁向けにも生産していましたが、全輪駆動についての実績が古くからあったにも関わらず、個人や小規模事業者向け全輪駆動車に参入したのはだいぶ後の話。
すなわちトヨタ(ランドクルーザー)/日産(パトロール)/三菱(ジープ)の牙城にあえて挑まなかったわけですが、1978年に小型トラックの初代ファスターへ追加された4WDモデルが、いすゞ初の全輪駆動小型トラックとなります。
ファスターの派生車という事で『ファスターロデオ』と名付けられた4WDピックアップトラックは、ファスター同様国内外で人気を得て1980年にファスターが2代目へモデルチェンジされて以降も設定。
3代目で『ロデオ』として独立するまでは、ファスターロデオを名乗りました。
レジャー用のみならず、小回りの効く消防団用消防車などとして活躍

2代目いすゞ ファスターロデオ(2代目ロデオ) / 出典:https://www.favcars.com/wallpapers-isuzu-faster-rodeo-1980-88-396414-800×600.htm
2代続いたファスターロデオは派手なカラーリングや、荷台へ樹脂製のキャビンを載せたキャンパー仕様などを設定し、レジャー用途も狙って海外では成功を収めましたが、1970年代末からのRVブームはどちらかといえばワゴンタイプのオフローダーがメインです。
トヨタ ハイラックスサーフのような荷台の代わりに完全クローズドキャビンのワゴンボディを持たないファスター/ファスターロデオは、日本国内でさほど人気を得るに至りません。
そのためファスターロデオをベースにした、ロデオビッグホーン(初代ビッグホーン)が日本のRVブームに対する本命で、ファスターロデオは日本ではどちらかといえばピックアップトラックのマニア向けといった存在でした。
その一方、業務用としては小回りが効いて快適性に優れた小型4輪駆動トラックは根強い需要があり、初代/2代目ファスターロデオも地方の消防団で消防車として使われるなど、実用車として活躍。
特に、まだ流麗だったフローリアンの名残を残したフロントマスクを持つ初代ファスターロデオは、消防車にしてはだいぶオシャレな姿でオールドファンの記憶に残っています。
主なスペックと中古車相場

2代目いすゞ ファスターロデオ(2代目ロデオ) / 出典:https://www.favcars.com/pictures-isuzu-faster-rodeo-1980-88-396400.htm
いすゞ KB40 ファスターロデオ 1978年式
全長×全幅×全高(mm):4,405×1,600×-
ホイールベース(mm):2,600
車両重量(kg):-
エンジン仕様・型式:C190 水冷直列4気筒ディーゼルOHV8バルブ
総排気量(cc):1,951
最高出力:-kw(-ps)/-rpm
最大トルク:-N・m(-kgm)/-rpm
トランスミッション:-
駆動方式:4WD
中古車相場:皆無
まとめ

ホールデン ロデオ(いすゞ ファスターのオースラリア版) / Photo by JOHN LLOYD
日本国内のRVブームではかなり地味でマニアックな存在だったファスターロデオと3代目で独立したロデオですが、これをベースにロデオビッグホーンが誕生するなど、パジェロやデリカスターワゴンを生んだ三菱 フォルテと同じ役割を果たした重要車種でした。
あいにく当時のいすゞは既にベレットやフローリアンを生んだ頃の開発力がなく、矢継ぎ早のモデルチェンジどころか魅力アップのための改良すらままならないほどでしたが、幸い海外では別ブランド扱いも含めて人気車種となり、現在のD-MAXなどへ続いています。
残念ながら日本国内では既にいすゞの乗用車販売店は存在しませんが、シボレーブランドなど何らかの形で日本で復活する日が、いつかやってくるのかもしれません。
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