今年もFIA世界耐久選手権(FIA World Endurance Championship以下:WEC)が開幕しました。今シーズンは2018年5月3日に開催された第1戦から2019年6月16日の最終戦まで1年以上にわたる『スーパーシーズン』で、シリーズチャンピオンが決められます。例年通り、『LMP1』『LMP2』『LMGTE Pro』『LMGTE Am』の4クラスが行われ、トヨタガズーレーシングチームがLMP1クラスに参戦。そんな今シーズンはどんなレースをみせてくれるのでしょうか。

 

2018 トヨタ WEC

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今年から『スーパーシーズン』となった2018-2019FIA世界耐久選手権が開幕

 

2018 WEC

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5月3日(木)に2018-2019FIA世界耐久選手権(WEC)が開幕しました。

そんなWECシリーズの中には、ル・マン24時間やスパ-フランコルシャン6時間(以下:スパ6時間)など、有名な耐久レースが組み込まれ、毎年最高峰の耐久レースとして世界中から注目を集めています。

2017年シーズンとの違いは

WECは今シーズンから2018年5月3日~2019年6月16日と、1年を超えるロングシーズンで行われます。

これは『スーパーシーズン』と呼ばれ、2017年シーズンより大会数は1戦少なくなりましたが、スパ6時間とル・マン24時間を2レースずつ開催。

2017年に行われた『ニュルブルクリンク6時間』(グランプリコースで開催)、『メキシコシティ6時間』、『サーキット・オブ・ザ・アメリカ6時間』、『バーレーン6時間』が無くなり、『セブリング1000マイル』が新たに追加されました。

また、日本では例年通り『富士スピードウェイ6時間』が行われ、日程は2018年10月14日(日)となっています。

4クラスの混走で行われるFIA世界耐久選手権のレギュレーション

 

WEC

© WORLD ENDURANCE CHAMPIONSHIP / 2018

 

WECは『LMP1』、『LMP2』、『LMGTE Pro』、『LMGTE Am』という4クラスの混走で行われ、プロトタイプマシンから市販車ベースのマシンまで、さまざまなマシンが走行し、観客を楽しませてくれます。

LMP(Le Mans Prototype)

 

LMPは『LMP1』と『LMP2』の2クラスに別れています。

LMP1は、自動車メーカー直系ワークスチームやプライべーターチームが独自開発したプロトタイプマシンで争われ、ワークスはシャシーとパワートレイン共に自社製のものを使用しますが、プライべーターのエンジンは他メーカーから供給されたものを使用している場合もあります。

例えば#4バイコレス レーシング チームは今シーズンからニスモ製のエンジンを搭載するため、ニスモのエンジンとトヨタのハイブリッドエンジンとの争いも見ものといえるでしょう。

そんなLMPのパワートレインには、ハイブリッドカーの『LMP1-Hybrid』とガソリンエンジンのみを対象にした『LMP1 non Hybrid』の2つがあるのですが、ワークスチームはLMP1-Hybridの使用が義務付けられています。

また、LMP1-Hybridはハイブリッド以外にディーゼル、エンジン回生システムの使用も可能となっていますが、大幅な性能差が生じないようにBoP(Balance of Performance:性能調整)やEoT(Equivalence of Technology:技術の均一化)といった施策がなされていて、ゼッケンカラーと順位識別灯は赤色と定められている事が特徴です。

そしてLMP2クラスはプライべーターを対象にしたクラスで、市販シャシーと市販エンジンを組み合わせたマシンで争われます。

2017年からはエンジンをGibson GK428 4.2L V8に限定。

LPM2マシンはゼッケンカラーと順位識別灯が青色になっています。

LMGTE(Le・Man GT endurance)

 

LMGTEは市販車ベースのGTカー『FIA-GT2』のマシンで争われ、プロドライバーが出場する『LMGTE Pro』クラスとアマチュアドライバーが出場する『LMGTE Am』クラスに分けられており、LMGTE-Amには1年以上の型落ち車両でのみ参戦が可能です。

また、この2クラスの車両を識別するために、LMGTE Proのマシンはゼッケンカラー及び順位識別灯が緑色、LMGTE-Amが橙色になっています。

2018-2019 FIA世界耐久選手権参戦のチーム&ドライバー

LMP1クラス

 

2018 WEC

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ゼッケン チーム マシン ドライバー タイヤ
1 レベリオン レーシング レベリオン R13 – ギブソン ニール・ジャニ
アンドレ・ロッテラー
ブルーノ・セナ
ミシュラン
3 レベリオン レーシング レベリオン R13 – ギブソン マシアス・ベシェ
トーマス・ローラン
グスターボ・メネーゼス
ミシュラン
4 バイコレス レーシング チーム ENSO CLM P1/01 – ニスモ オリバー・ウェッブ
ドミニク・クライハマー
トム・ディルマン
ミシュラン
5 CEFC TRSM レーシング ジネッタ G60-LT-P1 – メカクローム チャールズ・ロバートソン
ディーン・ストーンマン
レオ・ルーセル
ミシュラン
6 CEFC TRSM レーシング ジネッタ G60-LT-P1 – メカクローム オリバー・ローランド
アレックス・ブランドル
オリバー・ターベイ
ミシュラン
7 トヨタ GAZOO レーシング トヨタ TS050 – ハイブリッド マイク・コンウェイ
小林 可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
ミシュラン
8 トヨタ GAZOO レーシング トヨタ TS050 – ハイブリッド セバスチャン・ブエミ
中嶋 一貴
フェルナンド・アロンソ
ミシュラン
10 ドラゴンスピード BR エンジニアリング BR1 – ギブソン ヘンリック・ヘドマン
ベン・ヘンリー
レンガー・バン・デル・ザンデ
ミシュラン
11 SMP レーシング BR エンジニアリング BR1 – AER ミカエル・アレシン
ヴィタリー・ペトロフ
ジェンソン・バトン
ミシュラン
17 SMP レーシング BR エンジニアリング BR1 – AER ステファン・サラザン
エゴール・オルドゼフ
マテボス・イサキャーン
ミシュラン

 

LMP2クラス

 

2018 WEC

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ゼッケン チーム マシン ドライバー タイヤ
26 G-ドライブ レーシング オレカ 07 – ギブソン ロマン・ルシノフ
ジャン-エリック・ベルニュ
アンドレア・ピッツィオーラ
ダンロップ
28 TDS レーシング オレカ 07 – ギブソン フランソワ・ペロード
マテュー・ヴァクシヴィエール
ロイック・デュバル
ダンロップ
29 レーシング チーム ネダーランド ダラーラ P217 – ギブソン フリッツ バン・イアード
ギド・ヴァン・デル・ガルデ
ヤン・ラマース
ミシュラン
31 ドラゴンスピード オレカ 07 – ギブソン ロベルト ゴンザレス
パストール・マルドナド
ナタナエル・ベルトン
ミシュラン
36 シグナテック アルピーヌ マットムート アルピーヌ A460 – ギブソン ニコラ・ラピエール
アンドレ・ネグラォン
ピエール・ティリエ
ダンロップ
37 ジャッキー チェン DC レーシング オレカ 07 – ギブソン ジャズマン・ジャファー
ウェイロン・タン
ナビル・ジェフリー
ダンロップ
38 ジャッキー チェン DC レーシング オレカ 07 – ギブソン ホーピン・タン
ガブリエル・オーブリー
ステファン・リケルメ
ダンロップ
50 ラルブル コンペティション リジェ JSP217 – ギブソン アーウィン・クリード
ロマーノ・リッチ
フェルナンド・リース
ミシュラン

 

LMGTE Proクラス

 

2018 WEC

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ゼッケン チーム マシン ドライバー タイヤ
51 AF コルセ フェラーリ 488 GTE EVO A.ピエール・グイディ
ジェームス・カラド
ミシュラン
66 フォード チップ ガナッシ チーム UK フォード GT ステファン・ミュッケ
オリビエ・プラ
ミシュラン
67 フォード チップ ガナッシ チーム UK フォード GT アンディ・プリオール
ハリー・ティンクネル
ミシュラン
71 AF コルセ フェラーリ 488 GTE EVO ダビデ・リゴン
サム・バード
ミシュラン
81 BMW チーム MTEK BMW M8 GTE マーティン・トムチェク
ニッキー・キャツバーグ
フィリップ・エング
ミシュラン
82 BMW チーム MTEK BMW M8 GTE アウグスト・ファルフス
A・フェリックス・ダ・コスタ
アレクサンダー・シムズ
ミシュラン
91 ポルシェ GT チーム ポルシェ 911 RSR リヒャルト・リエツ
ジャンマリア・ブルーニ
ミシュラン
92 ポルシェ GT チーム ポルシェ 911 RSR マイケル・クリステン
センケビン・エストレ
ミシュラン
95 アストンマーティン・レーシング アストンマーティン ヴァンテージ AMR マルコ・ソーレンセン
ニッキ・ティーム
ミシュラン
97 アストンマーティン・レーシング アストンマーティン ヴァンテージ AMR アレックス・リン
マキシム・マルタン
ミシュラン

 

LMGTE Amクラス

 

2018 WEC

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ゼッケン チーム マシン ドライバー タイヤ
54 スピリット オブ レース フェラーリ 488 GTE トーマス・フロール
フランチェスコ・カステラッチ
ジャンカルロ・フィジケラ
ミシュラン
56 チーム プロジェクト 1 ポルシェ 911 RSR(991) ヨルグ・ベルグマイスター
パトリック・リンジー
エギディオ・ペルフェッティ
ミシュラン
61 クリアウォーター レーシング フェラーリ 488 GTE ウェン サン モク
澤 圭太
マット・グリフィン
ミシュラン
70 MR レーシング フェラーリ 488 GTE 石川 資章
オリビエ・ベレッタ
エドワード・チーバー
ミシュラン
77 デンプシー – プロトン レーシング ポルシェ 911 RSR(991) クリスチャン・リエド
マッテオ・カイローリ
ダンロップ
86 ガルフ レーシング ポルシェ 911 RSR(991) マイケル・ウエインライト
ベンジャミン・バーカー
アレックス・デイヴィスン
ミシュラン
88 デンプシー – プロトン レーシング ポルシェ 911 RSR(991) マット・キャンベル
ジョルジオ・ロダ
KHALED AL QUBAIS
ダンロップ
90 TF スポーツ アストンマーティン ヴァンテージ サリフ・ヨロック
ユアン・アラーズ-ハンキー
チャールズ・イーストウッド
ダンロップ
98 アストンマーティン・レーシング アストンマーティン ヴァンテージ ポール・ダラ・ラナ
ペドロ・ラミー
マシアス・ラウダ
ミシュラン

 

2018-2019 FIA世界耐久選手権参戦のカレンダー

 

2018 WEC

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レース名 日程 サーキット 開催国
第1戦 Total 6 Hours of Spa-Francorchamps 2018年5月5日 スパ-フランコルシャン ベルギー
第2戦 24 Hours of Le Mans 2018年6月16~17日 サルト・サーキット フランス
第3戦 6 Hours of Silverstone 2018年8月19日 シルバーストーン・サーキット イギリス
第4戦 6 Hours of Fuji 2018年10月14日 富士スピードウェイ 日本
第5戦 6 Hours of Shanghai 2018年11月18日 上海国際サーキット 中国
第6戦 1000 Miles of Sebring 2019年3月15日 セブリング国際サーキット アメリカ
第7戦 Total 6 Hours of Spa-Francorchamps 2019年5月4日 スパ-フランコルシャン ベルギー
第8戦 24 Hours of Le Mans 2019年6月15~16日 サルト・サーキット フランス

 

2018-2019 FIA世界耐久選手権の注目ポイント

ジェイソン・バトン選手とフェルナンド・アロンソ選手が参戦

 

フェルナンド・アロンソ

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F1チャンピオンの経験を持ち、現在マクラーレンからF1に参戦するフェルナンド・アロンソ選手は、トヨタ・ガズー・レーシングのドライバーに起用され、中嶋一貴選手とセバスチャン・ブエミ選手と一緒に#8トヨタTS050ハイブリッドに乗る予定です。

また、 SUPER GT選手権GT500クラスにTEAM MUGENから参戦しているジェイソン・バトン選手もWECに参戦することを発表し、第1戦を除いた全レースに参戦。

SMPレーシンから#11BR エンジニアリングBR1–AERに乗る予定です。

二人ともレーシングドライバーとしての経験はかなりのものですが、LMPマシンに乗るのは初!どれほどの実力を発揮してくれるのか、期待に胸が膨らみます。

唯一のワークス参戦となったトヨタ・ガズー・レーシング

 

 

 

2018 WEC

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ポルシェとアウディがWECから撤退したことで、LMP1クラスのワークスチームはトヨタのみ。

また、トヨタTS050ハイブリッドが唯一のLMP1-Hybridマシンとなるため、プライベート勢は今までよりも規制を緩和されることに!。

トヨタTS050-ハイブリッドに比べて、サーキット1周あたりの燃料量で49%、最大燃料流量は37.5%多く使用でき、最低重量はトヨタTS050ハイブリッドより45kg軽い833kgになっています。

まとめ

 

2018 トヨタ WEC

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2018-2019WECは、出場台数全37台!5月3日にスパ6時間で幕を開けました。

そんな開幕戦LMP1クラスは、唯一のワークスチームであるトヨタの1-2フィニッシュ!メーカーとしての威厳と意地を守り抜きました。

また、Motorzで以前ご紹介した『ジャッキー・チェン・DCレーシング』もLMP2クラスフル参戦を発表しており、昨年ル・マンでの総合2位・3位獲得からの流れを守り切れるのか、気になるところ!

そんな話題盛りだくさんの今シーズンのWECは、どのレースも見逃せません。

 

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