年々盛り上がりを見せるフォーミュラE。このカテゴリーに日産は、国産自動車メーカー初となるフル参戦を表明しており、ホンダも参入に興味を示しています。そんな各メーカーからの注目を集めるフォーミュラEに、日本の電子部品メーカー『ローム株式会社』が部品供給を行っています。ロームは、いったいどのような部品を供給しているのでしょうか。また、ローム製パーツを搭載するマシンはどんなものなのでしょう。詳しくご紹介します。

出典:https://www.venturi.com/portfolio_page/paris-e-prix-2/
フォーミュラE参戦チームにロームがパワーデバイスを供給

出典:https://www.venturi.com/portfolio_page/r1-hongkong-race/
日本で徐々に知名度が上がりつつあるフォーミュラEには現在、アウディ、ジャガー、シトロエン、ルノーが参戦しており、メルセデスベンツ、ポルシェ、日産も参戦を表明。
日系企業の参入がまだ著しくない現状ですが、京都に本社を構えるローム株式会社は、ヴェンチュリフォーミュラEチーム(Venturi Formula E Team)のオフィシャル・テクノロジー・パートナーとしてSiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスを提供し、ヴェンチュリのマシンの開発に大きな貢献を果たしています。
電子部品メーカー・ローム株式会社とは?
さ、いっぱい遊んだからそろそろ帰るか。#サイズ感#スマホカバーくんの1日旅#旅の日 pic.twitter.com/zwoYjLX5lt
— ローム株式会社 (@ROHM_JP) 2018年5月16日
ローム株式会社(ROHM Co., Ltd.)は日本の電子部品メーカーであり、京都府に本社をおいています。
創業者・佐藤研一郎氏により1958年9月17日に設立され、社名の『ROHM』は抵抗を意味する”R”と抵抗の示す単位”Ohm(Ω:オーム)”を掛け合わせた造語。
主にIC/LSD、半導体素子、抵抗器などの開発・製造を行っており、2017年3月31日時点で従業員数21,308人、売上高連結3,520億円の大企業です。
ベンチュリのフォーミュラEマシンに搭載されているローム製SiCパワーモジュールとは?
フォーミュラEは今や電気自動車だけでなく、電子デバイス開発の最前線にあるフィールドです。
そんな中でロームがヴェンチュリフォーミュラEチームのマシンに供給しているのが、インバータに搭載されているフルSiCパワーモジュール。
インバータとは、モータの電源周波数を自在に変えることによりモータの回転数を制御する装置のことで、電源をコンバータによって交流から直流に変えてから、再び交流に変更するのがインバータの役割となっています。
そして、フォーミュラEカーに搭載されるインバータは、モータに供給される電流を制御する役割を果たすのですが、ロームはSiC(シリコンカーバイド)を用いたインバータを開発したのです。
ちなみにSiCとは、Si(シリコン)と炭素(C)が結合した化合物半導体材料であり、これを使用することで省電力化と高効率化を可能にしました。

出典:http://micro.rohm.com/jp/formulae/sic.html
また、SiCを使用したモジュールを採用したことで、それ以前となる2014-2015年のフォーミュラEマシンに搭載されていたものより6キロの軽量化と43%のサイズダウンを実現。
今までよりバッテリーとモーターの性能ロスを少なくし、フォーミュラEマシンの性能を上げることに貢献しました。
ロームがサポートするヴェンチュリとは?

ヴェンチュリ 300 Atlantique / 出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Venturi_Atlantique
ヴェンチュリー(Venturi Automobiles)はモナコに拠点をおき、高級電気自動車の製造・販売を行っている企業です。
1984年に自動車エンジニアだったClaude Poiraud氏とGérard Godfroy氏が当初『 MVS (Manufacture de Voitures de Sport)』 として会社を設立し、高級スポーツカーの開発に取り掛かりました。
そして過去にアトランティーク260/300(Venturi Atlantique 260/300)を販売し、F1チームのオーナーやル・マン24時間耐久レースにも出場しましたが、2000年に破産を宣告。
翌2001年にモナコの大富豪Gildo Pallanca Pastor氏が買収し、電気自動車の開発に力を入れることに。
また、2009年にはフランスのバイクメーカー『Voxan』を買収し、電動バイク産業にも参入しています。

出典: https://www.venturi.com/portfolio_page/world-speed-record-2016/
そしてヴェンチュリはボンネビル最高速チャレンジにも電気自動車で参戦し、電気自動車最速記録341MPH(548.786km/h)を樹立。
フォーミュラEには開幕元年となる2014-2015年シーズンから参戦しており、チーム設立時からハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオとタッグを組んで戦っています。
また、2018年末からはF1ドライバーのフェリペ・マッサ選手のドライバー起用が決定しているなど、注目度抜群のチームです。
まとめ

出典:https://www.venturi.com/portfolio_page/paris-e-prix-2/
フォーミュラE・2017-2018シーズンの最終戦は7月15日で、すでにシーズン終盤となっていますが、ヴェンチュリはチームランキング現在7位。
これからさらに上位を目指してほしいところです。
また、2018-2019年シーズンからは大幅に変更された第2世代フォーミュラEマシンが投入され、さらにレベルアップした電気自動車レースが行われることが期待されています。
そして、新ドライバーマッサ選手の起用など、台風の目となる事間違いなしのヴェンチュリに貢献し続けるロームの技術力にも是非注目して頂きたいと思います。
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