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これまでにもF1では色鮮やかなマシンがサーキットで激戦を繰り広げてきました。その中にはわずか1度のレースでしか見られなかった、限定のカラーリングも観られます。チームが作り上げるマシンにおいては、スポンサーなど様々なプロモーション活動の一環として、珍しいカラーリングが施されることもあるのです。今回はそんな1戦限定でしか見られなかった、幻のカラーリングをご紹介します。

©RedBull Content Pool
1977年の日本限定!インペリアルカラーの赤いロータス

出典:http://www.pinsdaddy.com/monaco-1977_S9dAqeo0KFt7ieDoznsXPIqU8To%7CSTn5LnQZZUIQAEQ/
黒と金のカラーで今でも多くのファンに愛されるロータス。
タバコブランドであるJhon Pleyer Special(JPS)のカラーリングは、数多くあるF1マシンの中でも独特の威圧感を放ち、近年では2011年にはロータス・ルノーGPがカラーリングを踏襲するなど、比較的最近のF1でも見られたカラーリングです。
このロータス78はカラーリングの人気が高いだけでなく、グランドエフェクトカーの先駆けとなるマシンとして、その後の空力開発に大きな影響を与えたことでも知られています。
このようにF1マシンの中でも知名度の高いロータス78ですが、1977年の日本GPでそれまでのイメージと異なる斬新で真っ赤なカラーリングを見せました。

出典:https://www.amazon.co.jp/PLANEX-43-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9-%E6%97%A5%E6%9C%ACGP-1977/dp/B009MK7UJS?SubscriptionId=AKIAJUV43PYOKLDZQX7Q&tag=hikakucomec-22&linkCode=xm2&camp=2025&creative=165953&creativeASIN=B009MK7UJS
もはやフェラーリにも見えるこの赤いマシンは、JPSと同じタバコメーカーから販売されていたインペリアルのパッケージデザインを模したデザインで、富士スピードウェイに登場。
マシンが来日した時には従来の黒いカラーリングだったそうですが、レースに先立って富士スピードウェイ近くのガレージで塗装の塗り替え作業が行われ、後にも先にも2つと見ない赤いロータスが誕生することに。
この赤いロータス78をドライブしたのはスウェーデン人ドライバーのグンナー・ニルソンで、これは彼にとってF1で最後となる走りとなってしまいます。
14番手グリッドから発進したニルソンはレース終盤を迎えた63周目にトランスミッションのトラブルでリタイアを喫し、残念ながら完走を果たすことは出来ませんでした。
このレースから約1年後にニルソンは精巣がんを患い帰らぬ人となってしまい、この赤いロータスは彼が最後にドライブしたマシンとなってしまします。
しかし、ニルソンがドライブしたこのマシンは、その後もモデルカーやプラモデルなどで高い人気を誇り、今でも語り継がれる1台として多くのファンの心に刻まれているのです。
赤白のカラーで親しまれたマクラーレンが驚きのイメチェン!?

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BBMP4/2
かつてマクラーレンのメインスポンサーを務めていたタバコブランドのマールボロ。
マールボロのパッケージデザインである赤と白のマシンカラーは、数あるF1マシンの中でもひと際大きな存在感を放ち、一時代を象徴するほどの高い人気を誇るカラーリングとして知られています。
かつてのマクラーレンを象徴するこのカラーリングは何代ものマシンに受け継がれましたが、わずか1戦のみ違う配色が選ばれることになりました。
それは1986年のポルトガルGPでの事。
ケケ・ロズベルグのドライブする2号車のみマシンカラーが赤白ではなく、黄色と白に塗り替えられてサーキットに登場したのです。

出典:https://akelta.wordpress.com/2008/10/31/felemas-csapatok/
この黄色のカラーリングはマールボロの銘柄の一種であるマールボロライトをイメージしたもので、後にも先にも他には見られることはない限定のカラーリングとなりました。
ちなみにポルトガルGPのロズベルグはレーシングスーツまで黄色で揃えられましたが、チームメイトだったアラン・プロストは通常のカラーリングで出場しています。
現在はチーム内でカラーリングを分ける事は禁止されていますが、それも相まってこの黄色いマールボロライトカラーは、それまでのイメージとは異なる印象的な1台として知られています。
近年はレッドブルが多くの特別カラーリングを披露

©Pirelli
チーム創設当初から紺色を基調としたカラーリングでお馴染みのレッドブルは、近年のF1の中で様々な限定カラーを見せるチームとして知られています。
その目的はスポンサーやチャリティー活動など、F1マシンのカラーリングを通じてプロモーション活動に取り組んでいるからです。
2年続けて映画とのタイアップ!スーパーマンの力を借りて表彰台へ

出典:http://motorsportm8.com/2010/05/06/exclusive-interview-christian-klien/
レッドブルの参戦初年度となった2005年のモナコGPでは、レッドブルの派手なプロモーションが大きな話題を呼びました。
人気映画であるスターウォーズとコラボを行ったレッドブルは、同年に公開されたスターウォーズ/シスの復讐のプロモーションとして、マシンをスターウォーズ仕様にしてモナコに登場し注目を集めたのです。
そして、その翌年には映画スーパーマンとタイアップを果たし、このレースがレッドブルのチームにとって記念すべき1戦となります。
中盤以降から荒れ模様となったこの年のモナコGPで、レッドブル勢が躍進。
当時、中堅チームだったレッドブルでしたが、デビット・クルサードとクリスチャン・クリエンが揃って上位を走行。
2台が表彰台争いを展開したのです。
最終的にクリエンがレース途中にリタイアを喫するも、クルサードはベテランらしい落ち着いたレース運びを見せ、波乱のレースを切り抜け3位でフィニッシュ。
これはレッドブルチーム初の表彰台となり、記念すべき1戦となりました。
格式の高いモナコGPでの表彰式でクルサードはスーパーマンのマントを纏って参加するなど、レース以外でのPR活動も大成功。
また、チーム代表のクリスチャン・ホーナーはレース後にマント1枚でプールに飛び込むなど、スーパーマンのマントがあちこちで活躍したのです。
チャリティー活動でマシン中にファンの顔写真!

©RedBull Content Pool
2007年のイギリスGPではチャリティーとしてカラーリングを変更し、普段の基調であるネイビーから白っぽい印象のカラーへ一新されました。
実際にはカラーを変更した訳ではなく、2万5000枚もの顔写真をマシンに張り付けたためカラーリングが大きく変わることとなったのです。
これはレッドブルが主導する脊髄損傷の治療を模索する非営利団体”Wing For Life”へ向けたチャリティー活動であり、多くのファンの関心を集めるためにこうした試みを敢行しました。
この顔写真のなかにはドライバーやチームスタッフだけでなく、ファンから送られた写真もマシンに貼られるなど多くの人が協力し、このカラーリングが完成することになったのです。
この顔写真をマシンに掲載する試みは、2012年のイギリスGPでも行われています。

©RedBull Content Pool
この時は顔写真を貼りながらも従来のカラーリングを維持し、前回とはまた違った印象を与える仕上がりとなりました。
そして、この特別仕様のカラーリングでマーク・ウェバーは優勝を飾り、セバスチャン・ベッテルも3位でフィニッシュ。
レッドブルは2台揃って表彰台を獲得し、速さと共にチャリティー活動への積極的な姿勢をレースで示すことに成功したのです。
特別に許された2台の異なるマシンカラー

©RedBull Content Pool
2008年ブラジルGPでもWing For Lifeへのチャリティー活動として、近年のF1では珍しい試みを行っています。
チーム創成期に大きく貢献してきたクルサードの引退レースにおいて、彼のマシンに特別カラーリングを施しました。
しかし、チームメイトのウェバーのマシンは通常通りのカラーリングであり、これはレギュレーションに違反するものでしたが、チャリティーが目的であることから他チームも特別仕様のカラーリングに同意。
こうしてチーム内でマシンカラーが異なるという珍事が実現したのです。
引退レースへ向けてクルサードは自身のキャリアを振り返りながら1周、1周を噛み締めて走りたいと語るだけでなく、最後となったこのレースを脊髄治療法の発見に捧げると強い意気込みを胸に臨みました。
残念ながらクルサードはスタート直後のアクシデントに巻き込まれ、オープニングラップでレースを終えてしまうことに。
しかし、大きな注目を集めるF1というイベントを用いてチャリティーに対する呼びかけを行い、彼らの社会貢献に対する強い意欲を見せた1戦となりました。
まとめ
マシンにおいて最もイメージを左右するカラーリングは、それぞれのチームの特徴を象徴しています。
そのため、マシンカラーを変更することはチームのイメージを変えるなど、その意味合いは大きく、1戦限りとは言えこうしたカラーチェンジは大きな意味を持っているのです。
そして、こうした従来のカラーリングを逆手にとって配色を変える試みは、時代が変わっても語り継がれることが多く、プレミアとも言える希少性でファンの人気を集めることも少なくありません。
今回ご紹介できなかったマシンがあるのは残念ですが、また機会があればこうした特別カラーのマシンと一緒に過去を振り返ってみたいと思います。
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